【300字小説】 ポストカード
共通点をつたって、ということなのだろう。見知らぬ学生さんから連絡がきた。インタビューさせてほしいという。メールに書かれた内容を見る。いくつか日程を書いて返信した。
画面を通して、まぶしい、と感じた。自分にもきっとこういう時期があったのだろう。こちらでの仕事や生活について小一時間話した。最後に「憧れます」と言われ不思議な気持ちになった。
私の憧れはわかりやすかった。映画のポストカードを持ち歩いていたくらいだ。トレンチコートを着て、コーヒーを片手に颯爽とオフィス街を歩く。ああこれになりたいと憧れだけで突っ走ってきた。
何かに憧れることは減ったけれど、ポストカードは今も手帳に挟んでいる。