世界の人口の6割が安全な水にアクセスできない!
新型コロナウイルスによる世界的パンデミックになってから3年が経とうとしている。いまはインフルエンザが猛威を振るっている。コロナ陽性者やインフルエンザの感染者が発生し、多くの人が罹患し、最悪の場合、命を奪われるケースもあったが、日本という国は基本的に勤勉で真面目な民族なので、コロナのパンデミック状態の際も、現在のインフルエンザの感染防止のためにも、マスクの着用やこまめな手洗いを履行しているのは日本人ならではなのだろう。さらに、日本は世界でもトップクラスの「安全な水にアクセスできる国」だからということもあったのだろう。日本には蛇口をひねるだけで安全かつキレイな水が飲める環境にあり、公園に無料の水飲み場や公衆トイレがあるのはあたりまえになっている。
さて、SDGsの6番目に挙げられている「安全な水とトイレを世界中に」という項目は、世界中に安全な水やトイレにアクセスできない人がたくさんいることを示している。「2030 年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。」と謳われているが、果たして実現できるのだろうか。WHOの定義では、「安全な水にアクセスできる」とは、「1キロ以内に一人1日20リットルの安全な水を確保できる場所がある」ということだ。
世界に目を向ければ、世界の人口の約3分の1(約22億人)が安全な飲み水を使えない。また、安全に管理されたトイレを使えない人は約42億人もいる…これが地球の現実である。途上国では、上下水道設備などのインフラが整っていないことも多く,糞や尿、家庭や工場から捨てられた水が流れ込んだ川や湖の水、また、有害な物質が染み込んだ土地の地下水など、汚れた水を処理しないまま飲み水として利用していることも少なくない。このような衛生的に処理されていない水は、子どもの健康に大きな影響を与え,下痢などの病気になる可能性を高める。その結果、下痢で命を落とす5歳未満の子どもの死亡数は,毎年36万人にもなっている。また、不衛生なトイレや汚れた水は、コレラや赤痢など恐ろしい感染症の原因にも大きく影響する。さらに、水にアクセスできない国で水汲みの仕事をするのは子どもや女性であり、そのために子どもの教育や女性の社会進出の機会が奪われる。安全な飲料水がたやすく手に入る社会が実現すれば、人々の命が救われるだけでなく、子どもの教育水準向上や女性の社会進出も促進され、その国自身の経済発展にも繋がるのだ。
高校生に、ルワンダなどの開発途上国の子どもが20リットルのポリタンクを片道30分かけて水汲みに行くことを教え、試しにチャレンジさせてみた。
途上国の少年少女は汗びっしょりになりながらも、毎朝行っている作業だが、その子たちより年上で、1日3食満足に食している日本の高校生は、ポリタンクを持ち上げることすらもできない子、頑張って5メートル歩いてギブアップする子ばかりだった。
日本に生まれたことを幸せに思うよりも、同じ地球に生まれた子どもが家族の命のために毎朝5時に起きて、30分以上かけて水汲み場まで歩き、20リットルの水をポリタンクに入れて、家まで戻って来なければならない暮らしが同じ地球に存在することを不条理で不平等なことだと感じてくれると嬉しいのだが…。