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ヒット商品を分析する一番簡単な方法は、似ているものと比較すること
先週、日経MJの2021年上半期ヒット商品番付が発表されましたね。
もう半年たったのか・・と、時の早さに驚くばかりです。
ところで、私が入社したばかりの時、先輩から「ヒット商品のものはなるべく自腹で体験して、なぜヒットしたのかを分析するといいよ」と言われました。
しかし、新人の私は、体験はできるけど、分析方法については全然わかりませんでした。「すごい」とか、「おもしろい」とか、そんな感想ばかり。
そこで今日は、当時の私に教えてあげたい、ヒット商品を分析する一番簡単な方法、「相対比較法」を紹介します。
簡単なので、慣れれば10分程度で分析できると思います。
相対比較法とは?
相対比較法は、その名の通り、ヒット商品と「何か」を相対的に比較する方法です。
例えば、パソコンやカメラなど高い買い物をするとき、似た商品を並べて比較検討しますよね?
それと大体一緒です。
つまり、誰もが(無意識的に)やったことがある買い物行動をベースにした分析方法なのです。
さて、相対比較法は4つのステップは以下の通りです。
ステップ1:比較する相手を決める
ステップ2:事実ベースで違いを書き出す
ステップ3:感情ベースで違いを書き出す
ステップ4:「要は何」を一言でまとめる
実際に、2021年上半期のヒット商品を使ってやってみましょう!
今回取り上げるのは、東の大関「郊外生活」。
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記事によれば、「在宅勤務が浸透し、郊外で職住一体の生活を重視する動きが広がる。大きめの家で園芸やDIYを楽しむ家族も。」となっています。
これだけ読むと「たしかに、会社にあまり行かない人ならいいかもねー」という感想は生まれますが、自分の企画やアイデアにどう活かせばいいかは思いつきません。
では、この「郊外生活」を使って相対比較法をやってみましょう。
ステップ1:比較する相手を決める
ここは、あまり迷わずさくっと決めましょう。
「郊外生活」との対比であれば、ストレートに「都心生活」でしょうか。
↓こんな感じで、表にしてみると便利です。
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ステップ2:事実ベースで違いを書き出す
次に、具体的な事実ベースで、それぞれの違いをあげていきます。
ここは、客観的に書いていきます。
2つの項目を対比させながら書くと良いと思います。
「郊外生活」は日経MJの記事をもとに書き、それぞれに対比させる感じで「都会生活」の項目を埋めてみます。
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ステップ3:感情ベースで違いを書き出す
ある程度、事実ベースの違いが出てきたら、人の気持ちにフォーカスを当てていきます。
「それぞれの事実を見た時、人はどういう気持ちになるか」という視点で書き出します。
ここは、自分の主観が入ってしまっても構いません。
事実の項目を見て、「こんな生活ができそうだな〜」と妄想しながら書いてきます。
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ステップ4:「要は何」を一言でまとめる。
最後に、それぞれのヒット商品について、「要は、どんな価値なのか?」を一言で書きます。
ここが一番難しいところですが、キレイに決まるとかっこいいところ。
「感情」のところで出てきた言葉をベースにして、文章にしていきます。
ポイントは、比較相手をあまりディスらないことです。
郊外生活にも、都心生活にも、それぞれ価値がある、というリスペクトを持って、それぞれの一文を書き上げていきます。
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できました!!
最初に「郊外生活」に対して思った感想、「たしかに、会社にあまり行かない人ならいいかもねー」よりは、深い分析ができた気がします。
今回の私の分析によれば、「郊外生活」がヒットしているのは単に広い家が欲しいのではなく、「自然や家族に囲まれて、素の自分でリラックスできる生活」を望む人が増えているからだ、となります。
また、郊外に引っ越さないまでも、「自然や家族に囲まれて、素の自分でリラックスして過ごす生活」に憧れる人が増えているのであれば、それを自分の仕事に生かして考えてみると・・
例えば、
・自然本来の味が楽しめる、という点を広告で強調してみる(食品、飲料)
・素の自分に戻れる商品やサービスを作ってみる(ファッション、入浴剤)
・家族が自然にくつろげる機会を提供してみる(ゲーム、音楽)
など、自分が担当する企画のアイデアが生まれるかもしれません。
ということで、今回はヒット商品を「なぜヒットしたのかな?」と手軽に分析したいときに便利な「相対比較法」を紹介しました。
ぜひ、使ってみてください!
※相対比較法は、こちらの本でも紹介しています。
※noteの元ネタはTwitterに投稿しています!
若い頃、ヒット商品は自分で体験して分析するべしとマーケターの先輩に言われたけど、分析方法がわからなかった。
— 岡田 庄生 / HAKUHODO Inc. (@s_okada) June 16, 2021
最近、一番簡単な分析は、「似たような商品と比較する」ことだと気づいた(続)
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21年上期ヒット商品番付 「未来の当たり前」買いたい: 日本経済新聞(有料)https://t.co/TbtL9tr61k
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