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青いビー玉(The Blue Marble)

 オランダの企業が火星への移住計画を立ち上げ、2023年までには宇宙飛行士を送り込み、2033年には、20人以上が火星で居住できる環境を整えるという「マーズワン・プロジェクト」の全貌を明らかにしたのは2013年のことだった。行き先は火星、向かったら最後地球に帰ってくることはできないというプロジェクトだったが、多くの人が火星への移住を申し出た。しかしながら、この計画は2019年に突然頓挫した。

 今から50年以上前の1969年、アメリカの宇宙飛行士が人類として初めて月に降り立った。アポロ計画は4年間にわたって宇宙飛行士を月面に送り込み、この間、6本のアメリカ星条旗が月面に立てられた。人類史上初めて月面に一歩を踏み出したのは、アポロ11号のアームストロング船長(つい先日死去)とオルドリン飛行士。月面に星条旗を立て、地球に向けたメッセージ「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」との言葉はあまりにも有名だ。

 NASAの科学者が明らかにしたところによると、アポロ計画で月に行った宇宙飛行士が月面に立てた米国旗は、1本を除いて今も月面に残っているとのことだ。この失われた1本というのが、奇しくもアポロ11号のものだと判明した。アポロ11号のオルドリン飛行士曰く、
「宇宙船からあまりに近い場所に旗を立ててしまったんです。それで、月周回軌道上の指令船コロンビアと合流するため宇宙船を発射させたら、旗が吹き飛んでしまったのです。」

 NASAの無人月探査機に搭載されたカメラは、白くなった旗が月面に残っている姿を捉えて写真におさめた。それどころか、当時のタイヤ痕がいまだにくっきりと残っていることまで確認。月面に旗の影が落ちている様子も捉えた。旗が白くなっているのは、50年以上も星条旗が月の厳しい環境にさらされたからとのこと。旗は、焼けるような日光に照らされた100℃の世界に14日間さらされたかと思えば、今度は感覚を失うほど冷たいマイナス150℃の世界に14日間さらされるというサイクルを繰り返してきたのだ。しかし、それよりも大きなダメージを与えた要因は、太陽からダイレクトに注がれる強烈な紫外線…。アメリカによる月面着陸の象徴も、空中で吸収されずに月面まで届く太陽の紫外線によって退色してしまったそうだ。
アポロ計画が遺した最も重要な遺産は、地球が壊れやすい小さな惑星にすぎないという、人類にとってなかなか普遍的になりきれない認識である。アポロ17号の飛行士が撮影した「ザ・ブルー・マーブル(青いビー玉)」と呼ばれる美しい地球の写真は、多くの人々にとって環境保護への動機付けになった。

 かけがえのない「青いビー玉」を守るために、私たち人間は初心に立ち返る必要がある。地球を離れて他の星に移住するのは本末転倒ではないか。たとえ火星に移住できたとしても、自然環境を守ろうとしない人類は同じ過ちを繰り返すだけだろう。私たちはまず、この美しい地球を守るために、地球が環境保護にもっと重きを置くべきではないだろうか。

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