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「部長の目にも涙」の底知れぬ魅力 ~こち亀ベストエピソード~

最近配信系でこち亀の昔のエピソード見てるけど、やっぱり大原部長のベストエピソードといえば…「部長の目にも涙」だよね。こち亀でも1位2位を争う位大好きなお話…ここまで、大原部長の「我儘さ」と「人間臭さ」が表現されてるのも、珍しい…。

このエピソード、娘のひろみさんが結婚の相談を父親である部長に試みるところから始まって…「どこの馬の骨か分からん奴のことなど知らん!」と、あからさまに婚約相手を敬遠…いや、いじける子供のように避けようとするところから始まるんだけど、

面白いのがひろみさんの連れてくるお相手の「角田さん」、雰囲気が部長そっくりなんだよね…というか、非常に物腰柔らかくした真面目そうな、ある意味若いころの部長、みたいな感じ…。しかも、ご職業は「ゲームプログラマー」とのことで、当時だとイマイチ社会的地位や信頼も不安定な位置にあったと思うんだけど…今思えば、競争力もあり形を変えても残る職業であるから…そんな方を見つけてくる娘のひろみさん、しっかりしている印象なんだよね…。

ある意味、父親にとっては「どう見ても娘と絶対に結婚しそうな人」ということで、娘との別れ(実家からの)を悟ってしまい、確信犯的に逃げ回っていたのだと思うけど…一番頑固者で一見真面目そうで冷静に対処しそうな大原部長を通じて、そういう「父親の娘へのわがまま」を描いているのが非常に面白くって…案外、寂しがりやな部分も描かれている印象もあって、部長の人間臭い魅力をすごく引き出しているようにも思える。

娘との思い出の回想シーンも非常に印象的…言葉数少ないけど、娘の成長と共に父親としての部長との相合傘も描かれていて、娘との別れを拒絶してしまいながらも現実のものとして感じている部長の心情が描かれていて…素晴らしいよね。美しすぎて、何度も、何度も見てしまうんだ…。自分が父親になったらこうだろう、そういう感想よりも「一人の中年の父親が娘の成長と共に訪れる孤独」が描かれているのが、ぐっときてしまうというか…。

そして、風邪など引いたことのない部長が、大雨の中でそんな回想を繰り返してしまうために、式の前日に風邪をひいてしまい、それを「結婚前は”大原”の娘でいたい」という、ひろみさんの「父と娘としての最後の時間」でもある介抱のシーンでつないでいくのも…本当に秀逸。そして、部長も自らの弱さから娘を傷つけてしまっていたことを改めて「反省」し…

部長は最終的に遅刻しながらも会場に足を運び、結婚を「式場」で初めて認めて、自らの我儘や過ちを新郎の角田さんに謝罪して…そして、終了後に普段から手を焼く部下でもありながら「悪友」でもある両さんをハシゴ酒に連れまわすシーン…まぁ、とにかく素晴らしすぎる。それは、娘の結婚を祝福する父親の姿でもあり、同時に娘との家族としての別れと新たな門出を受け入れた大原大次郎という一歩成長した人間の姿でもあって…あのシーン確かに、相棒が「悪友」であり「日ごろ散々手を焼かされている」、両さんでなければ絶対に成り立たないんだよね…中川や寺井だと、単に部長に振り回される部下という描写にしかならない気もするし、やっぱりあのシーンは両さんなんだよね…。

余談だけど、ひろみさんが部長の誕生日の時のエピソードで、あることがきっかけで娘を「バカ者」呼ばわりしてしまう部長に対して、「娘をバカ者呼ばわりするなんて、ひどいわ!」と非常に強い口調で怒るシーンがとっても好きなんだよね…。頑固ジジイで不器用な側面もありながら、娘や奥さんの反論にはあっさり腰が引けてしまうような部長の「隠れ恐妻」キャラもいいんだけど、ひろみさんが「悪いことは悪い」とハッキリ言える姿勢がさ、大原家の教育の賜物って感じで…いやぁ、大原さん非常にしっかりした娘さんをお持ちで…!

画像は、自分が一番大好きなシーンを液晶(てか、これブラウン管の時…!?)越しに撮影させて頂いた時のものです。こういう粋と粋を体現した写真、最高だよね…俺もこういう大人でありたい。

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