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フィリピンに行ったら日本の少子高齢化を実感した話。

今年の11月頭に久々の社員旅行でフィリピンのセブ島に行ってきました。国が違えば文化はまるっきり違いますが、以前タイに住んでいたこともあり、同じ東南アジアということで雰囲気が似ていて懐かしい気持ちになりました。
同時にフィリピンの街中の風景を見ていると、「あれ?日本ヤバいかも?」と気づいた部分もあり、今回は「フィリピンに行ったら日本の少子高齢化を実感した話」を書こうと思いました。

少し前のnoteでは自分の子育てに関して書いていましたが、今や子供は2歳半に成長しまして、言葉でのコミュニケーションができるようになり、ますます可愛い盛りです。同時に僕はパパになって2年半となりますが、子供の自我がしっかりと出てきて、いわゆる「イヤイヤ期」を迎えたことにより、如何に向き合ってコミュニケーションを取るかを考えることが多くなり、子育てを通じて僕も成長させてもらっています。
現在通っている保育園ではもちろんたくさんの子供がいて、保育園2年目となると他の子もお話ができるように成長も感じられ、自分の子供だけでなく他の子の成長も楽しめるようになりました。送り迎えの時だけですが、他の子ともコミュニケーションを取れるようになり、あたりまえのように毎日子供と接する生活をしています。

しかし日本社会全体で見れば、少子高齢化の真っ只中という事実。毎年出生数は減っていき、コロナ禍を経て今年は更に過去最低の出生数を記録しそうです。

少子高齢化になると一般的に言われているネガティブな事態といえば、労働力の減少で様々な産業の競争力が下がったり、社会保障の自己負担が増えて生活が苦しくなっていくこと、ますます地方の過疎化が進んでいったりと、他にも大小様々な問題を耳にしますが、それらが実際にどんな痛みになるのかは、結局は実感が伴わなければわからないものです。

社員旅行でフィリピンのセブ島に行って感じた社会の違い。

コロナ禍もすっかりと明け(?)、旅行先のセブ島では地元のショッピングセンターに行ったり、ジンベイザメと泳ぐアクティビティツアーに参加するなど観光を楽しみながら、バイクタクシーで色々なところを巡ったり、街中で絡んできた悪い兄ちゃんにローカルフードを食わせられてボラれたり、その料理に当たってお腹を下したり、地元の生活に触れるような観光もしました。そうやってセブ島の様々な風景を見ていると、徐々に日本に比べて若者が多いことに気づいていきました。

とにかく学校が多い!通っている子供が多い!

わかり易く目についたものは、とにかく通り沿いに学校が多かった印象です。そしてその学校の分だけ子供を見る機会が多かったです。宿泊したホテルの近くにも学校がありましたが、夕方の暗い時間にも関わらずたくさんの子供達が下校していて通りが賑やかでした。
調べてみるとフィリピンでは子供の多さから、生徒を昼間と夜間に分けて同じ教室を共有するなどの対策が取られているようです。
学校の数自体は日本の方が多いようですが、日本の場合は過疎化により生徒数が減っていっているのに対して、フィリピンの場合は学校の供給が間に合っていない状況のようです。

バスケットコートが多い!

学校とセット(?)のようによく見かけたのがバスケットコートです。日中から夜遅くまで小さい子から高校、大学生くらいまでの子達がバスケを遊んでいて賑やかでした。調べるとフィリピンではバスケが一番人気のスポーツのようです。

夜遅くまで盛り上がってるコートもあり、フィリピンでは周りも夜遅くまでやっているお店がほとんどで、日本だと「夜遅くにうるさい」と苦情が来そうな状況で、ちょっと考えられない風景でした。

文化や社会が違うので簡単に比較できるものではありませんが、日本だと子供が保育園、公園で遊んでいると「子供がうるさい」と言われてしまうようなニュースをたまに見かけますが、

フィリピンのようにこれだけ子供が多数派を締めていると「うるさい」ことが日常過ぎて、誰も気にしなくなるんだろうなと思いました。
若者や子供達の熱量が、地域や国の賑わいの象徴になっているように感じられました。

フィリピンは若者が総人口の約40%を占める国。

実際、フィリピン社会の若者の割合を調べてみると、2020年12月時点で「フィリピンの人口は約1億人で、24歳以下の若者が総人口の約40%を占める。」そうです。

国の4割が若者!そりゃ多いわけです。

労働世代も若者が多い!

街中で若者が多ければ当然働いている人も若者が多い印象でした。それも20代が多い印象です。ショッピングモールなどの大型施設ではおじさんやおばさんの店員は特に少なかったかもしれません(言い過ぎかも)。どんな状況かと言うと、ショッピングモールの各売り場に若い店員が4〜5名いる状況です。日本だと「そんなにいる?」と思ってしまうほど多かったです笑。
レジでは対応をする店員以外に、更に2〜3人が後ろで見守っているような状態でした。鮮魚コーナー、野菜コーナーなどそれぞれに1人づつ担当店員が待機しているスーパーもありました。
日本の最近のファミレスでは配膳用のロボットがいることが一般的となってきましたが、それは未来的で、先進的でポジティブなことだと捉えていました。しかし若者がたくさんいるフィリピンの風景を目の当たりにすると、日本は少子高齢化への挑戦が始まっているのだなと理解しました。

しかし、労働人口が多いと言うことは、おそらくフィリピンでは若者の人件費は安い傾向にあり、雇いやすいから多く配置されているという理由もあるんだろうなと思いました。
旅行は2泊3日の短い期間、かつ狭い範囲での滞在なので所感を言っているに過ぎませんが、それでもフィリピンの若い社会を感じることで、日本の社会との違いを体感することができました。

セブ島で目にした若者たちの存在感。

レストランも同じような状況で、働く仲間が多く、仕事を分担できるため、テーブル清掃などの業務を素早くこなせ、お客さんとフレンドリーに接客をする余裕があり、働くことを楽しむ余白を多く持てているなと感じました。

職場に同世代の仲間が多ければ、仲間同士で助け合い、相談がしやすくなり、若者は心理的安全性が確保され、働きやすいだろうなと思いました。
逆に同世代の仲間や相談相手がいない職場では、経験値が少ない若者や新卒の子からすると就労のハードルは高くなるのだろうなと思いました。今後そういった状況が常態化していくであろう日本の雇用環境ですが、実は職場に若者が溢れるほど増えるだけで、若者は安心して楽しく働けるようになるのかもしれないと思いました。

最終日に行った「サン・ペドロ要塞」は周りが公園になっていたのですが、近くに大学が近いこともあり若者がたくさんいました。学祭でもあるのか、グループごとにダンスの練習をしていました。

フィリピンの世代別人口はピラミッド型!

ここまで現地で自分で観察できたことを書いてきましたが、実際にデータでもフィリピンの世代別人口を見てみましょう。
こちらの「PopulationPyramid.net」でフィリピンの世代別人口を見てみると、


若者が多いいピラミッド型の人工分布でした!2014年に人口が1億人を超え、ここ数年のうちに日本の総人口を超える予定です。2024年時点で10〜14歳世代が一番多いようです。

日本の世代別人口も同じサイトで調べてみました。

50〜54歳世代が一番多く、次に45〜49歳世代が多いようです。人口分布が逆の国を実際に見てきたこともあり、2つの世界がどのくらい違うのかをリアルに感じています。

この図を元に、青年と定義される24歳までの割合を出してみました。すると2020年から更に増えて、フィリピンが49.6%と人口の約半数が子供〜青年でした。対して日本は20.9%でした。街中で見かけた若者が日本の2.5倍で、大人がほぼ半減している世界がフィリピンです。

短い旅の後、日本に戻ってからは街中の当たり前の風景が実は少子高齢化によるものだったんだなと気づきました。店に入れば適切な人員数であるものの、フィリピンと比べると様々な世代の店員さんがいるなと思いました(どの世代でも現役で働ける良い社会とも言えますが)。

そして、家の近くのそこそこ店舗展開している中華料理屋があるのですが、最近昼の営業時に50代くらいのおじさんが2人だけで回しています。客席数に対して明らかに人員が少なく料理を作るだけで手一杯の様子で、接客は満足に出来ていない様子でした。
会社として改善しないのかな?と思いましたが、この状況は今後少子高齢化社会が進んだ職場では、50代以上がメインの働き手となり少ない人員で回すという、現実的でディストピアな未来を見たような気がしました。

サイバーパンク的な未来はユートピアになりえるのか?

現地での観察を通じて若者が多く暮らす社会と若者が減っていく日本の社会の現実を体感しました。
日本では国や行政、企業が子育てに関する支援に力を入れていますが、その先にはフィリピンのように若者が多く暮らす社会になるのだなと、そのビジョンの一端が見えた気がしました。それは活気がある良い世界だと思います。
現在先進国を中心にAIやメタバース、WEB3などの技術発展により次世代に向けた新しいビジョンが示されています。そういった新技術は先進国や高齢化社会における労働力不足の解消や、諸般の社会問題を補う可能性があり、今後も発展してもらいたい領域です。
しかし、そもそもそういったイノベーションを生み出すのは新しい発想を持った若い世代であり、彼らの熱量から生まれるものだと思っています。
今のまま高齢化社会が進み、これらの技術革新によりサイバーパンク的な世界が構築されれば、社会は維持できるのかもしれません。(その世界も見てみたいですが)
しかし、それと同時に若者が多く暮らす社会も達成できれば、一番健全なような気もします。
いずれにせよ、僕らの子供が大きくなる頃には、若者が熱量を持って、日本社会が活気あふれるユートピアであって欲しいなと思います。

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