どうしてAmazon の払う税金はめちゃめちゃ少ないのか
今日は、Amazon(米国本社)の支払う連邦税ついて解説することにした。(今更感あるけど、なんとなく書いてみたくなったのでそこはご了承願いたい笑)
2018年から2020年のアマゾンの連邦税
上記の表を見るとわかるのだが、2020には実効税率(Effective Federal Income tax rate)が9.4%となっているが、法定税率の21%を考えると明らかに低い数値である。
2018年に至っては、tax expense ではなく、tax benefit である。
この原因は何か、主に3つの要因がある。
要素1: research and development tax credit
R&D tax credit の要綱については、 Internal Revenue Code (IRC) section 41 に記載されている。個人的には、アメリカの国際的な競争力の源泉がこの税法によって一部支えられていると言っても過言ではないと思っている。
R&Dとは、起業の革新的な技術開発力、国際競争力に必要なコストであり、これにどれだけ資金を投入するかで、その後の成功が左右されると言っても過言ではない。
Amazonのような大企業は、多くの特許を申請・取得している。その取得にかかるR&Dコストも巨額だ。その分、税務メリットを多く享受できる仕組みというわけだ。
要素2: 100% deduction of investment in equipment
The Tax Cuts and Jobs Act(トランプ税制)によって、いわゆる設備投資類の一括原価償却が認められたことが大きいだろう。
通常であれば、何年、10年以上もかけて減価償却をする必要があった設備投資が、一括で減価償却できるようになった。もちろんこの項目が未来永劫ずっと続くわけでなく、あくまでも経済活性化のための特別措置であった。
そのことを認識しているアマゾンを含む多くの企業は、この法律が施行された段階で、従来よりも多額の設備投資を行い、税メリットを享受したのである。
要素3: Stock-based compensation
US-GAAPとIRS の費用認識のズレによって、発生する。(いわゆるbook-tax gapです)
US-GAAP上では、Grant date (従業員にストックオプションの権利は発生した段階)でストックオプションの費用認識をする必要があるが、tax上はexercise(権利を行使) した時点で認識することになる。
大抵のケースでは、grant date よりも、exercise date の方がFMV(Fair Market Value)は上がっているはずなので、会計上認識する費用よりも、税務上認識する費用が大きくなるという手筈だ。
もちろんこれだけではないのだが、よく言われている代表的な3つについてコメントした。これは多くの企業が行っているタックスプランニングであり、別に珍しいことではない。
以上。
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