ラオスの18番目のSDGsゴール
JICA中部でラオスの不発弾問題について学ぶ機会に恵まれ、妻と一緒に参加した。ラオスは、壮大なメコン河、古都や寺院といった世界遺産など魅力にあふれた国だが、ベトナム戦争の際に多くの爆弾が投下され、国民一人当たりに換算するとその量は世界一とのことだ。
<トップ画像:www.idsala.comより引用>
私は一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)というNGOに所属し、愛知エリアの責任者をしている。これまで小学校、中学校、高校、大学その他から講演の依頼をいただき、愛知や三重だけでなく、東は埼玉、西は大阪まで講演活動を続けてきた。カンボジアは、原始共産主義を掲げるポル・ポト派による大虐殺がベトナム軍の侵攻で明らかになり、徐々にタイの国境へと退いたポル・ポト派が多くの地雷を埋設したため、現在でも約600万個の地雷が残されている。
JICAラオスに勤務する永田彰氏によるオンラインの講演で、ラオスが抱えている問題について教えていただいた。カンボジアの西隣りがタイであるが、東隣りはラオスだ。カンボジアの東部とラオスはベトナムに隣接している。1964年から73年までのベトナム戦争の際にアメリカ軍が投下した爆弾が隣接国にも数多く撃ち込まれてしまった。永田氏によると、ラオスにはこの9年間で58万回で2億7千万個の爆弾が投下され、うち8千万個の子爆弾が不発弾となって残った。永田氏はJICAにて「UXO Lao」というラオス政府の公的な不発弾除去機関を支援されている。UXOは不発弾を意味する。カンボジアのCMACという公的な地雷撤去・不発弾爆弾除去機関と連携していることも初めて知った。私の所属するCMCは、CMACの地雷撤去人(ディマイナー)に地雷撤去の現場を案内いただき、その際に日本で集めた支援金を贈呈している。
地雷や不発弾のやっかいなところは、50年も前のものが今でも爆発することだ。子どもたちは戦争があったことなど知らないわけだから、地雷や不発弾の存在など知らないし、カンボジアの若者もラオスの若者もそんな歴史教育も受けていないし、学校教育を受けられない子どもも少なくない。ラオスでは、何も知らずに遊んでいて、不発弾の爆発で命を落とす子どもの事故が多いという。
ラオスの不発弾の除去にかかる費用は、アメリカや日本からの支援金に頼っている。アメリカからの支援は、オバマ大統領がラオスを訪問し、不発弾被害の状況を知り、2019年から始まったとのことだ。不発弾撤去のペースは年間で3万8千から6万個…これもアメリカや日本からの支援金の額で差が出てしまうようだ。このペースでいくと、すべての不発弾の撤去に少なくとも100年、支援金の額によっては1000年かかるという試算もされているとのことだ。
JICAがラオスで行っているのは、
① 不発弾の危険性を伝える
② 不発弾を取り除く
③ 被害者を支援する
という3つの活動だ。永田さんが支援している「UXO Lao」はこのうち危険性を伝える回避教育と不発弾除去を行っている。
ラオスという国は独自にSDGsの18番目のゴールを設定し、その実現に向けて取り組んでいる。その18番目のゴールは「不発弾の不安のない暮らし」。でも、とてもではないけど、2030年までの達成が難しいゴールだ。爆弾を落としたアメリカがもっと支援金を出す、さらには、アメリカ軍がラオスの不発弾撤去をすべきではないだろうか。
今回受講した講演に妻を誘ったのは、ラオス料理のスペシャルランチをJICA中部1Fのレストランでいただけるからだ。下の写真がラオス料理。
トムカーガイというココナッツの煮込み、ラープムーという豚のひき肉、チンカイというバーベキューチキン。どれも美味しかったが、私の一押しはトムカーガイだ。
同行した妻の感想は「ラオスに行ってみたい!」…うーん、ラオス旅行の計画が私の宿題になった瞬間だ。
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