【800字エッセイ】ちょっと遅めの盆踊り
あたくし、オジおばさんはお祭り好きである。
先日、近所のお寺で盆踊りがあった。
友達に誘われて重い腰をあげたのだが、それにしても面白い時期に盆踊りをやるなぁと思った。
東京のお盆は7月にやるところが多い。
8月はお盆休みで旅行に行く人が多いからとか色々と理由があるみたいだが、所謂 旧盆の時期に盆踊りをやる。
だから8月に盆踊りをやるのも珍しいが、お盆休み明けに盆踊りをやるのも珍しいなぁと思っていた。
もしかすると、町内会で近所の人が参加しやすいように、わざと時期をずらしておるのかも知れない。
さてさて、近くのコンビニでビール500缶を手に会場に足を運んだ。
櫓を囲んでで店が10件ほど。
そうそう、町内会の盆踊りってこの規模感がちょうど良い。小さくもなく、大きくもなく。焼きそば、金魚掬いからあんず飴。
オジおばさんが子供の頃と同じ雰囲気の盆踊りだ。
やはり近所の方々が主役のようで、はしゃぐ子供達や親子、お年寄りが闊歩しており、心地よい人混みだった。
盆踊り自体は、炭坑節、東京音頭が2回ずつ。不思議なもので、昔取った杵柄なのか三つ子の魂百までなのか、勝手に身体が動く。
櫓の上にはお師匠さん関連の浴衣でビシャっと決めた方々が踊り、櫓の下で誰ともなく輪を作り踊っていく。
しかし身体がピタリと動かない曲がかかる。
「なんだ?初めて聴く曲だぞ?」
歌詞を聞いていると、おお!!これは杉並音頭に違いない!!
サビで確信に変わった。
「まっすぐ伸びます、まっすぐ伸びます、ドンとどドンとねー」
初めて聴いたが、しっかり保存会も存在しているようだった。なんとも耳残りのする曲調で一発で好きになってしまった。
その時、冷たい強い風が足元から吹き上げ、大雨となって中止になってしまった。
30分ほどだが久しぶりに盆踊りの雰囲気を楽しめたオジおばさんは、たいそうご満悦で友達の予約してくれた焼き鳥屋さんに、大雨にもめげずに歩いて移動したのでした。
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