グロースハッカー視点でのAdobeMAX Japan2019イベントレポート
こんにちは。Web広告の会社でグロースハッカーをしている岡部翔太です。
2019年12月3日にパシフィコ横浜にて開催されたAdobe MAX Japan 2019に参加してきました。
自分はどちらかというとクリエイター職ではないのですが、動画に関連するプロジェクト関連でちょっとだけPremiereを触っていたり、プロダクト設計でXDを使用したり、プロダクトのUI/UXデザインを担っていたり、仕事外では個人でPhotoshopやIllustratorを使用する機会があるので、今回こちらのイベントに参加しました。
イベント柄クリエイター視点でのイベントレポートがnoteはじめたくさんありますが、自分はグロースハッカーという視点でこのイベントで学んだことをまとめたいと思います。グロースハッカーという職種の人はまだまだ少ないと思いますが、いわゆるマーケターやPMに該当する人に読んでもらい拡散いただけたらなと思います。
クリエイター論やAdobe製品の機能については、他の方のレポートにたくさんあると思いますので、このnoteではあまり触れません。デザイン関連の専門用語もあまり使わないように心がけて執筆しました。長いですがお時間ある時に是非ご一読ください。
Adobe MAX Japanとは
※Adobe MAX Japanをご存知の方はこちらは読み飛ばしてください※
以下Adobe MAX Japan公式サイトより引用
Adobe MAX Japanとは、グラフィックデザイン・写真・UI/UXデザイン・web制作・映像制作に携わるクリエイターの方、およびそれらを目指す方を対象に、第一線で活躍するクリエイターのアイデアやテクニック、Creative Cloudの最新ワークフローなどを実感・体験いただける、クリエイターによるクリエイターのための日本最大級のクリエイティブカンファレンスです。
すごく簡単に言うと、グラフィックス〜UI/UXまでデザインに関わるAdobe製品やそれらを使った人と一緒に働いている人のためのカンファレンスです。
日本では2017年から開催され今年で3回目。年末ちょっと前くらいにパシフィコ横浜で開催されています。
自分自身色んな企業が主催しているカンファレンスに参加したことがありますが、AdobeMAXの印象を一言でいうと「クリエイティビティ溢れたオシャレ」といった感じです。(あとクリエイティブな企業がたくさん出展するのでノベルティめっちゃもらえる)
企業の出展ブースも、サービス紹介だけでなくクリエイティブ体験型のスポットが多かったです。(出展ブースについては後述)
会場の雰囲気作りはもちろん、アフターパーティーは現役のAdobe社員でありながらUltraでDJをつとめたことのある方やAdobe製品を完全に使いこなしているVJでもはやクラブみたいな雰囲気です。
Adobe製品とコラボしたオリジナルカクテルも洒落てて、自分でドライフルーツを盛って完成させるという、参加者のクリエイティビティをくすぐる演出も忘れてはいません。
(盛るのが下手なのはご愛嬌)
朝10時の基調講演からAfter Party終了が21時近かったのですが、朝から晩まで丸一日クリエイティブに触れることのできた一日を過ごせました。
1.CreativityやImaginationは人間の本能であり真理である
Adobe MAX JapanのKeynoteで放たれた言葉です。
我々人間は大昔からずっと未来を想像し、そのために何かを創造しました。すごく昔だと石器もそうだし、農作物もそう。PCやスマホも人間のCreativityとImaginationの塊です。
そして我々人間のCreativityやImaginationを阻む大きな壁があります。
良いImaginationをするためには時間がかかる、良いImaginationを短時間で量産できるようになるためにも時間がかかる、そして何よりそれを形にするのに時間がかかります。
CreativityとImaginationを実現するためには時間はつきものです。
今回のAdobe MAX Japan 2019のテーマの1つ、この「TIMEの壁」を、Adobe Senseiと言われるAIの力を使ってどう乗り越えていくのか、というのがあります。
今まで背景領域を自分で選択して透過処理しなければなりませんでしたが、Adobe Senseiの力でそれがワンクリックです。
AIというと今まで出来なかったことが出来るようになるという期待を抱いて導入している人も多いと思います。もちろんAdobeでもAIを使った新機能はあるのですが、CreativityとImaginationを阻害している要因(PAIN)をAIの力を使って解決しました。これにより何か新しいことが出来た訳では有りませんが、今までこの作業をやっていた人は、このために費やしていた時間をよりクリエイティブのために割くことが出来るようになりました。
他にもPhotoshop Cameraという次世代の写真加工アプリがあります。
これも今まで色々なソフトを組み合わせれば出来なかったことでは無いですが、この画像のように加工するのはかなりのテクニックと時間が必要です。恐らくInstagram等を使っている大多数の人は、実現することすら難しいと思います。
AIの力を使って時短+αが実現できる
そしてそれが人間の本能と真理を呼び覚ましている
だから人が惹きつけられるものを創れる
Adobe製品自体、クリエイターを惹きつけるプロダクトになっていると感じますし、Adobe製品で創られたものも人を惹きつけられることが出来るようになっていると感じました。
2.嫌われ者にはクリエイティブの服を着せて
インターネットの広告市場は伸びている、ということをここ数年で耳にする機会が多くなったと思います。
電通が毎年出している「日本の広告費」という調査でもインターネット広告はグングン伸びており、TVの広告費を抜くのも時間の問題、というところまで来ました。
でも、いつの時代も広告は嫌われ者でした。
テレビCMも早送りするし、YouTubeを見ている時に出てくるCMは5秒だったらすぐスキップするし、Webサイトにあるバナーは間違ってクリックしたらイライラします。
インターネット広告の会社に勤めている自分ですらそうです。
では逆に考えてなぜ、テレビのCMじゃない番組本編は早送りせず見るのでしょうか、Webサイトの記事もちゃんと読んで関連する記事だったら回遊するのでしょうか。
答えはそれらが受け手にとって価値のあるものだからです。
インターネット広告業界はこれからもどんどん競合の乱立が見込まれます。
だからこそ、受け手にとって価値のある形で広告する必要性が出てきます。
受け手にとって価値のあるものとは「おもしろいもの」か「タメになるもの」です。TV番組本編やWebサイトの記事であれば、このどちらかを満たすように創ることは出来ますが、ネット広告の場合は広告を見てもらえる一瞬で「おもしろい」か「タメになる」を表現しなければなりません。
ネット広告業界にいると、この「おもしろい」「タメになる」をクリエイティブ以外の面で実現することも出来ると思います。
ただ、それは情報の需要側、いわゆる生活者にとって本当に「おもしろい」「タメになる」と一瞬で感じさせることが出来るのでしょうか?
極端な話、「嵐が出演している」「橋本環奈が出演している」このクリエイティブだけで十分おもしろいコンテンツと思ってもらうことが出来ます。
そしてそれがきっかけで触れてくれたネット広告のコンテンツが、更に「おもしろい」か「タメになる」ものであれば、ネット広告は嫌われ者ではなくなると思います。
「広告=嫌われ者」この構図はもう現代人にインプットされている
まずはクリエイティブの服を着せ、接点をもたせて、
「おもしろい」「タメになる」を伝えよう
3.Stock Photoには生活者の内面があらわされている
Adobe Stockのビジュアルトレンドは、2019年生活者が求めていること、2020年生活者が求めることを表しています。
こちらは画像と共に見ていただきたいのでTwitterモーメントにまとめました。
例えば「成長」を表すStock Photo
今までは人が手塩にかけて育てるという側面が強かったことから、左のようなギミックが好まれましたが、「21世紀はデータの時代」と言われるほどデータが活きる世の中になった今は、同じ「成長」を表すにも右のようなインフォメーショングラフィックスの方が訴求力が強いとされています。
文章よりも目に入りやすく頭で処理しやすい画像
そこから生活者が求めているものを理解し
有効に活用しよう
4.基本的には原理に基づき、時にちょっとはみ出す
インタフェースはプロダクトのシステムとユーザを繋ぐものであり、インタラクションをもたらします。
人に気づきを与え、人の行為に対して期待した反応をするという一連の流れをデザインすることがインタラクションデザインです。
自然で気持ちいいと感じるデザインには経験則を意識することが重要です。
例えば、蛍光灯とユーザをつなげるために蛍光灯をつけるスイッチというインタフェースがあります。
[気づき]
部屋が暗い。
写真のような恐らく照明のON/OFFスイッチであろうものを経験的に見つける
部屋が暗いかつスイッチが左側が押されている状態なので、右側が押されている状態にすれば明かりがつくと経験的に推測する
[行為]
スイッチの右側を押す
[反応]
カチッと言う手応えと同時に照明が点灯する
これらは我々が経験則的に自然であると脳に刷り込まれています。
UI設計の際に、凝ったギミック等をつけるのではなく、ユーザの導線が経験則的に自然であることを意識することが大切です。
例えば、情報は「左→右、上→下」の流れで配置する。
これだけでも経験則的に自然なインタラクションデザインが出来ていることになります。
ここまではユーザにインタフェースが原因でマイナス印象を与えないようにするためのお話です。今度はユーザにとってインタフェースが要因でプラスの印象を与えるためのお話です。
それは「気づき」→「行為」→「反応」のサイクルに「好奇心」を足すことです。
反応が自然の摂理とちょっと違う、決して不自然じゃないんだけど、なんか違う。
そんな反応があることでユーザはその反応に好奇心を抱きます。
好奇心を抱いたユーザはまたその反応を見るために、再び「行為」を起こします。
「気づき」「行為」「反応」が作り上げるシステムとユーザの間で起こることの意味を見つけデザインする
それに好奇心で試したくなるような余白をつくると
おもしろいと思ってもらえるものが出来る
5.自分で自分をぶっ壊す
After Party(Beer Bash)中に「Adobe Sneak Preview」という開発中の機能を先取りで紹介するコーナーがあり、そこでPhotoshop等で加工されたフェイクを見抜く機能を開発中との発表がありました。
Photoshop=写真加工をするためのアプリケーションなのにそれを検出して元の画像に戻す機能も開発中。
Adobeは自らのアイデンティティをも破壊するかのようなサービスの開発に着手しているが、これは「画像加工のエコシステム」がAdobeで創り上げることに繋がっていると思います。
つくったものはいずれ壊れる
これはものづくりの基本中の基本です。だからこそ「修理」という文化や「廃棄」という文化が生まれます。
そしてAdobeはこの機能を持つことで「創る」「加工する」「壊す」「修理する」といったものづくりのライフサイクルを全てAdobeのエコシステム上で出来ることになります。
Imagination(想像)→Creativity(創造)→Disrupt(破壊)
クリエイティブの世界でも創造的破壊を引き起こすことで
進化をし続けることができる
まとめ
情報があふれる今だからこそ、
UI,UX,そしてクリエイティブは非常に大切であり、
ユーザもクリエイティブを重視する傾向があります。
非クリエイターとして、それを実感した一日になりました。
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