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【フリーランス必見】2025年確定申告の改正点とは?収受印の廃止の影響と対策を徹底解説

公認会計士・税理士の田中将太郎です。今回は2025年からの確定申告に関する改正点について、特にフリーランスや個人事業主の方々が知っておくべき「収受印」の廃止の影響とその対策について、分かりやすく解説します。

Youtubeでも解説しています。

1. そもそも「収受印」って何?廃止の背景を解説

まず、収受印について簡単におさらいしておきましょう。確定申告書を紙で提出した際、税務署が押してくれる「受領の証明」のことです。この印が押されることで、「確定申告書を期限内に提出しましたよ」という証拠が残る仕組みでした。

収受印の廃止の背景

では、なぜ2025年から収受印が廃止されるのでしょうか?その理由は、日本政府が進める「デジタル化」や「ペーパーレス化」にあります。最近では「デジタル庁」の設立もあり、行政手続きの電子化が加速しています。その一環として、税務署でも確定申告の電子化が推進され、「e-Tax(イータックス)」を活用する人が増えてきました。

実際、国税庁が発表しているデータによると、2023年時点で個人所得税の申告における電子申告率は69.3%と、約7割が電子申告を利用しています。この割合は年々増加しており、2028年には80%を目指しているとのことです。

政府の狙いは明確で、「これからの時代、電子申告が当たり前」という流れを作ることにあります。そのため、紙の申告書を提出する方への負担を増やすことで、電子申告への移行を促しているわけです。

2. 収受印が廃止されると何が問題になるのか?

一見すると、「収受印なんてただのハンコだから、なくなっても問題ないのでは?」と思うかもしれません。しかし、実際には以下のような重大なリスクが発生します。

(1) 期限内提出の証明が難しくなる

確定申告では、「期限内に申告すること」が非常に重要です。例えば、青色申告をしている個人事業主の場合、期限内に申告しなければ、最大65万円の青色申告特別控除を受けられなくなります。

これが税金の面ではどれくらいの影響を与えるかというと、税率30%の方なら、約20万円の税負担増に繋がります。このような大きな金額が動く場合、期限内に申告した証明が必要になりますが、収受印が廃止されると紙の提出ではその証明が難しくなる可能性があります。

(2) 金融機関などで書類の信頼性が下がる

フリーランスや個人事業主にとって、融資を受ける場面は少なくありません。その際、確定申告書は重要な信用情報として提出を求められることがあります。しかし、収受印がないと「この書類、本当に税務署に提出されたもの?」と疑問を持たれるリスクがあります。

特に、銀行などの金融機関では「税務署で受理された正式な書類」であることが重要視されるため、信頼性が下がると融資の可否に影響を及ぼす可能性も考えられます。

(3) 過去の申告内容の確認が困難に

収受印がない場合、何年何月何日に提出した申告書なのかを正確に確認することが難しくなります。特に、数年前の申告内容を見直す必要がある場合に、証明がないことでトラブルに繋がることがあります。

3. 収受印廃止のリスクを回避するための対策

リスクを避けるために、具体的にどのような対策を取れば良いのでしょうか?以下では、実践的な対応策をご紹介します。

(1) 電子申告(e-Tax)を活用する

電子申告を利用することで、確定申告書の提出履歴がシステム上に残ります。提出後には「受付完了通知」が発行されるため、これが「提出した証拠」になります。これをPDFで保存しておけば、将来的な確認もスムーズです。

e-Tax利用のために必要なもの

  • マイナンバーカード

  • カードリーダー(1,000〜2,000円程度で購入可能)

  • e-Tax対応のパソコンまたはスマホアプリ

初めての方には少し手間がかかるかもしれませんが、一度設定してしまえば翌年以降もスムーズに利用できます。

(2) 郵送なら「書留郵便」を利用する

どうしても電子申告に慣れない、またはインターネット環境が整っていない場合は、「書留郵便」で申告書を送付する方法がおすすめです。書留郵便では、送付日時や受領履歴が郵便局側で記録されるため、これが「提出の証拠」として利用できます。

書留郵便の利用方法:

  1. 確定申告書を封筒に入れる

  2. 郵便局で「書留郵便」として発送を依頼

  3. 発送時の控えを大切に保管

(3) 納税証明書を取得しておく

「確定申告書を提出した証明」の代わりに、税務署で発行される「納税証明書」を活用するのも有効です。これを取得しておけば、確定申告書をきちんと提出し、納税も済ませたことを証明できます。

納税証明書の取得方法:

  • 最寄りの税務署窓口

  • オンライン申請(電子納税の場合)

4. 今後の確定申告はどうなる?デジタル化への対応を進めよう

今回の収受印廃止は、「デジタル社会への移行」の一環であることを忘れてはいけません。今後、確定申告だけでなく、相続税や消費税の手続きも電子化が進むと予想されます。

電子申告のメリット

  • 24時間いつでも申告が可能

  • 税務署に行かずに完結

  • 控除の漏れ防止(入力ガイドがあるため)

特にフリーランスや個人事業主にとっては、「時間を有効活用できる」点が最大のメリットと言えます。

5. まとめ

2025年からの確定申告における収受印の廃止は、フリーランスや個人事業主にとって大きな影響を与える可能性があります。しかし、電子申告の活用や書留郵便の利用、納税証明書の取得などの対策を講じることで、このリスクを十分に軽減することが可能です。

これを機に、ぜひ確定申告の手続き方法を見直し、今後のデジタル化に備えましょう。「e-Taxを活用して効率的に申告を行うこと」が、これからのスタンダードになるでしょう。

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