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千葉の干潟と名古屋の干潟

 名古屋市には、ラムサール条約に指定されている藤前干潟ふじまえひがたがある。愛知県と三重県にはさまれ、太平洋に面した伊勢湾には、木曽川や長良川、揖斐川など多くの河川が流れ込み、その河口部に広大な干潟が形成されてきた。しかし、港湾施設や工場、農地などの開発で次々と埋め立てられ、干潟は消失してきた。わずかに残ったのが伊勢湾の最奥部、名古屋市南西部の庄内川と新川、日光川の河口に広がる藤前干潟である。藤前干潟は、日本列島のほぼ中央部に位置し、南から北、北から南へ季節ごとに移動する渡り鳥にとって重要な中継地となっている。この藤前干潟が、名古屋市の急増するゴミの処分場として埋め立てられることになった。しかし、干潟を守れと市民が立ち上がり、大きな社会問題となった。日本中が注目した。1999年、名古屋市は計画を撤回した。そして2002年、藤前干潟はラムサール条約湿地に登録された。

 ラムサール条約に指定された日本の湿地はたくさんあるが、干潟は日本全国で5カ所しかない。千葉県習志野市の谷津やつ干潟、愛知県名古屋市および飛島村にある藤前干潟、佐賀県佐賀市の東よか干潟、佐賀県鹿島市にある肥前鹿島干潟、熊本県荒尾市にある荒尾干潟の5干潟だ。九州の3つの干潟はすべてムツゴロウの生息地である有明海の干潟だ。

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