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ホンダは「最高のエンディング」を我々に提供するのではないか…!
なんだろう、今年のホンダは本気で「最高のエンディング」を我々に提供するのではないか…故に、絶対に勝つという気概を持ってメチャクチャ本気出してきているし、それをレッドブル&アルファタウリの2チームが感じ取っているからこそ、(これまでの感謝の意も含めて)リアウイングに「無償」でHONDAを掲載しているのだと思う…。ホンダの撤退に際するレッドブルへの義理堅い対応は、確かにドライな経済関係で成り立つF1においてはお人よしすぎるし、ホンダ側に利益がないように思えるけど…企業イメージもそうだろうけど、ある意味日本人的去り方を捨てられなかったのかなと思うんだよね。余談だけど、こういうメンタリティを深く理解せずに破門食らったのが「ザック・ブラウン」…後程触れるけど、マクラーレンが現時点でホンダとの仕事を拒否されている一因だと思うんで…。
にしても、ここまでの道が無計画で楽観的過ぎる見通し故に甘えすぎていた部分もあったとは思うけれども、あまりに険しく理不尽な部分も非常に多くて…なんだろう、実をいうとマクラーレン・ホンダ時代はF1を見る環境になくって(社会復帰で心と時間の余裕がなくて、インディカーを見るのに精いっぱいだったのもある)その目でF1を見ていたわけではなく、ほとんどネットのニュースかYoutubeの公式動画を見るだけだったんだけど…なんというか、ただただ悲惨だったよね。
2015年は初年度で悲惨なのは仕方がない…といっても、今思い返せば「サイズゼロ」というマクラーレン側の一応「これまでの技術と経験に基づいた」皮算用的要素も多い革新的なコンセプトと共に、ある意味無謀なチャレンジから始まったのだと思うけど…本当に、大変だったよね。まともに走らないし、アロンソとバトンを周回遅れにしちゃう位のパフォーマンスだったし…ただ、まだこの年は「メチャクチャ難しい技術を扱うのだから仕方がない」という空気故に、後にホンダから事実上破門状態になってしまうフェルナンド・アロンソも「GP2のエンジン!(なんて作ってるんじゃねぇ!)」って八郷社長のいる鈴鹿サーキットで叫んでも、ひどい発言ではあるだろうけど「叱咤激励」として受け止められたのだろうと思う。
2016年はサイズゼロのエンジンを改善し、中段でも中位の争いができるくらいに戦闘力が上がったのは大きかったよね。多分、メルセデスの関係者もお世辞でなく「ホンダは凄い(=やっぱり恐ろしい)」ってインタビューで言っていたと思うし、実はあの「進歩」でアロンソがホンダに対して凄く期待するようになって(無茶なコンセプトでも成果を出す姿勢に…)2017年におけるスタッフに対するパワーハラスメントまがいの批判(実は、アロンソへの波紋の一番の原因じゃないかと思ってる…現場で従業員に対するハラスメントに準ずる振舞は看過できないと思うから…)あるいはその後のホンダ出禁につながってしまったのかなと今思うとね…。
そして、来る2017年…前年からの進歩も独自路線を諦め、コンセプトを「メルセデス型」に変更し「勝利」を意識した姿勢に改めたホンダ…だけど、いちから作り直すのはとてつもなく困難を極めたらしく、そもそもパワーユニットが事前テスト前に完成せず…結果、まともに走ることができないまま開幕戦を迎え…戦績についてはご存知の通り。この年は本当に見ていられなかったよね…。当時開発部門を統括していた長谷川さん、本当にメチャクチャ大変だったと思うよね…この方がいたからこそ、今日のホンダの活躍があるわけでさ…。
ただ、不振の理由はホンダだけにあらず…この年のマクラーレンもホンダとのパイプが強かった長年のドン「ロン・デニス」が中東系の投資ファンド絡みで解任されることで統率が怪しくなり、メディア関係に多数のコネがありネガキャンもお手の物の「ザック・ブラウン」が代表に就任し、チーム内もある意味不安定なうえに「ベテラン意識故の悪い癖」が露呈するようになり…。
そもそも、マクラーレンはホンダに自社のマシンのデータを共有していなかったという話もあった(アルファタウリのフランツ・トスト氏曰く…「ホンダは今のF1がどのような車体なのかも知らなかった、以前のチームと共有できていなかったのだろう…」)上に、シャシーや空力のコンセプトもPUの排熱や効率性を無視したムチャな構造で、
ホンダ側は「コミュニケーションにおいて互いに気を遣いすぎた(対応が面倒くさい相手にありがち…実際は「避けてる」だけなんだけど/苦笑)」としているけど、案外ホンダに対して「下請け」的視点が抜けなかったマクラーレン側の姿勢も含め、今思うと問題が山積していたように思えるよね。
確か、F1を長らく取材されている米家氏曰く「マクラーレンのスタッフは終日ユニフォームが短パンでやる気が感じられない、デニスの時は土日は長ズボンと厳しく決まっていたのに…」とおっしゃられていて、事実マクラーレンのピットストップってほかのチームより遅かった印象しかない…ホンダの不振で士気を失っている、それも言い訳にはなるだろうけど、あの体たらくじゃ勝てないよねって…。
何より、マクラーレンとホンダの絶縁を決定的にしてしまったのが…ザック・ブラウンやエリック・ブーリエ、あるいはアロンソを含めたホンダへの総バッシング…。投資家向けニュースサイト(ロイターの「日本語版を除いた」全世界向け)に「エンジンを(ホンダから)変えようと検討している」というインタビュー記事を流すのも中々いやらしいけど(※ホンダ側に配慮する形で、見えないところで株主を不安にさせない意図があったとか…)その不振が解決できそうにないと分かると平然と、批判を露わにするようになり…。
末期になってルノー関係者と堂々と顔を合わせる様子を撮らせたり…ただ、これらのことが重なって後にインディカーにおける「ホンダエンジン出禁」を食らうわけではあるんだけどね…(そのことが原因で、一番の推しである「シュミット・ピーターソン」と「ホンダ」を引き離す結果になった原因もマクラーレン…なんだろう、気持ち的に複雑なんだよね…)そりゃ、本音はホンダとプロジェクトを続けたかった故に(ホンダ側の金銭面の支援でチームが成り立っていたようなものなので)本人もやりたくてやってるわけじゃないのは分かるけどさ…。
ブーリエも日本では随分アンチが多いと思うし、彼は当時のマクラーレンを改革するには有能でなかったのかなとは思うけど、今思うと気の毒な側面もあるよね…後にジル・ド・フェラン(インディで初めて好きになった人、本人はホンダと関係が良好だが…)がチームの再生を担うことになり好転する形になったけど…結果、ホンダ側もマクラーレンとの長期提携を解除する方向となり、秘密裏にホンダF1にとって二大「オヤジさん」となるヘルムート・マルコとフランツ・トストのお2人と「将来」について約束を交したという…。ちなみに、この時のエピソードはとある記事になっていたけど、正直プロジェクトXばりにドキュメンタリー化してもいい位ドラマティックだった印象がある…。
ちなみに、この2017年で唯一感動的だったのは「アロンソのインディ500出場」。あれは本当に凄かった…なにしろ、序盤のトップ5がほぼホンダでメチャクチャ強かったし、アロンソはエンジントラブルでリタイヤしてしまったけど、物凄い善戦してて盛り上がったよなぁ…。この年に初めて佐藤琢磨が優勝しお祭りだったよね…。そして、この時の「オイシイ体験」がマクラーレン側も忘れられなくって、2年後に供給をホンダに打診するけど…アロンソと共に門前払いになったのは言うまでもなく。
確かにマクラーレン側に優秀なドライバーを取られてレッドブルの足を引っ張りたくない(インディは若手のF1候補の武者修行の場にもなるので…)という最大限の配慮もあったのだと思うけど、それならペンスキーのIMSAチーム(インディではライバルだが、IMSAではアキュラを通じて仕事をしていた)に、インディでホンダユーザーのドライバーを載せないもんなぁ…根深い理由を勘ぐってしまう。まぁ、アロンソがこの時にもホンダに感謝の意をあまり表しなかったことも、非常に大きいと思うんだけどね…無駄に意固地になると損をする好例かなって思う、俺も肝に銘じないと…。
そして、2018年から2021年にかけて、当時のトロ・ロッソを通じてレッドブルとの信頼関係が始まり…レッドブルは勝利のためには容赦ない位厳しいが、逆に言うなら「勝利のために原則厳しい」ので、マクラーレン時代に散々悩まされた政治や陰口から離れて、あるいはF1におけるそうした厄介なことをレッドブル側が基本的に受けることで、技術開発に集中することができたのだと思う。あと、ホンダ側も会社の技術を総結集させて取り組んだのも非常に大きいよね。それでこそ、今年の開幕戦でのマックスの「ホンダのエンジンは月まで行けるよ!」じゃないけど、ホンダジェットの技術を持ち込んだのは大正解だよね…!
ドライバーとの相性がいいのも大きいよね…マックス・フェルスタッペン、ピエール・ガスリー…彼らの性格は竹を割ったよう、という表現が一番しっくりくるというか…
マックスは必要な時にしっかり適切な決断出来て、ある意味いい悪いもハッキリしている故に、ホンダからの信頼も高いのだと思う。思えば、アロンソはあれだけホンダエンジンを毛嫌いする形になったのに、契約解除が決まって「ルノー積んでも勝てるか分からないじゃん…」って弱気になっていて、個人的に「優柔不断」と感じたのだけれど…それは現場で見ていたホンダの山本さんも「(マックスの高いリーダー性を評価したうえで)アロンソも技術は非常に高いが、リーダーシップがイマイチ…」的なコメントをされているのでも分かるよね…。
その割に、彼はマネージメントを担当しているというフラビオ・ブリアトーレの悪い癖でもある、一番向いていない「政治発言」を繰り返して誤解されちゃうんだから…。俺の中でアロンソって「貴乃花」親方と若干被る存在なんだよなぁ…。貴乃花も親方・相撲協会の一員としての「相撲に対する志と姿勢」は超一流だと思うけど、必要以上に意固地になる姿勢や政治的立ち振る舞いが感情に左右されると機能しなくなるが故に、離脱せざる負えなくなった感があって、確かに不正が許せない気持ちは分からないではないんだけど…うまく立ち回れないというか、むしろアロンソよりも全然意固地なのかなって思ったりもする。故に、注射(八百長の意)なしのガチンコ相撲で横砂に君臨し続けたのだし、本当にメチャクチャ努力されたと思うんだけど…世の中難しいよね。
話を戻して…ガスリーもホンダとの関係が深いけど、個人的にこの人大好きなんだよね…性格もサッパリしてるし、マックスに比べて荒削りな部分もあったりするけどそれも好きだし、レッドブルというチームにはシーズン中の「降格」もあったりして、複雑な気持ちもあったりするのだろうけど…ホンダとの関係は本当に大事にしてほしいと思う。多分、この人が一番ホンダの撤退を「寂しく」感じていると思うしね…。
案外、ホンダが企業として撤退するのは、そうしたレッドブルと所属したドライバーたちも含めた「微妙な関係性」と紳士的に距離を取る意味合いもあるのかなってちょっと勘繰ってるよね…F1は結構こういう話でお互いの関係がこじれたりするし…故に、ガスリーが仮に来年移籍しても、ホンダはそこに一切関わらないというか…。もし、F1の道が厳しくても「インディカー」、来てほしいんだよね…!同じフレンチの大先輩「シモン・パジェノー」もいるし、ホンダはガナッシ&アンドレッティ級の強豪の席を用意してくれると思うからさ!
なんか、違うところで話が長くなってしまったけど…開幕戦を見て、今年のホンダはチャンピオンを獲得できるんじゃないかと思ってます。というか、今年獲らなければもう2度と取れない…故に、「最高のエンディング」を我々に提供してくれるのではないかと…。
画像はいつかの日に行ったアイルトン・セナ記念展での写真。マックスはセナのような逸材と評判だけど、まさか彼が本当にホンダの最後のF1に花を添える形になるとは…思えば、2017年に極秘にヘルムート・マルコ氏と共にホンダのさくらのファクトリーを訪れて、設備や日本の技術者の方の仕事ぶりに感銘を受けて、その時に覚悟を決めていたのかなって思う。
※一部修正させて頂きました。