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無人餃子店が倒産する理由を徹底分析:成功するためのポイントも解説

無人餃子店は、一時期急速に増加しましたが、現在その多くが閉店を余儀なくされています。この現象の背景には、ビジネスモデルそのものの脆弱性が隠されています。本記事では、公認会計士兼税理士として、無人餃子店の増加と衰退の原因、そしてこのような状況で生き残るための戦略について、初心者にもわかりやすく解説します。

Youtube動画でも解説しています。


無人餃子店が増えた背景

1. コロナ禍による外食需要の変化

コロナウイルス感染症の拡大によって外食産業が大打撃を受けました。多くの飲食店が営業自粛や短縮を強いられ、その結果、外食ニーズがテイクアウトやデリバリーへシフトしました。
この流れに乗って、「非接触」「24時間営業」という特徴を持つ無人餃子店が注目を集めました。特に、コロナ禍では人との接触を避けたいという心理があり、この点で無人店舗の利便性が受け入れられたのです。

2. 補助金や融資の追い風

コロナ禍で設けられた補助金政策や低金利の融資も、無人餃子店の増加を後押ししました。たとえば、事業再構築補助金のように新規事業を支援する施策があり、初期費用の2/3を補助するなど、大きな経済的恩恵を受けた事例も少なくありません。これにより、低リスクで事業を始めることが可能となり、多くの個人事業主や中小企業が参入しました。

3. 簡易なビジネスモデル

無人餃子店は、初期投資が比較的少額で済みます。機械や冷凍餃子を配置するだけで店舗が運営可能なため、参入障壁が低く、多くの事業者が参入しました。このシンプルな仕組みは一見魅力的ですが、これが後の競争激化の原因にもなります。


無人餃子店が減少している理由

無人餃子店の増加には一見追い風が吹いていましたが、その後の急激な衰退には以下のような理由が挙げられます。

1. 参入障壁の低さと競争激化

参入障壁が低いことにより、多くの事業者が一斉に市場に参入しました。その結果、競争が激化し、店舗間で顧客が分散しました。さらに、新規参入の多さは価格競争を招き、利益率の低下を引き起こしました。

2. 代替品の多さ

餃子は、無人店舗で買わなくても、スーパーやコンビニ、さらにはデリバリーサービスでも簡単に手に入る商品です。これにより、「無人餃子店で買う必然性」が希薄化し、消費者の足が遠のきました。

3. 価格競争と消費者行動の変化

無人餃子店の餃子は、24個入りで約1,000円という価格が一般的です。しかし、同じ価格帯でスーパーでは焼きたてを買えたり、デリバリーで専門店の餃子を楽しむことも可能になっています。これにより、無人餃子店は「割高」なイメージを持たれるようになりました。

4. 仕入れコストの上昇

原材料費の高騰や輸入コストの上昇が、無人餃子店の経営を圧迫しました。また、多くの店舗が同じ仕入れ先を利用しているため、仕入れ先の交渉力が強まり、コスト削減が難しくなりました。

5. 差別化の欠如

餃子という商品の特性上、差別化が難しいことも課題です。「特別な餃子」という付加価値を見出すことが難しく、他店舗との差別化戦略が立てにくいことが、衰退の一因となっています。


無人餃子店が生き残るための戦略

1. 商品ラインナップの多様化

餃子以外の冷凍食品やスイーツ、健康志向の商品を取り入れることで、顧客層を広げることが可能です。特に、ビーガン餃子やグルテンフリー商品など、特定のニーズに応える商品は市場を拡大する可能性があります。

2. 独自ブランドの構築

自社製造や地元食材を使用したオリジナル商品を展開することで、他店との差別化を図ります。また、パッケージや店のデザインを工夫することで、消費者の興味を引くことができます。

3. エコや社会貢献をアピール

エコフレンドリーな包装や売上の一部を社会貢献活動に寄付するなど、消費者が共感できる取り組みを行うことで、ブランドイメージを向上させます。

4. マーケティング戦略の強化

SNSやオンライン広告を活用し、顧客とのコミュニケーションを強化します。また、期間限定商品やキャンペーンを定期的に実施することで、新規顧客の獲得と既存顧客のリピートを促進します。

5. サプライチェーンの見直し

仕入れ先を増やす、または自社で製造体制を構築することで、コスト削減と商品の独自性を確保します。


失敗しないための教訓:補助金に依存しない経営を目指す

補助金を利用してビジネスを始めることは悪いことではありません。しかし、補助金を前提にした経営は危険です。「やりたいビジネスがあり、そこに補助金を活用できる」という順序で考えることが重要です。


まとめ

無人餃子店の急増と衰退は、ビジネスモデルの脆弱性や競争の激化が原因でした。しかし、商品の多様化や差別化戦略を取り入れることで、まだ可能性は残されています。

また、補助金や一時的な流行に流されず、長期的な視点でビジネスを構築することが、成功への鍵となります。ビジネスモデルを再構築し、顧客が求める価値を提供できる店舗が、今後の市場で生き残るでしょう。

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