ライナーノーツ〜言語と非言語〜
こんにちは、関野です。
文月プロデュース公演 #1 『草の便り』という作品を鎌倉で作ることになりましたので、その目論見と過程を明示しておくためのライナーノーツ第4弾です。
前回の初稽古から1週間後、ナカノキョウコが初稿を持ってきて稽古は始まりました。さぞみんな盛り上がったでしょう。
『でしょう。』という推測なのは、そのとき僕が稽古場の下の自動販売機の横で、ローソンのバターチキンカレーを2分で食べていたからです。
稽古はまず本読みから始まりました。
なぜ僕がカメラ目線なのかは不明ですが、本読みのラップタイムは37分でした。今回はゲストハウスというかなり狭い空間のため、観客の疲労も考慮し、35分〜40分を目標として創作をすることを決めました。
前回の稽古で言語化するのが最適な選択ではないことが分かったので、戯曲に対する補助線、つまり今回僕はこの戯曲をどう読んで、どう立ち上げるのかを僕だけが話しました。
すごい吐きそうになっている写真ですが、ここで僕がしていたは稽古場での共通言語作りです。
ここから先の創作の過程でこの共通言語を作らないまま進むと、何がどう問題なのかを曖昧にしたまま進むことになってしまいます。もちろん言葉でどうにでもなる問題じゃないことは重々承知した上で、それでも最低限の言葉をあらかじめ用意しておこうという、目論見です。
そして、この共通言語を元に、今回僕がチャレンジしたい、言語情報と非言語情報で同じ情報を伝えないというチャレンジをしたい旨を共有しました。
この話についてはかなり長くなるので、どこかで触れようと思います。
そんな今回の演出意図を話した上で、言ってること(セリフ)とやってること(アクション)を乖離させてみようと思ってやってるのが上記の写真真です。
そしてこれはあおしくんのお尻です。
この、言ってること(セリフ)とやってること(アクション)を乖離させてみよう、という試みは僕としてはかなり成果がありました。
意図的に言葉と身体を乖離させること自体はチェルフィッチュとかマームとジプシーとかがすでにやっていることで、演劇的な新しさは全く無いんだけど、俳優がセリフという呪いから解かれていく様が見られたのでとても良かったと思います。
俳優がセリフにがんじがらめにされていくことって頻発するので、言語化ってやはり意味があるなと強く確信しました。そして同時に、先人のやったことを分解しながらパクることってとても価値があるなとも思えました。
この稽古は楽しすぎたため、めちゃくちゃしました。
そして、まだダイアローグ部分には手直しが入りそうなため、
今回の肝となり得るモノローグを誰に向けて、どれくらいのサイズで伝えるのかをひたすら試しながら、キャラクターの背景を想像し、その瞬間キャラクターがどういう状況にいるのかを丁寧に作りこんでいきました。
稽古後、私は帰路でこんなメモをとっています。
チェルフィッチュやっとるやんけ!!ってめっちゃ思ったけど、現代口語会話劇が絶対通る場所でもあると思った。2010年代でここかと思うけど、これを上演してその先にいる先人たちが何を考えているんか初めて知りたいと心の底から思えた。あんまり大枠で捉えすぎちゃいけないけど、ポストトゥルースの時代に、トゥルース(身体)しかない演劇がどう戦えるかめちゃめちゃ楽しみになった。いい稽古でした。
なんだこいつむかつくやつだな!
と僕もムカついたので、許してほしい。主語がでかいよ。
次回【情報量の海】
文月プロデュース公演 #1 『草の便り』作 ナカノキョウコ(文月)演出 関野 翔太(劇団カツコ)出演 昆野 祐希 三浦 碧至 大関 朱音制作 類家 アキヒコ(劇団カツコ)企画・製作 文月あらすじ彼女は疲れていた。人に求められることにも、人に求めることにも。ある日、ほんの少しのきっかけで彼女は東京を捨てて鎌倉に移住することを決める。ちいさな陶芸教室で働き始めた彼女のもとに、故郷から妹が訪ねてくる。ゆったりとした時間が流れる街で、彼女たちは、変化する風景と向き合って行く。◆チケット状況◆2018/11/16(金)-11/18(日) 14:00 16:30 19:0011/16 ---------◯11/17 ---△-----◎11/18 ---✖︎--◎-- ✖︎チケット 1,500円@大町ジャンクション ドミトリールーム神奈川県鎌倉市大町2−2−35鎌倉駅徒歩10分