人はなぜ稼ぐのか?

乃木坂46の楽曲に「人はなぜ走るのか?」という楽曲がある。

人はどうして走り出したんだろう?
ゆっくりと歩いてた方が楽だったはず
そんなに急ぐ理由はないでしょう
心の中が燃えて来て
きっと風を探したんだね

―乃木坂46「人はなぜ走るのか?」より引用

因みに「人はなぜ走るのか?」という問に対する答えとして、ニッセイ基礎研究所の研究員は「合理的な答えは無い」としている。
参考:「人は、なぜ走るのか」-合理的に説明できない価値の魅力(2)

そして我々は、お金を稼がない方が楽なのにお金を稼ぐ。

確かに資本主義の現代、お金がなければ生きていけない。だから働く。

もちろん主目的はそうだろう。
でも現代においては「働く」ということはそれ以上の意味があるのだろうと感じる。

学生時代、とりあえず遊ぶ金が欲しくてバイトをした。
社会人としても企業で働いている。
僕を含め多くの人はこんな感じだと思う。

ただ、社会人としての「働く」は学生時代のそれとは大きく違う。


お金を稼ぐことは悪いことか?

急にこう聞かれると、そんなことは無いという人がほとんどだろう。
でも聞き方を変えて、「部下が給料を上げるよう上司に交渉する」ことは悪か?と聞かれれば、両手放しで称賛すべきことでは無いと答える人がほとんどだろう。

それも無理はない。日本人の多くは「お金は汚い」「金銭にこだわるのは卑しい」と思われるようにすり込まれて生きてきた。こういった価値観を「金銭忌避」と呼ぶ。
実はこの金銭忌避のルーツは本能寺の変まで遡る。
参考:日本人は、なぜ「お金の話」をするのは恥ずべきことだと思うようになったのか?――マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

だから実は給与が低いという理由で転職したのに会社にはそれを告げず適当な理由をつけ退職、会社も給与が理由とは思ってないから別なところを改善したけど離職率の改善には繋がらなかった、ということが起こっている。

ましてや、自分では給与が低いことが転職理由だと認めたくないから、わざわざ他の理由を探してまで転職する、なんて人も聞いたことがあるくらい、日本人には金銭忌避が根付いているのだ。


企業とは利潤の追求を目的として活動する団体である

小学校の社会科の教科書にかかれている「企業」の説明にこう書かれている。もっとざっくり言うと、企業とは金儲けをするための団体である。因みに教科書には、金儲けではないことを主目的とする団体のことはNPOと呼ぶ、と書いてある。

例えば、もし食品スーパーの主目的が利潤を追求することではなく、我々に食べ物を提供することなのであれば、無料で食材を配布すれば、今よりもより多くの人に対して主目的を達成することができる。

勿論企業が金儲けのことだけを考えている訳ではない。「生活者の暮らしを豊かにする」旨のミッション・ビジョンを掲げている企業がほとんどだ。
例えば食品スーパーなら、人々の食生活をより豊かにするために、より多くの食材や、忙しい人のために調理済みの弁当や惣菜も提供する。それを実現するためにはお金がかかるから利潤を追求する。

すなわち、企業がお金を稼ぐとこは最終的にはユーザのためになる。

例えば僕がオリジナルTシャツを原価で売る、すなわり利潤を追求せず、岡部翔太オリジナルTシャツを欲しい人に届けることを主目的とするとしよう。

オリジナルTシャツは、10枚10,000円で作れるとする。
原価で提供している以上損をすることは出来ないかつ、誰も原価で売るような人に投資等の資金提供はしてくれないので、10枚注文が来たら発注する。

そこで例えば11枚の注文があった場合、10枚は発注して注文者の元へお届けできるが、11人枚目を注文した人はあと9枚発注がないとお届けすることが出来ない。


ではここで、利潤を追求して1枚2,000円で売るとしよう。
そうすると5つ注文が来た段階で発注をかけることができる。
すなわち、11枚の注文があった場合、22,000円手元にあるので20枚発注することができる。
したがって11枚目の発注者にもお待たせせずにお届けすることができる。

これを繰り返すことで、より多くの人にTシャツを届けることが出来ている。
利潤を追求した場合の方が、目的を達成しやすいのだ。

だから、企業がお金を稼ぐことはユーザのためになると言える。


個人がお金を稼ぐことは悪か?


では、サラリーマン一個人がお金を稼ぐことは、誰かのためになるのだろうか。何かのためになるのだろうか?

僕のこの問いに対する結論としては、その人物を雇っている会社のためになり、最終的には社会のためになる、と考える。

今よりも多くのお金を稼ぐと何ができるか想像してみよう。

良いものが食べれる、より良い環境に住める、より多くの体験ができる。

ただの贅沢じゃないか。と思うかも知れない。しかしより良いものを食べたり、より良い居住環境を手に入れることで心身ともに健康な状態を維持することができ、最大限仕事のパフォーマンスを上げることができる。
多くの体験が仕事の原動力となる可能性もあるし、新しい企画のきっかけとなっているかも知れない。

そういう人が増えると会社は更に業績を上げることができる。先程の理論同様、会社が儲かれば社会が良くなる。

給与が上がったことを更に仕事に活かすことができるような人に、たくさんの給与を払うことで会社の価値を上げることができ、会社として社会に貢献することができる。

だから個人が稼ぐことはとても良いことだ。


稼がないデメリット

誰一人として同じ人間はいないが、もし仮に完全に同じパフォーマンスをする人間が2人いたとする。一方が年収1000万円で雇え、もう一方が年収300万円で雇えるなら、年収300万円の人の方を会社として選択するというのは自然だ。

我々が全く同じ商品が100円と30円で売られていたら誰しもが30円の商品を買うのと同様だ。

しかし給与が低いこと=稼がないことにもデメリットがある。
まず、人間は余裕がないと脳機能が低下する
参考:「余裕がない」は本当にマズい。現代人には “3つのゆとり” が必要だ。


また、有名なマシュマロテストという実験を再現した実験で、マシュマロテストを受けた子供の家庭環境によって、実験結果は影響するのかということを調査した実験から分かる。
参考:Why Rich Kids Are So Good at the Marshmallow Test

※マシュマロテスト
被験者である子どもをマシュマロ一つと机と椅子だけがある部屋に通し、「私が帰ってくるまでの15分の間、マシュマロを食べるのを我慢したら、マシュマロをもう1つあげる」と良い部屋を後にする。
マシュマロテストでは、マシュマロを我慢できた人の方がその後の追跡調査において、大学の成績が良い等、将来的に活躍する傾向にあるとの結論が出された。

そして、上記の参考記事を簡単に説明すると、今回の実験では、子供の家庭環境別にこのマシュマロテストを実施し、子どもが3歳の時点における家庭の年収と環境がマシュマロテストにおいてマシュマロを我慢できるか否かに対して重要な要素であると結論が出されている。
もちろん、この実験はかつてのマシュマロテストの結果を否定するものではないため、貧乏でもマシュマロを我慢できた人は活躍する傾向にあると思われる。

この実験から言えることは、金銭的な余裕がないと中長期的な合理性よりも、短期的な合理性が先行するということである。

これは社会人にも同様のことが言える可能性があるので、お金を稼ぐ社会人はお金を稼がない社会人に比べて、短期的な利益ではなく、中長期的に物事を考え、より社会のために仕事ができる人になる、と言えるかも知れない。


[結論]人はなぜ稼ぐのか

人はどうしてお金を稼ぐのだろう?
目先だけ考える方が楽だったはず
そんなに稼ぐ理由はないでしょう
利潤を追求することで
きっと社会良くしたいんだね

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