AIリテラシーを高めたい!-画像生成AIリテラシー検定作問の工夫-
画像生成AIリテラシー検定、作問しました!
こんにちは、弁護士の加茂です。この度、日本最大級の生成AIコミュニティ、「#SOZOコラボ」のご縁で、画像生成AIリテラシー検定を作問し、公開いたしました。
早速挑戦いただいたという方も、まだ挑戦していないという方もいらっしゃると思いますが、このnoteでは、作問者がどのような考え・狙いで問題を作成したかを紹介したいと思います。
目的:AIリテラシーを向上させたい!
この検定を作った目的はただ一つ、AIリテラシーの向上に役立ててほしいというものです。
AIの有用性は明らかであるにもかかわらず、AIのビジネス活用はまだまだ進んでいません。その理由の一つとして、企業も個人もAIを安全に使うための知識・理解、すなわち、AIリテラシーが十分でないということが挙げられます。AIリテラシーを向上させないことには、AIのビジネス活用は進まず、技術はどんどん進化しているのに、その恩恵を享受できないこととなってしまいます。AIを盛り上げるためには、AIリテラシーの向上が不可欠です。そこで、検定を作ろう!ということになりました。
しかし、通常、検定というと、有料の場合がほとんどですが、有料にすると誰もがチャレンジできる(する)わけではなくなってしまいます。あくまでこの検定の目的はAIリテラシーを向上させることなので、チャレンジしてもらわないことにはどうしようもありません。
そこで、#SOZOコラボ運営代表の「かんちょー」(北村さん)とも相談し、この検定については、無料で公開し、誰もがチャレンジできるようなものとすることとしました。
そして、せっかくチャレンジしてもらうのであれば、AIリテラシーを向上させる仕掛けをしたい、そう考えました。作問は任せてもらいましたので、かんちょーには内緒で、AIリテラシー向上のためのちょっとした工夫を施しています(本当にちょっとしたものです)。
狙い①:選択肢を全部読んでほしい!
選択式問題作問の難しいところ
選択式問題は、単純な「正しいものを選べ」という設問ですと、正しい選択肢を見つけたら、読み飛ばしてしまいがちです。作問者としては、せっかく色んな知識が得られるように選択肢を作ったとしても、残りの選択肢を読んでもらえず、その選択肢に関する知識を習得してもらえないかもしれない、という悩みがありました。
そんな時、司法試験の勉強をしていた頃を思い出しました。司法試験はマークシート試験と論文試験があり、特に旧司法試験のマークシート試験(択一試験)は、60問で配点が各1点にもかかわらず、多数の猛者たちの優劣をつけなければなりません。そのため問題が良く練られており、その問題に関する正確な理解がないと正答できないような作りとなっていました。
そこで、受験生時代の記憶をたよりに、少し真似して作問してみました。
「間違っているものを選べ」
2問目に「間違っているものを選べ」という問題を入れました。問題をよく読まないと、正しい選択肢を選んでしまい、間違ってしまいます。これには、リテラシーという観点からは、利用規約などきちんと文章を読まないといけない機会が訪れることから、文章はよく読むようにしてほしいという願いと、こうしたちょっとしたひっかけが序盤にあれば、皆さん気を付けて選択肢をよく読むようになるのではないかという狙いがあります。なお、司法試験の場合は、「正しいものを選べ」「間違っているものを選べ」という問題が混在しており、時間がなく焦っている状態で、設問を含め正確に読まなければなりません。
「正しい組み合わせを選べ」
組み合わせ問題は全ての選択肢を見てもらうために有効な方法です。一つ正しい選択肢を見つけただけでは正解できず、全ての選択肢を見る必要があるためです。
(番外編)「正しいものはいくつあるか」
選択肢を全て見てもらう方法として、司法試験では「正しいものはいくつあるか」という個数問題も用意されていました。この個数問題、選択肢すべてについて正誤を判断しないと正答できないため、難しい問題でした。今回こうした問題も入れるか悩みましたが、難しくするのが趣旨ではないので、取り入れませんでした。
(番外編2)「空欄に入る語句として正しいものを最も多く含む組み合わせはどれか」
空欄穴埋め組み合わせ問題は、今回の検定にも取り入れていますが、司法試験鬼モードでは、15個程度の空欄に20個程度の語句が用意され、3個の組み合わせ選択肢があり、「空欄に入る語句として正しいものを最も多く含む組み合わせはどれか」というものがありました。この問題、正答となる選択肢の中に、間違っている語句も含まれる(正しい語句が3個かもしれないし、2個かもしれないし、他の選択肢が全てあやまっていたら、正しい語句が1個かもしれない)、というのがミソで、基本的に、全ての空欄に正しい語句を入れないと正答にたどりつけない仕様となっていました。
さすがにこの検定にこうした問題を取り入れるのは鬼ですし、問題を作るのも大変なので、これも取り入れませんでした。興味がある方は、法務省のHPに旧司法試験の択一試験の問題も公表されているので、よかったらちょっと覗いてみてください。
狙い②:最後まで解いてほしい!
せっかく作ったのなら、最後まで解いてみてほしい。当初は問題と解答のみを用意して、ダウンロードするなりして解いてもらう、ということも考えていたのですが、ダウンロードして解くのは面倒くさいじゃないですか。そこで、システムで解けるようにしてもらえないか、かんちょーにお願いしました。
結果、この検定では、leaningBOXさんのシステムを利用することになりました。このシステム、さくさく問題を解きやすい仕様になっているのと、正答と誤答の際に効果音が鳴り、解くのが楽しくなる仕様となっており、非常に素敵なシステムです。このシステムのおかげで、沢山の方に、最後まで解いてもらうことが出来ています。
また、通常検定では時間制限が設けられますが、この検定では時間無制限としています。時間制限を設けてしまうと、難しい問題が「捨て問」としてきちんと学習してもらえなくなることが懸念されたからです。
このシステムの活用には、#SOZOコラボのDAISUKEさん(https://x.com/daisu_creator)に多大な協力をしてもらいました。感謝しております。
狙い③:解説で学習してほしい!
実は一番時間がかかったのは、作問よりも解説です。この検定、合格点をとってもらうことを目的としているのではなく、あくまでAIリテラシーを向上させることを目的とするものです。いってしまえば、検定で間違っていようが問題ではなく、間違った箇所をきちんと見直して、正確な知識を身に着けてもらえれば目的を果たしたことになります。
そこで、すべての問題、選択肢に解説を用意しました。また、leaningBOXさんのシステムは、問題を解く度にその問題の解説が表示される仕様のため、問題を解きながら学習ができる、という一番目的にかなったものとなりました。このシステム、本当に素敵です。
嬉しい反応
この検定、公開してから非常に多くの方から反応をいただき、驚くとともに、嬉しく感じています。いろんな方がXにポストしてくださったので、作問者として嬉しかった反応を紹介させてください。
実務で使えるように、と意識したので、非常に嬉しい反応でした!
一緒に会議していましたか?というくらい、正確に狙いを表してくれています!
こういう使い方にしてもらえたら素敵だなぁということを書いていただいています。
2回も受けてもらって、しかも、きちんと学習してもらえていて、素敵です!
深津さんにも利用してもらいました!
次の目標:ビジネスAIリテラシー検定
あまり利用してもらえないかなぁ。。なんて、公開する前は思っていたのですが、思った以上の反響があり、非常に嬉しく、また新しい検定を作ってみたいと思うようになりました。
今回は画像生成AIに絞ったものとしていましたが、こんどは、テキスト系も含めたAIのビジネス活用のための検定問題を作ろうかなぁと思っています!皆様、是非応援してください!