【800字エッセイ】バカに騙されるタイプ
あたくし、オジおばさんは恋愛下手である。
若い頃は蝶よ花よと持て囃され天狗になっていたこともあり、お付き合いすると本性がバレてすぐに別れるということを繰り返していた。
30代を迎え若さという特権を失い、体重も増加傾向を辿り、気がつけば30kgも太った。こうなるとモテるどころか、自信をも失ってしまった。オジおばさんの失われた10年である。
40代を迎えると、なぜかモテ始めた。
「ゲイに捨てる者なし」という名言があるが、おじさん好き、デブ専の若い人や同年代の人からお声掛けをいただくことが増えたのだ。
しかしながら、失われた10年のブランクは大きかった。デートの仕方がわからないのだ。酒を飲むことしか脳がなかった30代。「昼間のデートってなにするの?」と言った状態だ。何をしていいかわからないから、街をブラブラしたり新宿御苑に行ったりとかしか思いつかない。
そしてオジおばさんは、バカが嫌いだ。バカっぽい人は好きだけど、本当のバカが嫌いだ。誤解を招くといけないので学力とか学歴の話ではなく、常識がないとかマナーがないという意味のバカである。
素敵なバカっぽい人を好きになる。気がつくと振られる。この連鎖から抜けられない。
相手はバカっぽいだけでバカではないので、オジおばさんの本質を見抜かれ、「いい人なんだけど…」となってしまうのだ。
素敵なバカっぽい人は、賢いのだ。その場の雰囲気作りが上手い。その気があるような発言や行動をする。だからいつのまにか好きになってしまって、結局振られる。
また騙された。この繰り返しである。
相手は騙したつもりは1ミリもないから悪くない。オジおばさんのただの勘違いなのだ。
世の男性、女性、その他のセクシャリティ諸君、特に男性に声高に言いたい。
あなた騙されてますよ、と。