弁護士会別新人採用数の推移メモと雑感
一昨日、司法試験合格者減少を訴える共同声明が発表された。
去年、同声明に名を連ねたのは埼玉、千葉、栃木、山梨、長野、兵庫、富山、山口、大分、仙台、山形、秋田、札幌の13弁護士会だった(*1)が、今年は70期、71期連続で新卒採用してなかった秋田が外れたのではないかと予想している。
本発表を受けて、全弁護士会の新人採用数の推移をグラフ化してみた。
※62~71期はジュリナビの司法修習生進路調査のデータ(各年6月時点)(*2)、72期は山中理司先生のブログのデータ(2019年12月一括登録時点)(*3)参照
※凡例の弁護士会は、マウスオーバーした弁護士会のみ強調表示、クリックすると表示/非表示の切り替えが可能(弁護士会を選択して比較可)
修習修了者数が2,000人台から1,500人台まで減少しているので、全体の傾向としては減少か横ばいになっているが、一弁だけが増加傾向にあるのは興味深い(5大の新人弁護士に一弁の登録者が多いのかもしれない)。
また、72期は暫定の数値とはいえ、東弁の大幅な減少が目に付く(もしかしたら東弁は一括登録のタイミングで登録しない事務所、弁護士が多い?)。
ちなみに割合で見ると、TOP10の中では、一弁、二弁、大阪、愛知、神奈川——特に二弁、大阪、神奈川は人数ベースだと昨対で減少しているが——が昨対で増加している。
地方弁護士会が毎年、合格者減の共同声明を発する一方、東京三会への集中及び5大の採用拡大、大阪と愛知の採用割合増加からも分かるように、引き続き企業法務周りの弁護士ニーズは大きいと推察できる。
「当地の弁護士会の採用数を減らすべきだ」なら分かるのだけど「合格者を減らせ」になってしまうのには、大都市圏の企業法務系弁護士と地方の街弁という地理及び業務内容の違いに加え、世代間による情報リテラシーの格差による認識の乖離が大きいのかもしれない。
そもそも本来、資格試験は必要とされる水準を上回る成績を収めれば全員合格とされるべきものであるのに、先に人数ありきで合格者数が決まっているような今のシステムも不可解なのだが。
*1 千葉県弁護士会「司法試験合格者数のさらなる減員を求める13弁護士会会長共同声明」(2019年)
*2 ジュリナビ「司法修習生進路調査」
*3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)のブログ「弁護士会別期別の弁護士数の一覧表」
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