人脈 ≠知り合い、人脈 ≒互恵関係というお話。
ビジネスをする上で、「人脈が大事」というお話はよくあるもの。改めて、人脈とはただ知っている人というニュアンスではなく、お互いにメリットのある関係なのだと感じたのでシェア。
【人脈を求めて経営者と関わる環境に身を置いた過去】
かく言う自分も、人脈の意味を履き違えていた過去があったのでそんな話から始めようかなと。
東京に初めて出てきたのは大学3年生の時。
もともと、政治家を目指していた自分ですが、その背景は「社会貢献性の高い仕事に就き、より多くの人に多くの価値提供をできる人間になりたい。」という気持ち。
そこでふと、「政治家」という手段が本当に自分にとって最適解か知りたくなり、休学をして企業と国会議員事務所でのインターンを掛け持ちすることに。(たしか、月〜水は国会、木〜土は企業という感じだった。)
国会事務所の方は元々繋がりのあった議員さんだったのでお世話になったのですが、企業側は全く繋がりがなかったので、どうしたものかと思ってとりあえず媒体登録。
今でこそ、民間企業で頑張ろうと決心しているのですが、当時は1年後民間と政治の道どちらを選ぶかも決めかねていたのでどちらを選んでもプラスになる職業にすることにしました。
そこで、選んだのが「経営者インタビュアー」の仕事。正確には、民間(起業)or 政治の選択肢を取ろうと思っていたので、そのどちらを選んでも経営者との「人脈」は必要だろうと思っての選択でした。
結果として、ここでの経験はそれはもう本当に今でも自分の価値観に大きな影響を及ぼしているほど良い経験だったのですが、結局最初想定していたほどの「人脈」は構築できなかったなと感じています。
【今でも仲良い経営者の方は何かしら自分もgiveできた人】
想定以上の結果がなかったのはシンプルで、自分が「期待値以上のgive」をすることができなかったから。最初に触れた互恵性の観点から考えると、ビジネス初心者の自分側のtake(相手のgive)は、インタビューをすることで既に満たしています。なので、後は自分がgiveをできるかが議題となるわけです。
今、当時を振り返ると期待値の超え方は二つあったと思います。まず、業務内容的には、インタビューをした後に今の経営課題をヒアリング、解決可能な企業を紹介するというものでした。その時に、経営者の潜在ニーズを引き出しインサイト情報を提供するのが一つ目の期待値の超え方。そして、もう一つは、その方主催の交流会や勉強会に積極的に「参加」することがもう一つの方法でした。
一つ目のインサイト情報提供は、ジュニア中のジュニアな僕にはなかなか難しく、まあ打率0.5割でもあったかなという感じ。じゃあ必然的に後者をするしかないわけで。後者で2回、3回と参加させてもらった方とは、今も仲が続いているなという印象。
交流会やイベントの主催者側も経験したことある身としては、もちろん内容にも左右されるものの、20人に声かけて1人参加してくれるかどうかって世界なんですよね。だからこそその場に行ってしかも発言したりと積極参加することで、その人にとっては期待値を超えるgiveになるわけです(まあ、もちろん打算的に行ったというよりは、誘われるのが嬉しく、ただただ勉強したくて行っていたわけですが。。。笑)。
【規模は変われど本質は同じ】
…とまあ、過去を振り返ってお互いが如何に価値提供をし合えるかが重要だと感じた僕なわけですが。最近、その体験とオーバーラップするような話を聞くので触れようかなと。
具体的な話をする必要はないので、シンプルに概要だけ話すと
・日本を代表する企業の社長から個人として信頼されている方が社内にいる。
・その方が今の信頼を獲得したのも期待値を常に超えるようなgiveをしてきたから。
ということ。
僕の体験はインターン生と中小企業の経営者との話。この例は、トップパフォーマーと日本を代表する大企業の社長の話。規模感は違えど、本質は同じ。本当の意味で人脈と言える関係性になるには、相手にとってどれだけ良い影響を与えられるか、giveをできるのかが重要。
もっというと社内と社外の関係性だけに限定する必要はなくて、社内の先輩、後輩でも同じことが言える。ただ言われた仕事をする人間は「都合の良い人間」にはなれど、「信頼されるビジネスパーソン」にはなれない。もし社内で新規事業を推進しようにも、独立しようにも、人脈と言えるレベルに育っていない人間関係では協力を得るのも難しいに違いない。
【最後に〜フロム『愛するということ』の一節から〜】
最後に、僕の好きな本にエーリッヒ・フロムの『愛するということ』がありまして、この一節を紹介して文を締めようかなと。
この本は、「愛」を受動的な感情ではなく、能動的な行動である。と訴えたものです。
その第一章に以下の記述があります。
愛について学ぶことはないと考える第一の理由は、たいていの人は愛の問題を、「愛する能力」の問題ではなく、「愛される」という問題として捉えているからだ。
つまり人びとにとって重要なのは、どうすれば愛されるか、どうすれば愛される人間になれるかということなのだ。
出典:エーリッヒ・フロム『愛するということ』p.11
「愛」とまで大袈裟なものではないかもしれませんが、人脈作りに失敗する時には相手からの見返りを求めていることが多いのではないでしょうか。どうすれば、「愛されるか」=相手からどんな見返りを求められるかを考え、自分がどう「愛するか」=相手に何ができるかを考えていない。
こうなると互恵性の関係性は築けることはなく、人脈の成立もあり得ません。まずは、相手が何を望んでいるのか。自分が何を提供できるのか。そんなことを考え、下手くそでも良いから愚直に与え続けていきたいと思いました。
おしまい。