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未来の予約

彼は未来旅行の代理店に入った。彼は自分の好きな時代に行ってみたかった。彼はカウンターの女性に話しかけた。

「こんにちは。未来旅行を予約したいんですが」

「はい、どうぞ。どの時代に行きたいですか?」

「ええと、2050年くらいですかね」

「2050年ですか。それは残念ながら満席です」

「じゃあ、2060年は?」

「2060年も満席です」

「2070年は?」

「2070年も満席です」

「そうですか。じゃあ、どの時代が空いていますか?」

「空いている時代は、2099年以降です」

「2099年以降ですか。それは遠すぎませんか?」

「いえ、そんなことはありません。未来旅行は時間の流れが違うので、実際には数分しか経過しません。ご安心ください」

「そうなんですか。じゃあ、2099年に予約します」

「2099年ですね。では、お名前と連絡先を教えてください」

彼は自分の名前と電話番号を伝えた。女性はそれをコンピューターに入力した。

「ありがとうございます。では、こちらのボタンを押してください」

彼は指示されたボタンを押した。すると、彼の目の前に大きな画面が現れた。

画面には、2099年の世界が映し出されていた。彼はその光景に驚愕した。

画面に映っていたのは、荒廃した地球だった。空は灰色に染まり、建物は崩れ落ち、人々はどこにも見当たらなかった。代わりに、巨大なロボットや怪物が暴れ回っていた。

彼は恐怖に震えた。彼は女性に尋ねた。

「これが2099年の世界なんですか?」

「はい、そうです。これがあなたが予約した未来旅行の目的地です」

「でも、これは恐ろしすぎます。こんな世界に行きたくありません」

「申し訳ありませんが、キャンセルはできません。あなたはすでにボタンを押してしまったので、契約が成立しています」

「契約?何の契約ですか?」

「未来旅行の契約ですよ。あなたはこの画面を見ることで、2099年の世界に転送されることに同意したのです」

「転送?何を言ってるんですか?」

「あなたは今から2099年の世界に行くことになります。それが未来旅行です」

「待ってください!やめてください!止めてください!」

彼は叫んだが、もう遅かった。画面から強烈な光が放たれ、彼の姿を消し去った。

女性は冷静にコンピューターを操作した。画面には新しいメッセージが表示された。

2100年 1名 空席あり

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