愛知の高校生のボランタリズム
前回はトラウマやPTSDについての記事を書いた。
非常にショッキングな体験は、心に大きな傷を残す。しかし周りの人のサポートがあれば、その傷は後にまで残ることがずっと少なくなる。
阪神大震災が起こったときに、精神科医がもっとも心配したのは、被災者の多くにPTSDが起きるのではないかということだった。家族や友人などを地震で失ったり、あるいは生き埋めになった経験などがPTSDを引き起こす可能性は大いにあった。ところが実際のところ、精神科医が予測していたほどはPTSDは起きなかったのだ。トラウマがPTSDを引き起こすかどうかの1つのポイントは、家族や友人のサポートだ。家族が「大変だったね」と慰めてくれたりすることで、辛い体験も癒される。また、これまで家族に十分愛情を受けて育ってきた人は、トラウマ的な体験をしても、激しい人間不言に陥ることは少ないので、周囲のサポートを上手に受け止めることができ、激しい心の傷を残さないのだそうだ。
1995年1月17日の早朝に阪神地方や淡路島を襲った阪神淡路大震災で、PTSDを引き起こす被災者が少なかったのはなぜだろうか。まったくの私見だが、多くのボランティアが被災地に駆け付けたからではないだろうか。日本では長らく「ボランティア」は、それを趣味とするか、党派的意味合いを帯びている、ある意味で特別な市民が行うものというイメージが強かった。しかし、1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、それまで主としてボランティアに携わってきた人々とは異なる多くの市民が災害ボランティアとして参加した。そのため、1995年は「ボランティア元年」と呼ばれている。
今でこそ被災地では必ずと言っていいほどボランティアの活動を目にする。この頃までは、災害の対応は役所や行政のやること、被災地のことは被災地で何とかするという意識が強かった。それが一気に変わったのがこの阪神・淡路大震災だった。
阪神・淡路大震災では、167万人以上のボランティアが参加したこともあり、災害ボランティアの重要性が広まった。また、ボランティアへの関心は一過性にならず、ナホトカ号重油流出事故(日本海で発生したロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」の沈没事故に伴う重油流出海洋汚濁)の際も多くのボランティアが海岸清掃作業などを行った。
ボランティア元年で、ボランティアに注目が集まったことにより、1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立した。厳密には、法制化の動きは震災前からあたが、阪神淡路大震災を契機に法制化の動きが一気に進んだ。
特定非営利活動促進法とは、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティアをはじめとする社会貢献活動を促進することを目的とした法律だ。ボランティア団体が法人格を持つことによって、法人の名の下に取引等を行うことができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じている。
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