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そしてアイコは疎開した (月と肉)

例の経営者さんが月に行くとか、話しになるのはテレビの中だけになって、周りの空気的には正直「勝手にすれば」みたいな印象があるようだけど、私にとってあの人の”月”を欲する気持ちはかなり残念な、というより“やっぱりか”っていう感じだった。


私たちの周りのモノには、どんどん値札が付けられて、なんでも商品になれるようになって、あの人はその富を使えばなんでも手に入れることが可能になった。

もう、地球の中の欲しいものは、全部手に入るようになった。

その先に”月”というものが浮かんでくるのは、あの人の世界観の中では自然のことかもしれない。


そういえば、前にも同じような人がいた。

六本木ヒルズにいて、ラジオ局を買おうとした人。

あの人は私が10代の頃のスターだった。

古い慣習に縛られず、誰にでも本音を言って、常に何かと戦ってるその姿勢は、当時の若い人なら誰でも憧れていたと思う。

でもその人は、”月”を欲しているあの人よりも強い熱量で”国”を欲してしまったんだと思う。

いまになって考えてみると、当時のあの人も、その時代の中でうまくやった結果、”もっと・もっと”のサイクルの中で生きることしか選択させてもらえなかったのかと、そんな風に思ってしまう。

だからこそ、ロケットとかいろいろやってはいるけど、いまは身体の維持に必要な”食”、特に”肉(なんかシャトーブリアン押しがすごいけど)”に興味が出たんだろう。


身体性の回帰っぽいところは、”月”の人と逆に見えるのは私だけかな。


お願いだから”月”から帰ってきた後、「価値観が変わった」とか言って、”持たない生活”を始めるのだけはやめてね。


疎開も”商品”になっちゃうから。

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