
【徹底解説】ホンダ・日産の統合破談の真相!株式移転のデメリットとは?
最近、自動車業界で大きなニュースが飛び交いました。それはホンダと日産の統合話が破談になったというものです。この統合は単なる吸収合併ではなく、「株式移転」という手法が取られる予定でした。しかし、最終的には実現せずに終わったのです。
「なぜ統合が破談になったのか?」
「そもそも株式移転って何?」
「メリット・デメリットは?」
今回は、公認会計士・税理士の視点から、ホンダ・日産統合の背景と、株式移転の仕組みやそのメリット・デメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します!
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Youtube動画でも詳しく解説しています。
ホンダ・日産統合の目的
ホンダと日産が統合を検討した最大の理由は、EV(電気自動車)事業の強化でした。
近年、EV市場は急激に成長しており、テスラや中国のBYD(比亜迪)が圧倒的なシェアを誇っております。一方で、日本の自動車メーカーはEV競争において出遅れている状況です。
実際のEV販売台数を見てみると次のようになっています。

このように、ホンダのEV販売台数はわずか1.9万台であり、日産の13万台と比較しても非常に少ない状況です。
ホンダはEV分野が弱いため、EV事業で先行している日産と提携することで競争力を強化しようと考えていたのです。
また、EVの開発には自動運転技術やソフトウェア開発の人材が不可欠ですが、優秀な技術者を確保することは各企業にとって大きな課題となっています。統合を進めることで、人材を集約し、開発を加速させる狙いもありました。
では、ホンダと日産はどのように統合しようとしていたのでしょうか?
「株式移転」とは?合併との違い
今回、統合の手段として選ばれたのが、「株式移転」という手法です。
この言葉を聞き慣れない方も多いかもしれませんが、簡単に言うと、新しい持株会社を設立し、その傘下にホンダと日産を配置する方法です。
株式移転の仕組み
ホンダと日産の間に「ホンダ日産ホールディングス(仮)」を新設する
既存のホンダ・日産の株主は、新会社の株を保有する形となる
ホンダと日産自体は存続し、それぞれのブランドや経営体制が維持される
イメージとしては、以下のようになります。
【株式移転の前と後】

この方法の最大の特徴は、両社のブランドや組織を維持しながら統合を進められる点です。
「合併」との違い
株式移転と混同されやすいものに、「合併」があります。合併には大きく2種類あります。
① 吸収合併(例:ホンダが日産を吸収)
日産という会社は消滅し、ホンダに統合される
日産の株主はホンダの株を受け取る
日産ブランドが消える可能性がある
② 新設合併(例:ホンダと日産を解散し、新会社を作る)
ホンダ・日産が解散し、「ホンダ日産株式会社」などの新会社を設立する
まったく新しい企業体制になる
合併を行うと、完全に一つの会社となるため、経営の一体化が進みやすくなりますが、ブランドや企業文化の違いが問題になる可能性もあります。
株式移転のメリット・デメリット
では、ホンダと日産が「株式移転」を選択した理由は何だったのでしょうか?
メリット
ブランドや社名を維持しやすい
日産・ホンダの名前を残すことができ、消費者の混乱を防げる
両社の優劣を強調しにくい
「ホンダが日産を買収した」という印象を避けられる
柔軟な経営が可能
すぐに完全統合するのではなく、段階的に統合を進めることができる
従業員の不安が少ない
吸収合併の場合、日産の社員はホンダに吸収されるが、株式移転なら現状を維持しやすい
デメリット
シナジー効果が出にくい
会社が分かれたままのため、経営の効率化が難しい
重複業務が発生
例えば、人事や経理がホンダ・日産で別々に存在し、コスト削減が進まない
グループ全体の統制が難しい
各社の方針が異なるため、戦略を統一しにくい
これらのデメリットを考慮すると、「本当に統合する意味があるのか?」という疑問が生じます。
統合破談の真相
では、なぜ今回の統合は破談になったのでしょうか?
株式市場の反応
統合報道が出た直後、日産の株価は急上昇し、一方でホンダの株価は下落しました。
日産:「ホンダと統合できる!助かった!」 → 株価上昇
ホンダ:「日産と組んで大丈夫か?」 → 株価下落
この市場の反応からも、ホンダ側のメリットが少ないと見られた可能性があります。
経営戦略の不一致
ホンダと日産は、それぞれ独自の経営戦略を持っています。統合による方向性の違いが、最終的に合意に至らなかった要因と考えられます。
今後の展望
統合は破談になりましたが、EV競争への対応は避けられません。ホンダ・日産が今後どのような戦略を取るのか、引き続き注目が必要です。
今後も、自動車業界のM&Aや経営戦略について、分かりやすく解説してまいりますので、ぜひご覧ください。
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