【800字エッセイ】推しと徹子とオジおばさん
あたくし、オジおばさんには沢山の推しがいる(ある)。その中のひとつがtimeleszの松島聡さんだ。小柄なのにダイナミックでキレのあるダンスとちょっとおバカなところが大好きだ。
その松島聡さんが、黒柳徹子さんとダブル主演で「ハロルドとモード」という朗読劇を行っている。(2024年10月4日現在)
ダメ元で申し込んだら、チケットが当たり…
座席は何と前から2列目のセンター…
今年の運を使い果たした感は否めない。
徹子さんが何度かこの舞台をやっていることは知っていたが、ストレートプレイをあまり観ないオジおばさんは、物語を全く知らずに真っさらの状態で観劇した。
松島聡さんに目が釘付け…になるかと思いきや、徹子さんに目が行ってしまう。なるほど、これが存在感というやつか。ロボットでないか観察してみたがしっかり人間であった。ただ顔が白過ぎてエレキテル連合の「あけみちゃん」かと思ったが…やはり人間であった。
結論、最高の舞台だった。
初めこそ、松島聡さん、徹子さんという感覚でどうしても観ていたが、途中からのめり込み過ぎてしっかりと「ハロルドとモード」だった。ハロルドがギターを弾きながらモードと歌うシーンもあり、また最終盤にハロルドが泣きながら歌うシーンもあり、ミュージカル好きなオジおばさんも大大大満足だった。
死ぬことは簡単だけど、辛いことも楽しいことも悲しいことも全て素晴らしい、そんな経験をして欲しい、それをハロルドに理解して欲しくて自らの死を見届けさせる。
ハロルドは初めて愛することを知り、その人を失った絶望を知る。
モードから引き継がれた鍵の束は、行き当たりばったりで色々なことがある。だけど乗り越える対処方は自分次第。鍵の束と同じ数くらいの、たくさんの経験をする人生って楽しいわよ。だから生きなさい。そして誰かにバトンを渡しなさい。モードの声無き声をハロルドは受け入れたのだろう。
推しと徹子を観に行ったはずなのに、そんな動機が不純だった自分をオジおばさんは恥じましたわよ…
松島聡さんと黒柳徹子さん宛のバラの花束とメッセージカードをそっとステージに投げて劇場を去りました。