
ビキニ事件(第五福竜丸事件)に思う
東京の夢の島に「都立第五福竜丸展示館」という資料館があることを知った。名古屋市の東海中学・高等学校を会場とした愛知サマーセミナーに久しぶりに参加し、「ビキニ事件を知っていますか?」という講座を受講した。
(※ 上記写真:wikipediaのブラボー実験より引用)<字数:3,935文字>
1954年3月1日に、太平洋のビキニ環礁でアメリカの水爆実験による死の灰を浴びた第五福竜丸が母港の静岡県焼津に帰港し、乗組員の被曝と水揚げしたマグロの放射能汚染が明らかになった。その後、他の漁船から水揚げされたマグロも汚染されていることが判明し、廃棄処分になった。食生活への不安だけではなく、放射能雨が全国に降った。それほど大きな不安が元になり核実験の禁止と原水爆禁止を呼び掛ける署名運動が全国的に展開されることとなった。
東京都杉並区が原水禁運動の発祥地だと言われるのは、次の年表が示すように杉並の魚商たちや杉並公会堂がこの運動の拠点としての役割を果したことが大きく、署名運動は全国的な広がりを持ち、原子爆弾が投下された広島での展開も重要だった。
1954年 3月 1日 アメリカがビキニ環礁で水爆実験を実施 日本のマグロ漁
船第五福竜丸が被曝。
3月16日 読売新聞が第五福竜丸の被曝を報道。
3月18日 静岡県議会を皮切りに、全国で水爆実験禁止を訴える決
議。署名の機運高まる。
4月 2日 東京都内の魚商が、買出人水爆対策市場大会を開催し、
杉並魚商組合員・菅原健一氏も参加。
4月17日 杉並区議会が水爆実験禁止を全会一致で決議。
5月 9日 水爆禁止署名運動杉並協議会が発足。
5月13日 水爆禁止署名運動杉並協議会が、杉並区全区で署名運動
を開始。
7月20日 区内署名集計27万3,916筆。
8月 8日 原水爆禁止署名運動全国協議会(事務局長:安井郁氏、
事務局:杉並区立公民館長室)が発足、全国運動に展開。
1955年 1月19日 ウィーンにて世界平和評議会が開かれ、安井郁氏が招か
れて出席。安井氏は日本における原水爆禁止署名運動を紹
介。この会議で原子戦争準備反対の「ウィーン・アピー
ル」がなされ、世界的な署名運動へ展開。
8月 6日 第1回原水爆禁止世界大会を開催(会場:広島)翌7日、
全国署名数3,216万筆突破 そのうち広島は100万以上。
9月18日 第1回原水爆禁止世界大会後、広島・長崎の原爆問題と原 水爆禁止を主軸にした「原水爆禁止日本協議会」が発足。 全国署名数が3,259万必を突破
私は知らなかった。原水爆禁止運動の象徴とも言える第五福竜丸が、一時は廃棄処分になり、そのまま朽ち果ててしまう可能性さえあったことを!
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