見出し画像

青春の日々 第3章 2015〜2016年 


新たな出会い

高校になると新しい友達が出来た。

自分の学校は中高一貫だったので、
高校から新入生がきた。

僕は中学までは常にひとりで音楽と向き合っていたが、まさか高校から同期の音楽仲間が出来るとは思ってもいなかった。

まず自分は、軽音楽部に入っていて、
そこに新しく入部してきた人たちの中で
Aさんと出会った。

Aさんは、僕が新入生歓迎ライブで弾き語りしたビートルズのブラックバードを聴いていたらしく、初顔合わせの時に僕のことを覚えてくれた。

僕は「楽器は何弾くの?」と聞くと、
Aさんは「ボーカルなんだ」と返した。

どうやらAさんは、元々ミュージカル系のボーカルをやっていたらしい。
そして映画のキャラクターの声優もしたことがあったとか。(詳しくは覚えていない)

僕は「何か歌ってみてよ」と言うと
Aさんがその場で絢香の曲を歌い出した。

その声は本当に素晴らしいもので、感動した。
「ただ声が良いだけじゃなくて、何か不思議なものがある」
「これは本物の才能だ」と思った。

僕は、すぐ一緒にバンドを組もうと誘って
初めて同い年の音楽仲間が出来た。

そしてAさんと2人でその年の文化祭ライブに出演した。

だが音響機材の環境が悪く、まともに演奏できないままライブが終わってしまった。

僕らは、あまりにも納得がいかなくて
今後、学外のライブハウスで演奏することに決めた。


その数日後に、

もう1人、凄い才能を持った人に出会った。
その人をBさんとする。

Bさんはとても背が高くて、新入生の中で明らかに目立っていていて、
入学してきた直後に、僕が声をかけたことがあった人だった。

彼はもともと有名な合唱団に入っていた人で、耳がとても良く、歌もピアノを即興で自由自在にできた。

Bさんが体育館の舞台においてあったグランドピアノで弾き語りをし始めると、

僕は度肝を抜かれた。

即興演奏もすごいし、声もプロの歌手、
いやそれ以上だと思った。

僕はその人の才能に感動して、
「一緒に組まないか」と持ちかけた。

そういうわけで
3人でライブハウスに出演することになった

成功

僕らは、初めてのライブハウス出演に興奮していた。

本番に向けて、
毎週学校の体育館や立ち入り禁止の階段で、
3人で練習した。

毎回必ず夕方6時になると、
学校の先生が見回りに来るのだが
自分たちはもっと練習したいので、
隠れたりしたのを覚えている。
そしてその後は暗闇の体育館で練習するのだ。
そんな日々がすごく楽しい思い出だ。

本番前日は、どこかの公園で
夜遅くまで制服を着たまま練習した。
野外なのでピアノはないが、僕がギター伴奏の曲をメインに練習した。

僕らのユニットは、ボーカル2人とギターの僕なので、僕がギター伴奏したり、Bさんがピアノ伴奏して三人でハモったりする。

本番は、たくさんのお客さんが来てくれて
演奏もとても上手くいった。

まさに「成功だ」と自信持って言える演奏だった。

僕は、「これからこの3人でやっていける」と確信した。

その日の夜は、興奮して眠れなかったのを覚えている。

それだけ僕は嬉しかった。


亀裂


初めてのライブハウス出演が成功したので、
僕らは、これからちゃんと本格的に活動出来ないかと考えていた。

だが、

Bさんは、運動部に所属していたので部活動で忙しくて、だんだん僕らの活動に参加出来なくなっていった。

そして僕は、プロの音楽家になるという野心が自分を厳しくさせていて、
だんだんシリアスになっていた。

学生だから自分が何をやりたいのか悩む時期ということもあり、僕ら3人の意見は合わなくなっていた。

3人の仲に亀裂が生じた。

色々思ったように将来の見通しが立たず、
どうしたら良いか分からなくなっていた。

混乱していた僕とAさんは、ケンカをした。

僕が先にAさんに怒ったのだから
明らかに自分が悪かった。
その数日後に、僕らは授業の合間に話し合ったが、上手く和解出来なかった。

その後の授業で、僕はずっと泣いていたのを今でも覚えている。

Aさんはそれっきり話すこともないまま、
高校を卒業した。

そういうことがあり、
一年も経たないまま解散した。

今考えると、
あの時の自分は子供すぎたし、尖ってもいた。
そして、高校生が始まったばかりの時に、
三人が自分の進む道を決めて団結するなんて
無茶だった
かもしれない。

3人の中で、僕の気持ちだけが先走っていたような気がした。

ただ僕が今になって思うのは、

本物の才能がある2人に出会えて一緒に音楽やっていた時期が、後の自分の音楽に大きく影響していると言える。

ただ今になって思い出しても、楽しかった記憶のほうが多い。

ときどき、どうしてるか気になる時もある。

ただ僕は、もう今は自分が決めた道に進まなくてはいけなくなり、

自分だけの事で精一杯で、
あまり心に余裕がない時期が続く。

ただ、
またいつの日か、

もし会うことができたとしたら、

僕には言わなきゃいけない事がたくさんある。

いいなと思ったら応援しよう!