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「服育」~衣服の5Rがすばらしい~

3Rとは?

 3Rとは、「ごみを出さない」「一度使って不要になった製品や部品を再び使う」「出たごみはリサイクルする」という廃棄物処理やリサイクルの優先順位のことだ。学校でも教えているので、3つのRは、多くの人が知ることとなった。「リデュース(Reduce=ごみの発生抑制)」「リユース(Reuse=再使用)」「リサイクル(Recycle=再資源化)」の頭文字の”R”を取って「3R」と呼ばれているのはご存知だろう。

 2000年に環境省が公布した「循環型社会形成推進基本法」は、この考え方に基づき、廃棄物処理やリサイクルの優先順位を(1)リデュース、(2)リユース、(3)リサイクル、(4)熱回収(サーマルリサイクル)、(5)適正処分と定めている。3Rに「リフューズ(Refuse=ごみになるものを買わない)」を加えて「4R」、さらに「リペア(Repair=修理して使う)」を加えて「5R」という場合もある。    <字数:2479文字>

「もったいない」と私たちにできる3R 

 「服育」は衣服をとおして子どもたちの豊かなこころを育む取り組みだ。株式会社チクマさんが提唱した考え方で、上記の画像もチクマさんの登録商標だ。
 衣服を通して地球環境を考える「EARTHINK」、衣服を通して着こなしやマナーなどの社会性を考える「DRESSTHINK」、衣服を通して健康や安全を考える「LIFETHINK」…これらの服育の3つのTHINKのうち、「EARTHINK」では、「もったいない」の精神を持った『衣服の3R』を考える。

 私たちにできるリデュースの第一歩は、長く着ることのできるデザインを選ぶことだ。 それぞれの素材にあった正しい方法で手入れすれば、いつまでも着ることができる。

 私たちにできるリユースの第一歩は、修繕(Repair)することのできる少しのほころびや破れなどは繕って着ることだ。 着る機会がなくなった場合には、着てくれる人を探すことも、フリーマーケットに出すということも大切だ。

 私たちにできるリサイクルの第一歩は、回収などに出す場合は、きちんと洗濯をして完全に乾かして出すことだ。生乾きのものがあるとカビのもとになる。回収された衣服の内、状態の良いものはリユースに回されることもある。素材によってはほどいたり裂いたりして、もう一度衣服に仕立て上げることもできる。 他のものから衣服へのリサイクルとして、PETボトルを衣服にするリサイクルもある。これは回収されたPETボトルを再生ポリエステルにして衣服を作るリサイクルだ。

 日本における衣服のリユース・リサイクル率は35%、消費者は衣服の購入時に「価格」を最も重視する現状で、「循環型ファッション」の実現は容易ではない。衣服は様々な機能を持つため、人と社会のウェルビーイングに直結しており、繊維製品に広げてみてもタオルやマスクなど生活に欠かせないものばかりだ。そして、幅広い機能に合致させるため、多様で多品種の生産がなされている。同じポリエステルでも、透明で単一素材のPETボトルとは異なり、リサイクルが進みにくいという現状がある。

 世界の衣服生産量は20年間で倍増した一方で、1着当たりの着用期間は半減している。また、全世界の温室効果ガス排出量の8~10%は衣服産業由来で、海洋に流入するマイクロプラスチックの約35%は繊維由来だ。そんな状況にも関わらず、日本では年間75.1万トンの衣服が手放されている。即ち、持続可能な消費と生産形態の実現が急務となっている。

 この背景にあるのは、ワンガリ・マータイさんが世界的に広め、現在では英語としても使われる「MOTTAINAI」という考え方だ。そもそも「もったいない」という言葉は和製漢語で「勿体ない」と書く。「勿体ない」の「勿」という字は、もともと「物」の略字で、物の本質を「なし」と否定するから「もったいない」という使われ方をしたという説がある。また「勿」自体に「無い」という意味があり、「もったいない」の「ない」は強調の「ない」だという説もあるようだ。いずれにしても物の本質を失うという意味を持っている言葉だ。その他にも仏教用語だとか庶民の言葉だとか諸説入り混じっているが、日本人の本質にあった言葉とみえて、今や世界の多くの人が知っている日本語の一つとして認知されている。

マテリアル・リサイクルの限界

 サーキュラーエコノミー(circular economy)とは、EUが2015年12月に政策パッケージを公表したことで世界的に広まった概念で、日本では「循環経済」とも呼ぶ。2020年の持続可能な投資における規則のなかで、次のように定義がされた。

「製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、生産と消費における資源の効率的な利用を促進することによって資源利用に伴う環境影響を低減し、廃棄物の発生ならびに有害物質の環境中への放出を最小限にする経済システム。3R対策の優先順位を適用することを含む。」

 世界の繊維生産量の半分以上はポリエステルだ。ポリエステル繊維の90%は中国で生産され、そのうち約14%がリサイクル・ポリエステルだが、その原料は廃棄されたPETボトルだ。日本でPETボトルはボトルtoボトルでマテリアル・リサイクルされるが、中国では食品衛生の観点から認められていないため、ボトルto繊維でマテリアル・リサイクルされている。しかし、PETボトルの生産量はポリエステル繊維の生産量の5分の1程度しかなく、原料調達に限界がある。そこで繊維のリサイクル率を上げるためには、繊維to繊維のケミカル・リサイクルを進めていく必要があるのだ。中国においても、廃棄繊維からのケミカル・リサイクル繊維を、2025年に200万トン、2030年に3百万トンに引き上げることを標榜しているという。

 今回は「服育」について書いてみたが、「~育」という言葉でふと思いつくのは「食育」くらいだ。しかしながら、「~育」という言葉はどんどん増えているようだ。一度調べて記事にしてみようかな。


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合同会社Uluru(ウルル) 山田勝己
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