アビスの手術(オペ)【ジャンププラス原作大賞応募作品】
雨が激しく木や岩を叩きつける。昼でさえ薄暗い森の中、ましてとっくに日は落ちている。数歩先も見通せない暗闇を、ランプを下げて走ってくる者がいた。荒く吐き出された息が白くにごり、ぼんやりした光と混じる。
「ごめんください! ごめんください!」
おとぎ話の魔女の家かと見まがう一軒家の戸を、勢いよく叩く。訪問者は雨除けのコートを着て、フードを目深にかぶっていた。
扉が開く。目線を下げると、幼児のように小柄で赤い頭巾をかぶった少女がいた。だが人形のように無表情だ。名を、ルミナという。