お茶とお水
神田お茶の水の水は茶の湯に用いた湧き水だったことは有名ですが、実は徳川に由来するもう一つのお茶の水があります。吉祥寺の井之頭公園のなかにある湧き水です。現在では半分を水道水で補っているそうですが湧き水の豊かさをいまもとどめています。
お茶に向いている水とは適度に柔らかくおいしい水です。お茶を点てたときに味わいよく点てることができます。味は水に含まれる微量元素の含有量などによって異なります。
唐の時代の茶人「陸羽」は水は茶の母と言っています。美味しい茶を生み出す大切なものという意味です。当時から茶人たちはお茶のための水をさがしたと言われています。
日本は比較的柔らかい水が多い国ですがそれでも地域によって茶の味を左右することはあります。水と茶の相性はとても大切なのです。
3代将軍の家光公はこの井の頭の井戸の水で点てた茶をことのほか好んだと言われています。現代の私達も当時をしのんで一服といきたいのですが直接お水をもらうことは今ではできません。持参の湯と茶碗で一服点て献茶しました。
今も昔も変わらない心から満足のゆく一服のために、水を気づかい湯を沸かし、湯の元気な様子を見計らって茶を淹れる。ただ湯の沸き具合に心配るひと時を楽しむことができれば紡がれる茶縁も豊な縁となると思います。
茶のことを仕事にすることは毎日に一服の清涼感を届けることだと思っています。どんな人にもどんな日常にも大切な一服を、あなただけの特別な時間のために。