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自分の視点を強制的に変える「カラーバス」トレーニング

人は、きっかけさえあれば、視点を変えることができる、私はそう思います。

それを体験してもらうために、私が仕事や研修などでよく使うのが「カラーバス」というトレーニング方法です。

このトレーニングを行った後に街を歩くと、今までと景色が変わって見えるという不思議な体験をすることができます。

今日は、自分の視点を強制的に変える「カラーバス」トレーニングについて書いてみたいと思います。

発想力は鍛えられる

時代の変化がどんどん速くなっています。
今後、変化に対応するために必須となるスキルの1つが、発想力です。

とはいえ、既存の枠を外れた発想力を持つことは、決して簡単ではありません。

自由な発想で新規事業を生みだそう。言うのは簡単だが実行することは難しい。既存製品や組織の考え方にとらわれずに、頭を柔らかくして臨むことが必要だ。

ところで、みなさんは自分なりの発想力のトレーニング方法を持っていますか?

私は、いくつかの企業で「発想力研修」の講師をつとめているのですが、その冒頭に「発想力は鍛えられます!」とお伝えすると、多くの方が意外な顔をします。

発想力は生まれ持ったセンスや才能でしょ?と思っている方が多いようです。

しかし、発想力は後天的に身につけることができます。

実は私自身、学生時代はコンサル会社でアルバイトをしていて、どちらかといえばロジックタイプ。アイデアを考えるのは苦手でした。

今でも得意とは言えませんが、それでも何かお題を出されたらパッとアイデアを10個ぐらいは出せるぐらいになりました。

つまり、入社後に、後天的に発想力が鍛えられたのです。

では、発想力を鍛えるには何が大事なのかというと、具体的な発想のフレームを1つ学んで、何度も使ってみることです。

受験の時、色々な問題集をたくさん買い込むより、1冊決めて何度もやり込んだ方が良い、という話があります。

それと同じ様に、自分なりの発想の手法を1つ学んで、それを繰り返し使うことで、発想力は高まります。

発想力を高めるフレームがないという方に、おすすめの方法があります。それが、私が仕事や研修でよく使っている「カラーバス」というトレーニング方法です。

いつもの通勤経路や近所の散歩で簡単に取り入れられる方法ですので、実際に試してみて頂けたらと思います。

視点が変わると、発想が変わる

「カラーバス」という言葉があります。これは、「色を浴びる」という意味の心理学用語だと言われています。乗る「Bus」ではなく、お風呂などの「Bath」の方ですね。

例えば、自分に子どもが生まれると、世の中のベビーカーがたくさん目に入るようになります。これは、世の中にベビーカーが急に増えたわけではなく、子どもに対する関心が高まり、目に留まりやすくなったのです。

このように、特定のことに意識するとたくさんの情報が集まってくることを「カラーバス効果」と言います。

同じように、ある「色」に着目して、普段は見逃しているものを見つける視点を得て、発想力を高めるのが、「カラーバス」トレーニングの仕組みです。

実際には、会場の外を歩いて体験してもらうのですが、記事では難しいので、画像を使って擬似体験をしてみましょう。

まず、下記の写真を15秒ぐらいみてください

https://unsplash.com/

何に気づきましたか?

「渋谷だなあ、高いビルが多いな。」

「すこし薄暗いから、夕方ぐらいかな。」

「カラフルな看板が多いなあ。」

そんな風に感じたのではないでしょうか。

次に、以下のような条件で、もう一度同じ写真を見てもらいます。

指令:「赤」に着目して、写真を見てください。そして、目に入ってきたものをもとに、世の中の変化やビジネスチャンスについて考えてみてください

では、また15秒ほど、写真をご覧ください。

いかがでしたか。

「赤に着目する」という指令があることで、写真の見方が変わったのではないでしょうか。

例えば・・

「左側にカラオケの看板があるな。」

「そう言えば最近カラオケ行ってないな。」

そんなことに気づいたかもしれません。

さらに、そこから世の中の変化について考えてみると、以下のようなことが思いつくかもしれません。

「カラオケでストレスを発散していた社会人は、いま何をしているんだろう」

「カラオケで盛り上がっていた高校生たちは、いま何をしているんだろう」

これらの気付きから、社会人の新しいストレス発散方法や、高校生たちの新しい仲間との遊び方、といったアイデアに広がっていくかもしれません。

他にも、写真の中の赤い企業のロゴや、赤いバスの屋根に着目した人もいると思います。

このように、1つの色を決めるだけで、なんとなく見えていた景色が変わり、向こう側から意外な情報や刺激が飛び込んでくるのです。

1枚の画像でもたくさん飛び込んでくるので、通勤や通学の途中に行えば、相当な情報が飛び込んできます。

このようなワークを通じて、「発想のきっかけは、実は日常の中にたくさんあったんだ!」ということに気がつくことができます。

複数人でやると効果的

カラーバスを行う際に、複数人で行うことでさらに効果が高まります

グループで行う場合は、グループメンバーで、それぞれ違う色を選んでもらった上で、会場の近くを20分ほど歩いてもらいます。

そうすると、同じ場所を歩いても、選んだ色が違うので、発見する内容も人によって全然変わってきます。

色を変えるだけで、集まってくる情報が異なることがすぐに体感できることも、カラーバスの面白いところです。

また、実際の研修では、カラーバスでの発見をもとに、企業でのビジネス課題を解決するアイデアワークショップも行います。

そうすると、普段とは違うアイデアが生まれるのですが、この話は書き始めると長くなってしまうので、ここでは割愛します。

ということで、今回は「カラーバス」というトレーニングをご紹介しました。

なお、このトレーニングは、色以外のもので応用することも可能です。

例えば、丸、三角、四角といった形に着目して、街中を観察してみるのも面白いと思います。

また、年齢や性別などを決めて、人に着目してみることで、新しい発見を得られるかもしれません。

大事なのは色や形ではなく、いつもとは違う視点をあえて自分で設定する、ということです。

人は、きっかけさえあれば、視点を変えることができます。

変化が激しい今だからこそ、どんな状況にも対応できるように、自分自身の視点を強制的に変えて、発想力を豊かにする方法を持っておくことが重要になると思います。

※Twitterでも視点を変えるような記事を定期的に投稿していますので、フォローお願いします。


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岡田 庄生 | ブランド戦略コンサルタント
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