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人類と地球を脅かすDHMO

 人権擁護ファシリテーター養成講座を受講した際、名古屋市教育委員会の人権教育室長によるアクティビティで、DHMOという物質の危険性について学んだ。

 「DHMO は無色透明・無味無臭の物質であり、毎年数千人規模の人を死に至らしめている。これらの死亡は殆どの場合DHMOの吸入によるものであるが、しかしながら、DHMOの危険はこれだけではない。固形化物に過度に接触すると皮膚に大きな損傷を与える。DHMOの摂取による症状としては過剰な発汗および排尿が挙げられるが、さらにはむくみ、吐き気、嘔吐、および体内電解物質のバランス崩壊を引き起こす危険性がある。依存症になった者の体内からDHMOを除くと死亡してしまう」

 なんて恐ろしい物質なんだと恐怖を感じた私。その危険性について知り、これのどこが人権擁護のアクティビティなんだと思ってしまった。講師からの説明はさらに続く。

 「ジハイドロゲンモノオキサイド(一酸化二水素。略称DHMO)という化学物質がある。DHMOは、私たちの身のまわりに気体、液体、固体の状態で多量に存在している、無色で無味・無臭の化学物質である。

 この化学物質の危険性について、とくに世間の注目を集めたのは、1997年、アイダホ州の中学生ネイサン・ゾナーが行った調査が、地元の科学展で優秀賞を受賞して話題になったからだ。ゾナーは、「ジハイドロゲンモノオキサイドの使用を禁止せよ」という嘆願書を作成し、街頭でDHMOの危険性を説明し、署名を集めた。彼の訴えは次のようなものだった。」

 『ジハイドロゲンモノオキサイド(以下DHMO)は、無色、無臭、無味である。そして毎年数え切れないほどの人を殺している。ほとんどの死因はDHMOの偶然の吸入によって引き起こされている。DHMOは、今日アメリカの、ほとんどすべての河川、湖および貯水池で発見されている。それだけではない、DHMO汚染は全世界に及んでいる。汚染物質(DHMO)は南極の氷からも発見されている。アメリカ政府は、この物質の製造、拡散を禁止することを拒んでいる。
 いまからでも遅くない! さらなる汚染を防ぐために、いま、行動しなければならない』

 通行人50人のうち43人の署名を得たという。それでは、DHMOにどのような危険性があるというのだろうか。

【人への危険性】
・液体のなかで呼吸ができなくなって死亡
・固体に長時間さらされると、皮膚に深刻な損傷を与える
・気体は重度の火傷を引き起こす可能性がある
・液体の過剰摂取は、多くの不快な副作用を引き起こし、時には中毒により死亡
・液体は強い習慣性があり、常時摂取者は飲用を止めると短期に死亡
・がん細胞から発見。がん細胞から取り除くとがん細胞は死滅。つまりがん細胞の増殖の原因の一つ
・無色・無臭・無味であるが、毎年無数の人々を死に至らしめている。
・ 妊婦が摂取すると、胎児にも胎盤を通じて体内に入り込むことが確認されている。また、世界の主要な都市圏に住む女性の母乳中からは85%以上の割合で高濃度のこの物質が検出されることが知られている
・ 犯罪者の血中、尿からは大量に検出される。暴力的犯罪のほぼ100%が、何らかの形でこの物質が摂取されて24時間以内に発生している
・末期癌の腫瘍細胞中にも必ず含まれている


【地球環境、自然災害に関与】
・酸性雨の主成分
・温室効果にもっとも強い影響を与える
・台風や集中豪雨など自然災害に関与
・岩石や土壌の侵食を引き起こし地形を変える
・農薬散布にも使われ、汚染は洗浄後も残る
・崖崩れを起こす
・気体は車の排気ガス、工場からの排気ガスの主成分
・急激な気化によって大爆発を起こす
・沖縄や横浜の米軍基地、原子力空母にも大量に備蓄されていることが確認されているが、国会で問題になったことは一度もない

 しかし、化学物質DHMOはよく使われている。そのため、私たちの食べ物も私たちの体も大いに汚染されているままだ。ゾナーの署名活動の結果のように、この実態を知らせることで、多くの人がジハイドロゲンモノオキサイド(DHMO)の使用を禁止することに賛成したのである。

 うーん、ここまで説明されても化学の知識のない私にはよくわからなかったのだが、まさかの結末だった。Dihydrogen Monoxide(一酸化二水素)・・・そうか、そうだったのか。

 このあとはネタバレなので要注意! 答えは30cmほど下にあります。




















 DHMOとは水H₂Oのことである。水分子は水素原子二個と酸素原子一個が結びついているので、ジハイドロゲンモノオキサイド(一酸化二水素)なのだ。

 ゾナーがこの調査結果から訴えたかったのは「あらゆるレベルで科学教育(理科教育)をもっと充実させるべきである」ということだった。「水」といわずに化学物質の「ジハイドロゲンモノオキサイド」という一見難しそうな、恐ろしげな名前にしたことで、コロリと騙されてしまう人の多さに警鐘を鳴らしたのだ。

「化学物質」というだけで「恐ろしい物質」というイメージを持った人がいるかもしれないが、化学物質とは、「モノの材料になる物質」のことだ。

 化学に関する知識が少しでもある人ならば、すぐに「この話はジョークだな」とニヤリとするだろう。あなたは、お分かりになっただろうか。

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合同会社Uluru(ウルル) 山田勝己
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