童話の素晴らしさ④『北風と太陽』
『北風と太陽』もイソップ寓話におさめられている懐かしい話だ。「寓話」の意味は、“教訓や風刺を含んだ物語”のことで、擬人化した動物などを主人公とするものが多くみられる。今回は『北風と太陽』をとりあげる。まずは、みなさん、ご存じだとは思うが、簡単に内容を紹介する。
ある日、風と太陽が「どちらが強いか」を競争することになりました。
彼らは力比べの相手として、コートを羽織った旅人を選びました。北風が最初に試みました。北風が力いっぱい強い風を吹いて旅人のコートを脱がそうとしました。旅人は寒さのため、必死にコートを押さえてしまい、北風が旅人のコートを脱がすことはできませんでした。
次は太陽の出番です。太陽は優しく輝き、暖かさを与え始めました。その暖かさは次第に増していき、旅人に燦燦と照りつけます。旅人は暑さに耐え切れずに自らコートを脱いでしまいました。これでこの競争は太陽の勝ちとなりました。
『北風と太陽』から得られる教訓はなんだろう。いろいろな考え方があると思うが、『北風と太陽』は、これからの時代の「リーダーシップ」を教えてくれる物語なのかもしれない。
20世紀までのリーダー像は「北風」のように「とにかく押しの強い」行動派タイプのリーダが多かったが、これからの時代「黙って俺について来い」では部下やチームは動かない。「太陽」のように、自分が動くのではなく、「他人が自発的に動く」ようにサポートするリーダーが求められる時代になっている。『北風と太陽』を読み解くポイントは、北風は「自分が動いた」が、太陽は「旅人を動かした」点にある。自分が動くのは簡単だが、人を動かしてゴールへ導くのは難しい。人に行動してもらうためには、北風のように強引に押し付けるのではなく、太陽のように相手の気持ちを考えれば、無理することなく自分自身で動いてくれるものだ。
「北風」が教えてくれたこと。物事を進める上で、力ずくで行ってはならない。冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても人は動かない。
「太陽」が教えてくれたこと。物事を進める上で、ゆっくり着実に実行する方が最終的に大きな利益を生む。人に暖かく優しく接した方が人は自ら能動的に動いてくれる。