放浪の民ユダヤ人による処世術:経済ネットワークの構築
ユダヤ人には、ローマ帝国や大英帝国のように、強力な大国をつくって世界経済を支配したというような時期はまったくない。ユダヤ人は、長い間、国家を持たない放浪の民だったからである。
だが、彼らは巧みな金融スキーム、ビジネススキームを用いて、世界中の国々の経済の中枢に座ってきた。世界史に登場してくるあらゆる経済大国の陰には、必ずユダヤ人がいるのである。
シェークスピアの『ベニスの商人』では、ユダヤ人は狡猾な金貸しとして描かれているし、近代商業銀行の祖とも言えるロスチャイルドもユダヤ人である。経済のみならず、文化、思想の面でも、ユダヤ人は大きな存在感を示している。
ユダヤ人は、世界でも有数の歴史を持ち、現代経済社会にも多大な影響を与え続けているのだ。なぜユダヤ人は、これほど長い間、世界経済、文化の中心に居続けることができたのか。それはユダヤ人が「放浪の民」としての長い歴史を経験していたからだ。西暦70年、エルサレムが陥落してユダヤ人は国を持たない民族となった。以来1947年のイスラエル建国まで、国家を持たない「放浪の民」となったのだ。
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