【アメリカシビックテックレポート2日目】Code for Bostonで見たシビックテックのエコシステムと優しさに溢れた工夫たち
こんにちは!
シビックテックレポート2日目は2018年10月に参加したCode for Bostonが主催するイベントで見たものについて書いていきます。
はじめに
Code for Bostonはアメリカのボストンで活動するコミュニティであり、僕は滞在中にCode for Bostonが毎週1度火曜日の夜に開催しているCivic hack nightというイベントに2回ほど参加しました。「Civic hack night」もしくは「シビックハックナイト」は日本を含む世界中の多くの地域で行われている、定期的に人が集まり地域の課題について話し合いをしたり、課題を解決するためのアプリケーションを開発するといった「タウンミーティング」のIT版のような活動です。日本でも何度か参加したことがあったのでイメージは沸いていましたが、実際に参加してみるとたくさんの面白い発見がありました。
会場はMITの近くにあるビルでした。初イベントはいつも緊張します
募金も一工夫(TabとSpaceどちらが好き?という質問です🤣)
頻繁なイベント開催と同時進行で自走するプロジェクト
僕の中では「シビックハックナイト」というのは課題解決というよりは月に1回話し合いをしたりプロジェクトの進捗共有をする場というイメージでしたが、ボストンのハックナイトは参加者全体での話し合いの時間がほとんどなく、簡単な挨拶を済ませたらすぐにプロジェクトに分かれた開発が始まりました。プロジェクト数も僕が参加した回は5つほどあり、またどのグループでもすでにモックが出来上がっており、中には海外から参加している人がいるグループや外部スポンサーがついて大規模な開発が始まっているグループもあるなど、市民コミュニティの活動とは思えないような活発さに驚きました。またハックナイト自体も毎週1回、毎回4時間近く活動していると聞き驚きました。ボストン以外にも多くのコミュニティが同じような開催形態をとっているそうです。
イベントの様子です。僕が参加した会の参加者は30人ほどでした。
新メンバーに対する手厚いサポート
僕が参加した回には僕を含めて初参加の方が10人ほどいたのですが、プロジェクトが始まってその10人でホールに残っていると主催者の方から「新メンバーオリエンテーションをするから奥の会議室に来てくれ」と言われました。会議室に入るとまずCode for Americaが作成したシビックテックとは何かについて説明をする1-10分ほどのビデオを見せて貰い、その後お互いに簡単な自己紹介をしました。ここまでは「手厚いな〜」くらいに思っていたのですが、自己紹介後に各プロジェクトのリーダーが部屋に入って来て各プロジェクトの概要と欲しい人材を説明し、合いそうな人を自チームに勧誘するという時間があったのは驚きでした。
こうした時間を設けることでシビックテックイベントでよくある初参加の人がポツンとなってしまう状況を解消することができていいなと思い主催者の方にこうした取り組みを始めたきっかけを聞いたところ、Code for Bostonも以前は初参加者が2回目の参加をなかなかしてくれないという課題を抱えており、それを解消するために始めたというお話を聞くことができました。ソリューションの的確さはもちろん、現状の課題を把握し解消に向けて大規模な変更をしていく姿勢というのは見習うべき点だなと感じました。
初参加者向けレクリエーションの様子です。手厚さに感激しました。
外部コミュニティとの連携
イベント終了後に、主催者の方にボストンでシビックテックに取り組んでいるコミュニティやイベントなどがないか聞いたところ、大学や企業などたくさんの情報を教えていただきました。どうやらボストンではMicrosoftを中心とした企業やMITやハーバード大学といった大学、そしてCode for Bostonなどの市民コミュニティが相互に連携しならがシビックテックに取り組んでおり、定期的に全てのセクターが集まり情報交換をするような場も作られているそうです。またこうした外部との繋がりがあることで、外部の人がプロジェクトを持ち込んだり、進行中のプロジェクトが外部セクターとつながるなどの相乗効果が起こり、プロジェクトが発展、持続するという現象が起きているとのことでした。主催者の方から聞いた情報を頼りに後日アポを取れた全てのセクターに会いに行った話をここに書いているので、興味がある方はぜひ読んでみてください!
終わりに
Code for Bostonはもう6年以上も活動しており、また大学やIT企業などが集まる場所ということもあり、セクター関の連携やプロジェクトの進め方、新しい人の巻き込み型など、シビックテック分野での多くの学びを得ることができました。また、後日にリーダーの方とランチをご一緒させていただく機会をいただき質問をしたところ、リーダーの方が過去にデザイナーとして自治体と協力したことで自治体との信頼関係やコネクションを作ることができたということや、企業や大学が作る「フォーマルな場」との差別化を図りCode for Bostonは市民が集まるインフォーマルな場を作っているという運営側のスタンスなどが活動の発展や持続につながっているということを聞くことができました。さらに、リーダーの方が現在子育てのためにほとんど活動に参加していないという状況でコミュニティが自走しているという話は衝撃的でした。ボストンに限らず、引越しや転職などで地域を離れることが多いアメリカで活動が長く続いているコミュニティでは、リーダーやコアメンバーが入れ替わったり抜けたりすることを見越して、ドキュメントや役割の分散でそこに対応できるような仕組みを作っているケースがたくさんありました。僕自身、自分が忙しくなって止まってしまった活動がたくさんあるので、こうした工夫はぜひ見習っていきたいです!
リーダーの方とのランチはとても楽しかったです!
ちなみに、ボストンの記事に関してもイベントに参加した日に興奮して寝るのも忘れて日英で書きなぐったfacebookポストを掘り起こしたので、興味がある方はぜひこちらも読んでみてください〜
https://www.facebook.com/shouta.ohnishi/posts/1449290951869891
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