大学の授業を最後に飽きずに聞いてもらうために、「対話型」にしてみた
今日は、大人数向けに話す動画を、いかに飽きずに見られるものにするか、について書きたいと思います。
社内向けの研修や顧客向けのセミナーなど、動画でプレゼンを録画しなくちゃいけない、そんな機会も増えたのではないかと思います。
私の場合は、大学での非常勤講師がそれにあたります。
大学はいま、再びオンライン化に切り替わりつつあります。
私は、法政大学経営学部でマーケティング・リサーチ論という授業の講師を担当しているのですが、こちらは登録者300名のオンデマンド授業です。
つまり、事前に1時間程度の授業を録画して、学生が好きな時間に見る「YouTube」型の授業を3ヶ月で15コマ作らなければいけません。
学生の気持ちになってみると、単位のためとはいえ、1時間以上も先生が話し続ける動画を見てたら、そりゃ飽きますよね。
でも、講師としては、マーケティング・リサーチの面白いところ、役に立つところをぜひ知って欲しい。
そこで、今日は、実際に私が授業に取り入れた工夫と、学生からのリアルな反応をお伝えしたいと思います。
みなさんの仕事に役立つかはわかりませんが、参考にしていただけたらと思います。
対話型授業でマンネリ打破とほっと一息
今回私が取り入れたのは工夫の1つは、アシスタントの学生さんと対話型で授業を進める、という方法です。
同じ人間がずーっと話していると、どうしても話のトーンやテンポがマンネリ化してしまいます。
例えば、仕事で行うプレゼンでも、プレゼン時間が1時間近くになる場合は、話す人をあえて2人や3人のリレー式にして、リズムを変えたりします。
それと同じような効果を狙って、授業にアシスタントの学生を起用して、2人で進行することにしました。
具体的には、こんな感じです。(アシスタント学生の写真にはモザイクをかけています。)
このように、ラジオ番組のような感じで学生からの質問をアシスタント学生に読み上げてもらい、私がそれに答える形で進めています。
実際にやってみると、この方法は、マンネリ感の打破意外にも意外なメリットがありました。
それは、講師である自分が「一息つく時間」がある、ということです。
具体的には、アシスタント学生に質問を読み上げてもらう間に、水飲んで喉を潤したり、質問に対する回答を考えたりすることができます。
話し続けていると、本当に喉がカラカラになるので、これは本当に助かります。
もしも1人だけで同じことをしていたら、水を飲む間もありません。もちろん、途中で水を飲んでも問題ないのですが、その間すこし途切れてしまいます。
また、話しながら考えるのは難しいので、アシスタント学生さんが話している間に、回答について考えることができるのも本当に本当に助かります。
対話型の時間を持つことで、授業の進行が途切れることなく、話し手が一息つけるのは、やってみてわかった効果でした。
クイズ&アンサーが考えるきっかけに
また、違う場面を紹介します。
早速、実際の対話をお聞きください。
このように、簡単なクイズをアシスタント学生に出しつつ、動画の向こうにいる学生にも少し考えてもらう場面を取り入れました。
その結果、この動画をみた学生からは、次のような感想が届きました。
よく考えてみれば、実際に教室で行う対面授業では、このようなクイズを出すことはよくあることです。
しかし、事前録画で1人で授業となると、クイズを出すような雰囲気にはなりません。
今回、アシスタント学生がいることで、私もかなり普段の授業に近い雰囲気で行うことができるようになりました。
目の前にいる生徒が0人と1人では大違いだな・・と改めて感じました。
1人1人へ語りかけるように
このような対話型を取り入れたマーケティング・リサーチ論の授業はまだ始まったばかりです。
この効果がどれくらいあるのかはまだまだわかりませんが、動画を見た学生からの反応は、今のところ好評です。
一方で、こんな意見も(少数派ですが)ありました。
このような意見を頂けるのはとても嬉しいことです。
このコメントから、私があまりにもアシスタント学生さんとの会話に夢中になりすぎると、画面の向こう側の300人の学生さんを置き去りにしてしまう危険性があることに気づくことができました。
ですので、アシスタント学生さんを通して、300人の学生一人一人に話しかける感覚で授業をしていることを、いつも意識しておく必要があるなと感じています。
以前、会社の先輩が「テレビでは『お茶の間のみなさん』と呼びかけるけど、ラジオでは『ラジオの前のあなた』と呼びかける」という話をしていて面白いなと思ったことがあります。
授業の動画は1人で見るもの。であれば、ラジオのような『画面の前のあなた』という意識で行うのが良さそうです。
ということで、今回は私の大学授業で取り入れた対面型動画について書きました。
これは、企業の研修動画や、顧客向けの営業動画などでも活用できるかもしれません。
研修や営業動画で、説明する人に加えてアシスタントの方をたてて、クイズを出してみたり、質問を読み上げてもらうことで、見ている人が擬似的に参加している雰囲気を作ることができるかもしれません。
私自身も、授業で学んだエッセンスを、機会があれば仕事の中で使ってみたいと思います。
※Twitterでも気になる発信方法について投稿しています。