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イソップ寓話「木こりと旅人」に学ぶ
「木こりのジレンマ」という言葉があることをつい最近知った。
「木こりのジレンマ」とは、目先の仕事に追われてそれをこなすのに精一杯になり、仕事の本質的な改善や効率化を進める余裕がない状態を表わした言葉である。「目の前の作業をこなすのに精一杯で、それを効率良く進めるように工夫をする余裕がない」ことの例え話…もしかしたら私自身も「木こりのジレンマ」に陥っているのかもしれないと思い始めた。
「木こりのジレンマ」の元ネタとなっているのは、有名なイソップ寓話だ。その中に「木こりと旅人」という作品がある。子どもの頃、あんなに大好きだったイソップ童話なのに、恥ずかしながら「木こりと旅人」という話は読んだことがなかった。私が幼いころ読んだのは「イソップ童話」だったのだが、現在は「イソップ寓話」と表現されることの方が多い。ちなみに、「寓話」とは、「教訓や風刺を含んだ物語」のことで、擬人化した動物を主人公とするものが多くみられ、世界的に有名なのが「イソップ寓話」なのだ。「アリとキリギリス」や「北風と太陽」などでよく知られているが、イソップ(アイソポス)作と伝えられる古代ギリシャの説話集だ。
ちなみに、童話は子ども向けの物語なのだが、寓話は大人が読んでもためになる教訓が盛り込まれている。
「イソップの寓話」が日本に伝わったのは16世紀後半で、キリスト教の宣教師が日本語に翻訳することで広まったと考えられている。江戸時代初期には『伊曾保物語』として出版されている。
明治時代になると「イソップ寓話」は小学校の教科書にも採用され、以後日本人にも広く知られるようになった。
イソップ寓話の「木こりと旅人」は以下のような話だ。
ある日の朝、旅人は山の中を歩いていました。
奥深い森の中、汗を流しながら一生懸命に木を伐っているきこりを見かけました。
そして夕方、同じ道を戻ってみると・・・、朝と同じ場所で、玉の汗をかきながら一生懸命木を伐り続けているきこりがいました。
でも、あんまり作業は進んでいないようでした。
旅人は足を止めてよくよく見ると、きこりが使っている斧の刃は、ボロボロでした。
そこで、きこりに声をかけました。
旅人:「きこりさん、精がでますなぁ。でもあんまり作業は進んでないみたいですね、一旦手を止めて、斧の刃を研いだらどうですか?」
きこり:「旅人さんよ、なに言ってるんだよ、刃を研ぐ時間なんておいらには無いんだよ、木を伐るのが忙しくてさ・・・。」
アルゼンチン出身のホルヘ・ブカイが書いた本の中にも似たような話が収められている。これも寓話である。
昔々、一人の木こりが材木屋に仕事を探しにいった。給金はよく、仕事の条件もさらによかったので、木こりはそこでしっかり役に立とうと決心した。最初の日、親方のところへ挨拶に向かうと、親方は斧を一本手渡して森の一角を割り当てた。男はやる気満々で森に向かい、その日一日で18本の木を切り倒したのだった。
「よくやったな」親方は言った。「この調子で頼むぞ」
その言葉に励まされて、翌日はもっと頑張ろうと早めに床に入った。
翌朝は誰よりも早く起きて森へ向かった。ところがその日は努力も虚しく15本が精一杯だった。「疲れているに違いない」そう考えた木こりはその日、日暮れとともに寝ることにした。夜明けがくると、18本の記録を超えてやるぞ、と心に決めて床を出た。ところがその日は18本どころかその半分も切り倒せなかった。
次の日は7本、そのまた次の日は5本、そして最後には夕方になっても2本目の木と格闘していた。
何と言われるだろうとびくびくしながらも、木こりは親方に正直に報告して、これでも力のかぎりやっているのです、と誓った。
親方は彼にこう尋ねた。「最後に斧を研いだのはいつだ?」
「斧を研ぐ? 研いでいる時間はありやせんでした。木を切るのに精一杯です」
この2つの逸話は、目的を達成するために必要な「刃を研ぐ」と言う本質的な改善に手をつけないで、やみくもに目の前のことだけに注力していることだ。「時間がない」「この仕事をすぐに片づけなければ」と思えば思うほど、「頑張っている割には成果が出ない」「やってもやっても終わらない」などの、生産性の低下をもたらす状況にあることを放置していることに問題があるのだ。
もしかしたら、これは私自身なのかもしれない。私自身が「木こりのジレンマ」に陥っているのかもしれない。noteのネタを探すのに必死になっている自分がいるのだ。
以前、1年間365日連続投稿にこだわって、毎日noteに記事をアップしていたが、ネタを探すことに一生懸命になりすぎて、他の大切なことを後回しにしていた自分がいたのかもしれない。いま考えれば、私自身はいたって真面目にnoteの投稿を毎日することにこだわり、一生懸命頑張っている自分を励ましていただけなのかもしれない。
ちゃんと斧の刃を研いで、自分のペースで、みなさんに読んでいただけるnoteを書いてみようと、この歳になってイソップ寓話に教えていただいた。
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