岩波少年文庫のマニフェストが素晴らしい!
前回、松居直氏の記事を書いた際、岩波少年文庫の歴史に触れる機会があった。岩波少年文庫は1950年に創刊され、70年以上の歴史を持つ。岩波少年文庫には、「岩波少年文庫発刊に際して」という文章が文庫の巻末に必ず掲載されている。この文章は岩波少年文庫のマニフェストとも呼ばれる名文で、作家の吉野源三郎氏によるものだ。吉野源三郎氏といえば、宮崎駿監督がアニメ映画化した最新作『君たちはどう生きるか』の原作者である。少年文庫発刊にかける熱い想いと高い志がひしひしと伝わってくる素晴らしい文章だ。発刊から70年以上を経て、児童文学をめぐる状況は大きく変わったが、それでも、今の私たちに訴えかけてくるものがある。現在の少年文庫には、2000年の50周年を機に書き換えられた新しい文が掲載されているため、当時の文章を読むことはできない。そこで、1950年当時の「岩波少年文庫発刊に際して」を読んでいただきたいと思い、ここに紹介する次第だ。
1950年と言えば、太平洋戦争が終わって5年しか経っていない。上記の文章の始まりからは戦争直後の情景が浮かびながらも、これからの日本の復興と成長を少年少女に期待し、文学作品が子どもたちの成長に役立てればという思いが感じられる。吉野源三郎氏からまさに「君たちはどう生きるか」と問われているかのようだ。
松居直氏の子どもたちへの愛は、息子である松居友氏に受け継がれている。松居友氏はフィリピンのミンダナオ島に『ミンダナオ子ども図書館』(MCL)はというフィリピンの現地NGO法人を創り、内戦で苦しむ現地の子どもたちに、絵本の読み聞かせ活動、医療支援、就学支援、保育所支援、子どもシェルター難民救援活動、植林活動などを行っている。父親とは異なる支援の形だが、そこには「絵本」という共通のツールがあり、「子どもが笑顔になること」というコンセプトはまさに同じだ。ぜひホームページをご覧いただきたい。
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