『圭介』 〜1997年 顔が全然タイプじゃない男〜 vol.2 (ゲイ小説)
見た目はまったくタイプではなかった。
だけど、圭介という人は会話をしていてすごく楽しい人だった。
なにより頭の回転が速い。
頭の回転の速さなら僕も自信があったけど、圭介の方が段違いに速い。
しかも、少しでも言葉を濁したり取り繕ったりすると「本当はそうじゃなくて、こう思っているのでしょう?」と見抜かれる。
圭介は本当に頭が良かった。
さらに圭介の視点は、いつも圭介だけの視点だった。
世界中の誰にも見えていなくても、圭介だけには見えていることがこの世にはある、と確信できるよう