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それでもやっぱり女子教育も必要なわけ
そういえば2023年もそろそろ終わるな―という感じですが、日本に丸一年いたのは2007年以来になるので、感慨深いものは特に何もないですが、一年を〆とくかということで、12月頭に秋田の国際教養大学で行ってきた教育とジェンダーの授業記録を残して、2023年を〆たいと思います。下記の授業は全部英語でしたが、多分英語で書くと誰も読んでくれないので日本語にしておきます。
1. 世界に認識され始めた落ちこぼ
たった一つの図からやいのやいの言ってみるPISA2022
なんかここ数か月毎週出張に行って講義をしていて、一昨日も秋田の国際教養大学に行ってGender and Educationの授業をしてきたところですが、忙しすぎて話題に乗り遅れましたがPISA2022の結果が出ましたね。もう既に色んな人がやいのやいの言っているので、普通のことを言っても何も面白くなさそうです。というわけで、今回は報告書の中にある沢山の図表の中からたった一つの図だけ使うという縛りをか
もっとみる憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきたい
WBCの日本代表凄かったですね。最後、オオタニサンが大リーグを代表する大打者でありエンゼルスのチームメイトでもあるトラウトを三振にきってとったのは出来過ぎでしょと思いましたが苦笑。名場面は幾つもありましたが、個人的には大谷選手の決勝前のスピーチがとても刺さりました。日本代表のTwitterにも挙げられていた下記のものですね
なぜ刺さったかというと、今の自分と日本の課題にドンピシャだったからです。
アフガニスタンで女の子達が学校へ行けなくなったのは遠い国の話ではなく、この記事を読んでいるあなたにも責任があるんだぞ、という話
タリバンがダメダメな理由アフガニスタンでは既に、女子の中等教育へのアクセスが停止されてしまっていましたが、ついに高等教育へのアクセスまで停止されてしまいました(ニュース)。まだ中等教育の停止は許容範囲内でしたが、高等教育の方は超えてはいけない一線を越えた感じがあります。
一つ目の理由ですが、国際教育協力では中等教育の空洞化などと言われたりしますが、ドナーの支援も初等教育か高等教育へ行きがちで、そ
キャン・ユー・ブレス?
アイ・キャント・ブレス(息が出来ない)、という言葉を遺してジョージ・フロイドさんが警官達に殺されて、BLM運動が全米どころか海を越えて広がったきっかけの地にやってきました。
今年は比較国際教育学会(CIES)がミネアポリスで開催されるのを知った時に、ミネソタ・ツインズのマエケン投手が見たい!、よりも前に、ジョージ・フロイドさんが殺害された地(ジョージ・フロイド広場と現在では呼ばれています)を見に
ユニセフ募金の本当のところ
ユニセフで働いているとユニセフ募金ってちゃんと使われているの?、とかユニセフ募金ってどういう仕組みなの?、と帰国するとちょいちょい聞かれます。確かにユニセフ募金の仕組みってだいぶ分かりづらいので、仕組みを友人に説明するたびに「そういう仕組みだったのか。ユニセフ募金を攻撃する人はこの仕組みを知らず、誤解に基づいて攻撃しているんだから、もっとちゃんと説明がされる必要があるよ!」、というリアクションをさ
もっとみるユニセフにひどく失望した件
博士資格審査試験の直前なので手短に、ユニセフにひどく失望しました。
ユニセフの教育部門の大きな方向性として、少し前にGeneration Unlimitedという物が出てきました→リンク
内容を要約すると、10-24歳の若者を対象とした、教育・研修・職業教育を重視し、ユースにスキルをつけて、ユースが持つ可能性をフルに生かせるようにしようというイニシアティブです。
このイニシアティブはユニセフ
早過ぎたノーベル賞―貧困への実験アプローチ…の周りの人達
今年もノーベル賞の季節が来ましたね。今年はMITのバナジー教授・デュフロ教授とハーバードのクレマー教授がノーベル経済学賞を受賞しました、おめでとうございます。授賞理由は、開発経済学におけるフィールド実験によって、貧困と戦うための知を切り開いたという点にあります(より詳しい授賞理由はこちら)。このお三方の功績は国際教育協力をやっていれば本当に日々実感する所であり、それはこのお三方がこの賞をいつか受賞
もっとみる外国文化、下から見るか?上から見るか?
先日、現代ビジネスの方に「アメリカの大学生はよく勉強する」は本当か? 、という記事を寄稿しました。大学生の平均的な勉強時間を日米で比較すると大差がないというデータに、自分が学んできた・教えてきた一流ではない米国の大学では学生は熱心に勉強していたから、このデータはおかしいというコメントが散見されました。なぜ「一流」ではない大学での体験談と、平均を表すデータにずれが生じるのか、少し解説してみようと思い
もっとみるNGOでブログを始めました、教育政策の最先端の議論をお届けします
タイトルの通りですが、うちのNGOで教育に関するブログを始めました。日本側の理事三人+ネパール側の担当者の4人で毎週順番に、不定期に他の理事も、記事を執筆していきます↓
http://sarthakshiksha.hatenablog.com/
9月の中頃までは毎週勉強したことを日記にしていましたが、コースワーク&原稿の執筆で想像以上に時間が取れなかったので、これからはNGOのブログの方で、勉
アフリカから学ぶべき日本の教育無償化のダメな議論
海の向こうの日本では高等教育無償化のために憲法を改正するか否かで議論が盛り上がっていますが、議論が稚拙すぎる感じがします。ここアフリカでは1990年代以降教育の無償化が進み様々な知見が得られているので、教育経済学の議論と共にそれを紹介してみようと思います。
高等教育無償化・賛成派の議論の問題点
① 無償化後のビジョンが欠如している
アフリカで90年代以降教育の無償化が進み何が起こったかという
ユネスコ分担金保留の最大の被害者は途上国の子供たち?
ユネスコが実施している「記憶遺産」に南京大虐殺文章が登録され、その審査過程が不透明であるとして、昨年日本政府はユネスコ分担金の支払いを保留するそぶりを見せましたが、今年も記憶遺産で慰安婦問題を巡って再び保留のそぶりを見せています→産経新聞の記事
ところで、私がユニセフ本部を離れてモントリオールにいる彼女(現妻)の所で仏語を勉強することにした時、既に現職のユニセフ・マラウイとモントリオールにあるユ
「現地視察」って実際のところどうなの?(前編)
今年もオフィスの同僚たちが休暇に入り、省庁やNGOも閉まって、一年の振り返りや溜まったオンライン研修を行う時期に入りました。今年の自分の仕事を振り返ると、今年も現地視察には出なかったのはユニセフのプログラムの職員としては極めて珍しいと思います。大半のユニセフ職員、特にインターナショナルスタッフは現地視察の重要性を説きますが、私はこれに結構懐疑的なんですよね(&私を採用するような上司も結構懐疑的)。
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