見出し画像

コピーライターはオワコンか?

最初に言います。
ハズキルーペの話です。

巷じゃ「キャッ!」や「だーいすき❤️」のフレーズでお馴染みの、と言うか1年半前までは誰もそのネーミングすら知らなかったアレです。

「なんだあれ、ダッサ。」

僕も思いました。
間違いなく昨年末から今年にかけてのワーストです。

しかしながら、“ルーペ”という僕たちが一生触れない可能性があるものを、「文字が小さくて見づらい時は“ルーペ”使えばいいのか。」と思わせましまったところ、そして本当にすごいのが“ルーペ”=“ハズキルーペ”としてジャンル化したところです。

これは本当に凄いことです。

世の中に、製品がそのままジャンルとして認知される商品は、そう無いですよ。
僕の中じゃ、“永谷園のお茶漬け”か“舟和の芋羊羹”くらいしかありません(食べ物ばかりですいません)。

この2つの広告効果を短いCFで成し遂げたのは何なのか…。

間違いなく、「タグラインが正確だったから」としか言いようがありません。

後でご紹介する編集者の中川淳一郎氏が記載してくれてましたが、

・とにかく色々なものが拡大される
・男も女も、老いも若いも使える
・頑丈
・レストランやクラブ、プレゼンの舞台でも違和感がなく使えるおしゃれさがある
・日本製で品質が高い
・サングラスバージョンもある
・複数の色がある
・仕事にも、おしゃれにも有効である

この点、おそらく僕たちは全て認識したはず。
ここまででも、すごい。

でも誰が作ったんだ...。

会長でした。

どこの?

ハズキルーペの...。

「は?」

でも、普通のクリエイティブディレクターは絶対考えないよなと、ちょっと納得。

そしてその理由に、僕はもう1回驚いた。むしろ全汐留・赤坂パーソンが驚いたかもしれない。

ハズキルーペ会長 CMクリエイターに「見当違いな企画多い」(BLOGOS)
https://lite.blogos.com/article/336419/?fbclid=IwAR3P269fAEHUPu5CG2zCjNjYQSBOjqy3RWaMPrTK_H5Bsf2dNBaoRmR1VeY

「ハズキルーペ」CMに広告のプロが「負けた」と脱帽するワケ(NEWSポストセブン)
https://www.news-postseven.com/archives/20181103_795937.html?PAGE=1#container

個人的に印象的だったのが…

「まずは、商品を知ってもらうことが第一。しかし、CMクリエイターは商品を売ることよりも、自分の作品を作ろうとして、見当違いな企画を持ってくることが多いんです。“ミラノの駅から始まって…”とか“お殿様にハズキルーペを献上して…”とか(笑い)。こちらは60秒のCMの宣伝費に100億円かけていますから、1秒2億ですよ。ミラノの風景なんか無駄に見せるくらいなら、自分でやるよ!って」(松村会長)

広告代理店のクリエイターの中には、CMのことを「作品」と言う人もいます。カンヌ国際広告賞を狙うことばかり考えている人もいる。そんな人たちからすれば、ひたすら商品紹介に徹するような広告は「ダサい」の一言で片づけられます。(中川淳一郎氏)

これって、クリエイティブディレクター以下、コピーライターはいらないって言われてますよね。
反論したいけど、その言葉が全て陳腐な感じになるくらい袋叩きにされて...。

どうしても僕たちはクライアントからの依頼を勝手に“作品”としてしまうのは、たぶん癖なんだと思いますが、クライアントにしてみれば“費用対効果”が1番。
この基本を、いつの間にか忘れんだなぁ。

目先のボディーコピーと雰囲気的な見栄えに、本質的なタグライン設定が霞む傾向って、コピーライティングの世界だけじゃなくて、至る所にあるはずで、そんな人たちが小手先のテクニックをご披露されているんだろうなと、今回のハズキルーペの件で露呈されたんだろうと思ってる。

直近ではギガ泥棒される程に、動画広告やその他動画メディアが増えていて、「言葉よりも動き」みたいな風潮もあるけれども、いま以上に言葉を巧みに使う必要性がある時代はこれまで無かったんじゃないかと、僕は思ってます。

そして、その言葉に納得する力を持たせるのは「知識」とか「熱意」とか「面白がる」とかの、半端ない熱量なんじゃないかと、いまさらながら思い知らされてしまった訳です。

最近、事あるごとに“当てに入る”ことが多かった自分。
頭を思いっきり叩かれたような気分になったんですね。

ダラダラしてると、コピーライターなんてそのうちオワコンになるんだろうな。
そうなったら、僕は何で食ってけばいいの?...

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?