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The1975について語る

常に自分の中でゲキアツだけど、最近特に世にも注目されているThe1975。自分が彼らの音楽と出会った2013年からのあれこれを語る。

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イギリス、マンチェスター発のバンド。

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左からRoss (ベース)、George (ドラム)、Matty (ギター/ボーカル)、Adam (ギター)

最初にバンドを知ったのはイギリスでカレッジに通っていた頃。2013年。当時、重いコンピュータを立ち上げてでもYoutubeで音楽を漁るのが日課で、そのときに偶然、行き当たった動画があった。

Chocolate。

イギリス人は体調を崩すとチョコレートを食べる習慣があるそうで、この曲名のチョコレートっていうのをみたとき、思わずクリックしてしまった。再生ボタンを押すと、その当時聴いたことのないユニークなサウンド。上手く言葉にはできない第一印象、まもなくすぐに引き込まれた。チョコレートへの愛のうたなのかと思いきや、そんなことはなさそう。恋愛ソング?それも分からない。というか、イギリス英語とはいえ英語に聞こえないコテコテのアクセント、それがまたクセだった。

この曲は実はThe1975が売れるきっかけになった曲。チョコレートのうたではなく、ボーカルMattyのマリファナ中毒についてのうた。

iPod nanoに即落とし、通学路も帰路も、繰り返すように再生した。

音楽に衝撃を受けたのはこの曲が初めてで、青空が少ないこの街での暮らし、落ち込みがちになっても、The1975の曲はそのテンションにいつも寄り添っていて、学校までの電車通学がかけがえのないものになった。


当時デザインを勉強していた自分には、彼らのつくり出すサウンドだけでなく、いわゆるビジュアルやアイデンティティにも着目していた。

当初のバンドのロゴは今ではもう見ないSans Serif。今とは少し違って、クールで落ち着いたトーン。静かめな印象がある。

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2013年のThe1975のロゴ

この時からグラフィック周りのデザインはすべてスタイリッシュでかっこいい。バンドのデザインを担当するのは当初からずっと変わりなく、Samuel Burgess Johnson。アルバムのアートワーク、Zineのエディトリアルデザインも彼が担当している。

余談だが、彼らのバンド名は「ザ・ナインティーンセブンティーファイブ」と呼ぶのが正しいが、自分はそれがどうも長くていつも勝手に「いちきゅーななごー」と呼んでいる。ここだけの話。

/ / The1975のバンド名の由来

誰もが一回は思うだろうが、彼らは1975年生まれのおじちゃんたちではない。バンド名の由来は、MattyがYard saleで手に入れた本に落書きされていた日付だったという。

“In the back there were all these mental scribblings, it was almost suicidal, and it was dated at the bottom ‘1st June, The 1975’. The use of the word ‘The’ really stuck with me. It was the perfect band name.”

「本の裏に、頭のイった自殺的なメモがたくさんあって。その一番下に、'1st June, The 1975' って日付けがあった。この 'The'がすごい印象的で、バンド名にするには完璧だった。」

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" The 1975 "

チョコレートと同じ年、アルバムが出た。

ロゴが長方形で囲まれ、白と黒のモノトーンなビジュアル。ネオンライトなのにモノトーンなのがまたかっこいい。

アルバム収録曲は以下。

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CDの裏面

この中でも、Chocolate、Heart Out、Settle Down、Robbers、Girls、Pressureは、個人的に特に好きな曲。

”9. Settle Down”は、モノトーンなMV。

曲のトーンはChocolateよりもメロウで、エモい。雨の日に電車で聴くのが好きだったんだが、まさに雨が映える、そんなトーンの曲。

”11. Girls”は、MVで初めてカラーが取り入れられるようになった曲。

MVの最初に、その変化を解説するようにMattyがこんなことを言っている。

"Everything feels totally wrong. We're not a pop band and it feels like the really pop video the whole scenario, is not really what we are about. It needs to be black and white for the start. "

「全部が完全に間違ってる感じがする。僕らはポップバンドじゃないし、これじゃ本当にただのポップビデオ、こんなシナリオ僕らじゃない。出始めはやっぱり白黒でなきゃ。」

この曲以降、徐々にThe1975にポップな要素とカラーも取り組まれるようになったように感じる。

その当時のステージデザインも、MVやアルバムと同じように白黒でモノトーン。四角のネオンライトに照らされたメンバーがかっこいい。

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こんなに好きなのにこの愛を誰と共有することもなくひっそり聴き続けること3年。2016年。自分は大学生。新たにアルバムが出た。

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" I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it. "

タイトルが長くて未だに覚えられない。笑

前作アルバムと同様、ネオンライト。に、色がついた。パステルピンクに、少し青がかった壁。白黒とはガラッと明るく出て変わったが、落ち着きのあるカラートーンで、パッと見たときにシンプルにかわいい。アルバム中の曲名にもガールズというのがあるが、きっとガールズをターゲットにしたアルバム。当時のガールズたちの部屋にこのCDが置いてあっても、何の違和感もない。

アルバム収録曲は以下。

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個人的に特に好きな曲は、Love Me、A Change of Heart、If I Believe You、Somebody Else、The Sound、Paris。

Love Meについては、雰囲気が変わったなんてものではなく、高校デビューとでもいうのか。ギャルである。Mattyもフェミニンなメイクをしていて、セクシーめにLove Meと訴えてくる曲。

Mattyは自身の麻薬中毒を歌にすることで知られているが、この頃は特に、薬中っぽい部分が見える気がする。ガリガリだし。

余談だが、当時Tumblrのガールズファンの間では”MattyはHarry Stylesのことが好き”という噂が回っていた。実際にLove MeのMVにもHarryのパネルがある。

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実際は分からないが、ふたりの出身校が一緒だったり、過去にMattyがOne Directionの楽曲制作に関わったりと、何かしらのつながりはある模様。ただ当時大人気だったOne Direction同様、The1975も同じぐらいイギリスのガールズたちには人気があったから、という見解もある。

話は戻って、The SoundのMV。

前作アルバムの白と黒に、新たなピンクを加えた3色だけでめちゃくちゃにキマっている。

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先ほどもお伝えしたが、The1975の良さは、曲だけでなくブランディングやセット、グッズデザイン、ステージなどにも。

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添えられたバラがまたいい。

このアルバムリリース当時、Tumblrユーザーしか知り得ないシークレットPOP UPがロンドンで行われた。もちろんTumblrをモニターしていたので、そのポップアップにも学校をサボって行った。

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会場に到着する以前に、そこまでの道がなんと数キロにも及ぶ行列だった。この目でThe1975のファンを目の当たりにしたのはそれが初めてだったので、自分の無知さに恥をかく。真冬で天気も悪かったにも関わらず、行列は長くなる一方で、4時間経っても10mほどしか動かなかった。

後から知ったのだが、実は会場内ではメンバーがサプライズで訪れており、おもむろにサイン会と撮影会を始めたという。そりゃ列が動かないわけだわ。上の画像はネットで見つけ出した会場内の様子。アルバムに関連したものがディスプレイされたPOP UPだったよう。悔しい…

話は戻り、A Change of HeartのMV。

この曲はまたしても白黒のモノトーン。Mattyがちょこちょこダンスをし始めたのがこのMVからで、ピエロのメイクと少し変わったスーツを身に纏って、なんだか悲しげ。

ピエロの仕事を終えたMattyがメイクを落とし、部屋を出たところからSomebody ElseのMVに移り変わり、同時に映像はカラーに切り替わる。

このときのMattyには、今までにないクールさが。このアルバムで一番好きな曲。

そしてこのアルバムから2年、麻薬中毒だったMattyがリハビリを通してリリースした最新のアルバムがこちら。

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" A Brief Inquiry into Online Relationships "

このアルバムから、ロゴがシンプルで現代的なものに。長方形とネオンライトはどこかへ消え去り、小さなカラーボックスがチラつくようなミニマルなグラフィックのみのデザイン。今までの”エモさ”を削ぎ落とし、新しくなった感じがある。

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新しいロゴ

このアルバムの日本語での邦題は「ネット上の人間関係についての簡単な調査」だそう。

収録曲は珍しくジャケット表紙に。

個人的に好きな曲はTOO TIME、Love It If We Made It、Sincerity is Scary、It's Not Living、I Couldn't be More in Love、I Always wanna Die。

TOO TIMEのMVはかなりポップに。出演している方々がみんなとても個性あっていい。このとき仲良しで、楽曲コラボもしているフィリピン発アーティストのNo Romeくんもゲスト出演。青い髪がトレードマーク。

実はこのMVの出演者さんたちは、ツアー中よく前列にいるそう。

仲良しのNo Romeくんも、曲のコラボだけでなく一緒にツアーを回っているそう。No Romeくんとは本当に仲良しなのか、最近のMVによく出演している。

彼とコラボした曲 "Narcissist" はどことなく近未来感のあるテイストになっていてこちらの曲もめちゃくちゃに良いのでぜひ。(自分が2018年一番聴いた曲。笑)

MVではMattyとふたり、楽しむ姿も。

続いては、Love It If We Made ItのMV。

今までとはガラッと変わって映像がものすごくカラー。歌詞に強いメッセージがあることもあり、映像もバグっている調。世のクレイジーさやMattyの歌詞に込められた怒りのような爆発的なメッセージが表現されているのかと。

現在ツアー中も披露されている曲だが、個人的には一番ステージ映えする映像かと。

ステージデザインにも、圧巻。

すべてのThe1975のステージデザインは、LAを拠点に活動するライティングデザイナーのTobias Rylander( https://www.instagram.com/tobiasrylander/ )。

こちらもデザイン同様、デビュー初期からずっとが同じ彼が担当しているよう。こういったステージの組み方がデザイナーに受けがいいのか、イギリスでThe1975が好きというとだいたいデザイナーと思われるそう。

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ステージデザイン

そして続いて、Sincerity is ScaryのMV。

突然、ザ・アメリカで撮りました感が出る。笑

今までのThe1975にはないメロウさや穏やかさ、平和な感じが、リハビリからの心境の変化のおかげか、Mattyの吹っ切れた晴れ晴れとした状況を表している気が。この謎のピカチュウのような被り物がかわいい。

NME magazineでの撮影でも、この変な帽子をかぶっている。

チャーミング、!

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この帽子は、公式でグッズ販売もしているよう。ツアー中にももちろんかぶっている。

It's Not LivingのMVは、実はこれまた他のMVに繋がっていて。

こういう仕組みも初期からあって楽しい。個人的にはMattyのステップダンスがツボ。

今年は更にまた新アルバムが2枚リリースされるようで、世界各国でもツアーがあるので目が離せない。

これまでのアメリカでの制作は一旦終わり、次作アルバムはThe1975発祥の地イギリスでの制作のよう。イギリスらしいものが出てきそう。

現在ツアー中の彼らだが、コンサートの様子が度胆を抜くほどに素晴らしい。特に今回のステージデザインは個人的見どころ。

下画像は、Mattyがスマホの中にいる様子。

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モノトーンな映像と、暗めのライティング。 ”hello”の周辺のみ長方形にコーラルピンクで光っているのが初期のThe1975っぽさを彷彿させたり。

マネージャーであるJamieのアカウントをフォローすると、クローズアップでよりツアーの様子を楽しめる。

日本公演はまだ発表されていないが、少しはThe1975の良さについて分かっていただけたら嬉しい。


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