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始めての夜更かしと「夜空のムコウ」

私は高校まで一度も夜更かしをしたことがなかった。2,3時台に起きていたことがなかったということだ。

そんな私が、浪人生時代の冬、どうしても聞きたいラジオがあって、数時間仮眠をとった後に夜更かしをすることに決めた。

当時の私は、秋ごろから段々調子が下がり、冬には生活のリズムが崩れ、精神的にしんどい日々を過ごしていた。早く受験が終わってほしいと思っていた。

そんな冬にした夜更かしは楽しいものだった。参考書を少し見ながらラジオを聞く。みんなが寝静まったなか、1人だけコソコソとラジオを聞くのはワクワクした。

そのまま時間は過ぎ、もうそろそろ夜が明けそうで、窓の外が少し明るくなっていた。丁度ラジオ番組も終盤に差し掛かり、最後の曲が流れた。

それがSMAPの「夜空のムコウ」だった。

何度も色んなところで聞いたことのある曲なのに、歌詞は意外にちゃんと知らず、一つ一つの歌詞がとてもよく耳に入ってきた。

夜明け前の空と曲が重なって、しんみりときたところで、私の中の、夜空の向こう側が見えたような気がした。

そこで、今は苦しいけれど、この苦しさはいつかは終わるのだと気づいた。ただ時間さえ過ぎてしまえば、私が怠けようが、もがこうが、大学に落ちようが、必ず春が来る。だから、大丈夫だ、もう少しの辛抱だ、そう思うことができた。

初めての夜更かしの後に迎えた朝は本当にすがすがしかった。この先きっと、浪人時代を思い浮かべるたびに、何度も何度もこの夜のことを思い出すだろう。

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