ココロノコリ 1-10
☮
「ほらほら、ここだって! めっちゃいっぱいパトカー停まってたもん!」
川村の問いかけにふいをつかれて、答えあぐねている内に、坂の上のほうから嬌声が降ってきた。そちらを振り返る雄大の視線を追って、川村がかすかに驚いた顔をした。
「えー、ちょっとやめなよ。人死んでんでしょ? 怖いじゃん」
「あー、暗くて全然見えないわ。落ちたの崖の真ん中へんだもんね。もっとこう、血がドシャーってなってて、チョークで描いた人型とかあるかと思った。ドラマみたいにさ」
図書館の職員と思われる人影