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空港の愛称ってどうやって決めるの?

 私は名古屋市在住なので、飛行機を利用する際は中部国際空港に行く。中部国際空港は伊勢湾の海上に浮かぶ人工島にあり、さらに名鉄(名古屋鉄道)名古屋駅からミューチケットという特急券(450円)が必要なので、名鉄名古屋駅から中部国際空港に行くまでに片道1,430円かかる。我が家からの所要時間は80分ほどだ。そういえば、中部国際空港には「セントレア(centrair)」という愛称がある。どういう意味かと思えば意外に単純で、セントラルエアポートを短縮しただけだった。
 そう言えば、いつの頃からか、空港の名前が面白くなっている。順番に紹介するが、例えば富山の場合は、富山空港が正式名称で、愛称が「富山きときと空港」になっている。「きときと」ってなんだ? 「南ぬ島石垣空港」…「南ぬ島」って何て読むの?

① 富山きときと空港 
 富山空港は滑走路が河川敷にあるため、空港ビルから堤防をまたぐ「日本一長いボーディングブリッジ」がある事で知られている。かわいらしい響きの「きときと」とは、富山の方言で「新鮮な」「いきいきとした」という意味だ。空港の愛称に方言を採用したのは日本初で、地元の新鮮な海の幸などの魅力を発信したいという思いが込められている。手荷物受け取りのベルトコンベアには富山の海の幸を使った「富山湾鮨」のオブジェが回り、空港に荷は「とやま鮨」という寿司店もある。

② 岡山桃太郎空港 
 1988(昭和63)年に開港した岡山空港は、それまで使われていた小規模な空港に代わる形で岡山県の航空拠点となった。2018(平成30)年に開港30周年を迎えるのに合わせ愛称を公募し、「岡山桃太郎空港」に決定した。さらに空港イメージキャラクターも「ももたろう」、空港内の土産物店の名前も「桃太郎」になった。土産店にはオリジナル商品として本格きび焼酎「きじ」が販売されているが、犬と猿はないとのことだ。

③ 隠岐世界ジオパーク空港 
 隠岐諸島唯一の空港は1965(昭和40)年に開港し、開港50周年を迎えた2015(平成27)年に愛称が「隠岐世界ジオパーク空港」に決定した。隠岐は、地球科学的意義のある場所としてユネスコが認める世界ジオパークに認定されており、奇岩の立ち並ぶ国賀海岸や、約2億5千年前にできた岩石「隠岐片麻岩おきへんまがん」など、さまざまなジオサイトがある。現在この空港からは、出雲空港と大阪国際空港への2路線が就航する。

④ たんちょう釧路空港 
 タンチョウは十勝・根室・釧路地方に生息しており、日本国内で繁殖する唯一のツル。日本の特別天然記念物にも指定されている。釧路空港では2006(平成18)年から「たんちょう釧路空港」を愛称とし、ロゴマークにもタンチョウをあしらっている。また、入り口のそばには羽を広げたタンチョウのリアルなモニュメントも置かれている。なお、釧路空港は濃霧が発生しやすいため、日本における最高性能の着陸システムを導入していることでも知られている。

⑤ 鳥取砂丘コナン空港
 正式名称は「鳥取空港」。鳥取県鳥取市にあり、鳥取県が設置管理する地方管理空港だ。「コナン」は、紛れもなくあの青山剛昌さんの漫画作品である「名探偵コナン」のことなのだ。鳥取砂丘コナン空港はその名前のインパクトもさることながら、名前に偽りなしと言えるほどに徹底した「名探偵コナン」愛を感じられる空港となっている。名探偵コナンアートギャラリーから始まり、登場人物と写真を撮れるフォトスポット(作者・青山氏の直筆サイン入り背景あり)、コナンが鳥取県の観光地を紹介するコナンナビゲート(説明ボード)、コナンのトリックアート、喫茶ポアロ、阿笠博士の発明品を展示しているコーナー、お土産品を販売するコナン探偵社など、ファンでなくても充分楽しめる充実ぶりとのことだ。空港というより、名探偵コナンミュージアムと言っても過言ではないそうだ。      

⑥ 出雲縁結び空港
 正式名称は「出雲空港」。島根県出雲市に設置されている空港で、島根県が管理する地方管理空港だ。島根県といえば、良縁祈願(縁結び)の神様である「大国主大神」を祀る出雲大社が有名だ。全国から縁結びの為に参拝者が数多く訪れ、島根県には今もたくさんの縁結びスポットが存在し、「ご縁の国しまね」として有名だ。そんな出雲大社の近くに存在するということから、出雲空港の愛称が住民からの公募で決定したという。

⑦ 高知龍馬空港
 高知県の玄関口である高知空港は、土佐出身の偉人として知られる「坂本龍馬」の名前にちなんだ「高知龍馬空港」の愛称で親しまれている。大河ドラマ「龍馬伝」でも改めて話題になった、明治維新の立役者・坂本龍馬の生まれ育った高知。それにちなみ、高知の空港は「高知龍馬空港」という名前になっている。2003年、坂本龍馬の誕生日であり命日でもある11月15日に名付けられ、土佐の魅力の発信地として様々なイベントを定期的に開催している。日本の空港名に人名をつけることはとても珍しく、日本ではじめて人名を含んだ空港の名前となったのが「高知龍馬空港」だ。偉人の名前の付いた海外の空港では、ニューヨークの「ジョン・F・ケネディ空港」やローマの「レオナルド・ダビンチ空港」が有名だ。

⑧ 徳島阿波踊り空港
 動植物名ではなく、その地域の名物や風物、観光資源などを生かしたネーミングなのが、徳島の「徳島阿波おどり空港」「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」と唄われる全国区の知名度を誇る「阿波おどり」を名称に取り入れることで、何となくその土地のイメージが湧き、わかりやすい。

⑨ 対馬やまねこ空港
 対馬空港は、長崎県対馬市(対馬)に位置する地方管理空港で、日本では長崎県対馬にのみ分布する「ツシマヤマネコ(対馬山猫)」が有名であることから、「対馬やまねこ空港」という愛称がつけられた。

⑩ 南ぬ島石垣高校
 実はこの「南ぬ島」 とは沖縄の八重山の島言葉で「ぱいぬしま」と読む。
「ぱい」とは八重山の言葉で「南」を意味し、「みなみのしま」という意味になる。


 日本にある空港には、正式に登録されている名称とは別に、愛称を持つ空港がたくさんある。地域の特色を生かして知名度をあげ、利用促進に繋げたいという想いが込められている。愛称には、観光名所や出身著名人から由来したもの、方言などシンプルなものからユニークなものまで様々あって、個人的には面白い。
 中部国際空港の愛称が「セントレア」というのは、いささか単純で残念な気もするが、「セントレア」を呼び慣れてきてしまった自分がいるので、セントレアはセントレアで良しとしたい。


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