政治家の『失言』はなぜ許されるのか?
2019年5月のことである。自民党内で「『失言』や『誤解』を防ぐには」というマニュアルが配られた。これがなかなか面白い。「失言」を防ぐにははまだ良いが、「誤解」を防ぐというのはなんだかおかしい気もする。
正直言って、こんな基本的な失言防止策すら、いまだに自民党内では浸透していないのではないだろうか。上記のマニュアルが配布されてからも体質は何ら変わっていない。自民党が関係する失言集を作成してみた。
政治家の問題発言事例集
2019年2月、問題発言では定評のある某財務相が、「子どもを産まなかったほうが問題だ」と発言。当然のことながら批判をあび、発言を撤回した。「子育て世代が文句を言わず子供を作りさえすれば少子化は解決する」、つまり「女は、結婚しろ、子供を産め、育てろ、そして、働け」という短絡的な考えに基づいた発言だ。
2003年6月、当時の某首相が、「子どもを1人も作らない女性が年を取って、税金で面倒をみなさいというのは、本当はおかしい」と発言。
2007年1月、某厚労相が「女性は産む機械」と発言。
2009年5月、某首相は「(自分は)子どもが2人いるので、最低限の義務は果たした」と発言。
ナショナリズム喚起や家父長国家観の強化を意図してなされる発言もある。
2015年9月、某官房長官による発言。福山雅治氏の結婚にあたって、「ママさんたちが、子どもを産んで国家に貢献してくれればよい」と出産を国家と結びつける発言を堂々とテレビで行った。
2017年11月、某自民党議員が党役員連絡会で「子どもを4人以上産んだ女性を厚労省で表彰してはどうか」と発言。
2019年2月、某オリンピック・パラリンピック担当大臣が競泳の池江璃花子選手が「白血病」と診断されたと明らかにしたことをめぐり、記者団に対し「がっかりしている」と述べ、批判を浴びた。
2021年2月、元首相が東京五輪オリンピック・パラリンピック大会組織委員会長の立場で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」と発言し、15万筆の講義署名が集まり辞任。
2021年8月、某名古屋市長が女子ソフトボールのエースの金メダルにかじりついたばかりか、「ええ旦那もらって、旦那はいいか。恋愛禁止かね」と発言。
2021年10月、某自民党副総裁が衆院選の応援演説で訪れた北海道小樽市で、「温暖化と言うと悪いことしか書いていないが、いいことがある」「(北海道のコメについて)温度が上がり、うまくなった。それを輸出している。これが現実だ」と発言。発言を受けて翌日夜のテレビ番組で総理大臣が陳謝。
2018年7月、某自民党女性議員が月刊誌で、LGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちについて、「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのか」などと発言。この女性議員の失言は数多く存在する。
2014年の国会で「日本に女性差別というものは存在しない」と発言。
2016年には、産経新聞のニュースサイトに載せたコラムで、保育所増設や夫婦別姓などを求める動きについて「コミンテルン(共産主義政党の国際組織)が日本の家族を崩壊させようと仕掛けた」などと記述た。
2017年、「セクハラやモラハラなどによって社会が萎縮すると国益を失うことにつながります」と『新潮45』2017年4月号に「『セクハラ』で社会はおかしくなった」)と投稿。
2018年、「とにかく女性が『セクハラだ!』と声を上げると男性が否定しようが、嘘であろうが職を追われる。疑惑の段階で。これって『現代の魔女狩り』じゃないかと思ってしまう。本当に恐ろしい。」とTwitterで発言。
2020年には自民党の会合で、性暴力被害者の相談事業に関し「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言。
う~ん。さすがジェンダー平等後進国の日本だ。
ちなみに私自身は無党派層で、特に支持する政党を持っていません。「人」で判断し、投票しています。