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地球環境崩壊の危機…それも人間のせいで!

 三重大学の特命副学長で、WHOアジア太平洋環境保健センター所長である朴惠淑氏の講義「子どもたちと一緒に取り組むSDGs グラスゴー気候合意)私たちの課題」を拝聴する機会をいただいた。1992年に開催されたリオ(ブラジル)での環境と開発に関する国連会議ですでにわかっていた人間由来の地球の破滅的な危機を、今まで先進国がネグレクトしてきたことで、このままだと2100年までに気温は4.8℃、海面は82㎝上昇する。私たちの子どもや孫の未来は、南山寮で暮らす子どもたち、地球のどこかでただでさえ貧困・飢餓・水不足・戦争や内戦で傷ついている子どもたちの未来はいったいどうなってしまうのだろうか。

 環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんがかつて語った言葉が胸に突き刺さる…「あなた方は、自分の子どもたちを愛していると言いながら、その目の前で子どもたちの未来を奪っているのです!」

 昨年11月、イギリスのグラスゴーで開催されたCOP26は、最終的に「石炭火力発電を段階的に廃止」という文言から「段階的に削減」へと薄められた。これには各国代表たちも落胆を隠せず、ツバルの気候大臣は孫の写真を見せ、涙ながらに「帰国して、君たちの未来を守ることができたよと言えたら一番素晴らしいクリスマスプレゼントになったが、それは叶わない」、またマーシャル諸島の代表団も「国に戻っても子どもたちに胸を張れない」と遺憾な気持ちを表現した。

 アル・ゴア元アメリカ副大統領は、「私たちはこの危機を解決するための手段を持っている。だが、各国の確約が順守されるようにしなければ、ゴールには程遠い」と演説した。地球温暖化について世界に警鐘を鳴らすドキュメンタリー『不都合な真実』を上映してから、実に15年以上が経過し、75歳になった今なお粘り強く活動を続けている。国土のおよそ4分の1が焼失したオーストラリアの森林火災、ヨーロッパで発生した殺人的な熱波、日本を度々襲う豪雨や台風といった自然災害は、多くの尊い命と暮らしを奪い、甚大な被害をもたらしている。年々激しさを増す異常気象は、確かなる温暖化の弊害だ。

 5年前、日本を訪れたアル・ゴアはこう訴えた。
「海はスポンジのような役割を持ち、熱や二酸化炭素を吸収してくれる。しかし、その循環が追いつかなくなった現在は、非常に危険な状態だ。温暖化に伴う海面上昇によって、東南アジアは世界的に最も大きな影響を受けている。経済的な損失という意味では日本も上位に入る。そして今後、世界の平均気温が2度上昇すれば、海に面した多くの街が海に沈み、日本でも1800万人が住居を失う。では、未来は変えられるのか。答えは『YES』。私たちには地球温暖化を止める権利があり、力もあるのだ。」

 「グレート・リセット」…2021年に発表された世界経済フォーラム年次総会のテーマだ。新型コロナウイルスによるパンデミック、人種差別、気候変動など、数多くの地球規模の課題がたたみかけるように起こる中、持続可能かつ回復力のある未来のために、平等で包括的な社会を構築することを目指したものだ。地球温暖化について50年以上訴えてきたアル・ゴアは、このグレート・リセットについて「今が絶好のタイミングである」と語った。「今こそ世界規模でリセットをする好機だ。経済活動のニューノーマルとして、まずは気候危機を解消していくことから初めるべきだ。なぜなら、これはパンデミックにも対抗し得る力を養うからだ。最新の調査で、大気汚染が新型コロナによる死亡率を格段に上げる要因のひとつであることが証明された。だからこそ、化石燃料を減らしていくことが、私たちが今なすべき最重要課題なのだ。」

 ロシアやウクライナ、イスラエルやガザのような戦争や紛争、人種差別、ヘイトスピーチをしている場合ではない。私たち人類全員が協力していかなければ、私たちもいずれ恐竜のように絶滅する運命なのだということを誰もが自覚しなければ!

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合同会社Uluru(ウルル) 山田勝己
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