昇格と残留とこれから
週末の試合では、ベルマーレの以外のチームの選手の皆さんも、喪章をつけてプレーしてくれてた(ありがとうございます)。
DAZNで、個人的にずっと大好きな選手の試合を見てたら、その選手の腕にも喪章が。
チームは違っても、同じ国で同じ仕事をしてる人が、ある日突然天国に旅立つというのは、選手という立場からしても、とても重いことだと思う。
いつも応援してるよ、活躍を祈ってるよ、だけどまずは元気でいてくれたらそれでいい。生きて笑ってくれてたらそれでいい。
サポーターとしては失格かもしれない、だけど人間としての本音かなと思う。
だって、人の命ってそれだけ重いものだから。
徳島さんとの試合は、勝てなかった。
勝って残留を自力で決めたい、最終節まで残留争いに巻き込まれたくない、ずっとそう思ってた。
でも、いきなりある日チームメイトを亡くして、普通の精神状態で試合をするなんてやっぱり無理だ。
負けたことへの言い訳にはならないし、徳島さんの素早く繋がるパスが脅威だったのは、ベルマーレの状況がどうであれ確かだったと思う。
ただ、今の状態で「いつも通りに」とか「何が何でも勝点3」とか言うのは酷だったとも感じる。
オリベイラ選手は、ファイティングポーズをとって亡くなってたと知った。
そして、チームのみんなとのお別れ会では、ユニフォームとスパイクを身に着けて、サポーターからの寄せ書きが詰まった黄緑のフラッグをまとって、優しい顔で眠りについたのも知った。
一つ前の記事にも書いたことは今回の記事では省略するけど、こういう形でのお別れになってしまったのは本当に残念でも、オリベイラ選手と出会えた(実際に会ったり話せたことはなかったけど)ことは、本当に良かったと思う。
いつも明るくて笑顔の人。
オリベイラ選手が亡くなってから、私はだいぶ前に心臓の急な病気で亡くなってしまった、ごく身近な大切な人が倒れた日のことを思い出すことが増えた。
ちょうどオリベイラ選手が亡くなった推定時刻と同じくらいの夜中。
暗く静まり返った病院の冷たい椅子に、一晩中祈りながら座ってたあの日のことは、今でも忘れることはできない。
あれから、学校などで周りの友達が簡単に「死ね」とか言うことに、それまでよりもっと辛く感じるようになった。
でも、太陽のように明るいオリベイラ選手は、私みたいにベルマーレをずっと大好きな人が、ずっと下を向いて泣いて悲しむのを決して望んではないと思う。
「僕もずっとベルマーレが大好きだし、せっかくこのチームやこの地域と出会ったなら、明るく笑って生きて」と言うに違いない。
だから、オリベイラ選手が天国に行ってしまったのはとても悲しいけど、前を向いて笑って生きていこうと思う。
ベルマーレに関わるみんなの心に、いつもオリベイラ選手はいるし、オリベイラ選手がサッカー選手という夢を叶えて日本に、湘南に来てくれたように、私も自分の人生の中で夢を叶えて生きていけるように、自分の力を出し切れる人生を歩んでいきたい。
生きていれば、前を向いて歩くことも、笑って誰かのほんの少しの勇気になることも、現世でできるから。
それは本当に幸せなことだ。
週末は、その徳島戦がベルマーレにとってのホーム最終戦だった。
試合後のセレモニーで、オリベイラ選手の話をしてる時に一部の徳島サポーターさんが「湘南ありがとう!バイバーイ!」と言ったことがニュースになってた。
私はポカスタにも何回も行ったことがあるし、元ベルマーレの選手がこれまでも今も複数人在籍してるのもあって、身近なチームの一つ。
徳島サポーターさんや地域の方に親切にしていただいたこともある。
だから、ごく一部の人がしたことに対して、徳島ヴォルティスさんというチームを批判するつもりは全くない。
知り合いの徳島サポーターさんも「勝ち負けとか残留争いのライバルとかに関係なく、人が亡くなったことに関してああいう言い方はするべきじゃないと思う。ベルサポさんには本当に申し訳ない」と言ってたけど、ごく一部の人の言動のせいで、心優しい大多数のサポーターさんまでもが心を痛めるのは、本当に悲しいことだと思う。
ヤジを飛ばした徳島サポーターさんは、もしかしたらこれまでのベルマーレにあまりいい印象がなかったのかもしれないし、勝って嬉しいあまりに軽い気持ちで言ってしまったのかもしれない。
でも、どんな理由があっても、亡くなった人に対して、大切なチームメイトが急にいなくなって悲しみの底にいるチームに対して、そういう言い方をしたことは、やっぱり良くないと思う。
もし逆の立場だったら、すごく悲しいし辛いし苦しいはず。想像してみてほしい。
相手の立場や気持ちに立って考えることは、サッカーがどうとかじゃなく、その前に人として大切なことだと私は思う。
徳島さんのこと自体は全然嫌いにはならないけど、私も自分の言動でベルマーレの印象が決まる場合もあると考えると、自覚して行動しないといけないなと改めて感じる。
週末は、元ベルマーレの監督のチョウさん率いる京都さんがJ1昇格、そして元ベルマーレの選手の名塚さん率いる山口さん、田坂さん率いる栃木さんのJ2残留が決まった週末でもあった。
チョウさんはパワハラ問題でベルマーレの監督を辞任した。
前にも書いたけど、私はパワハラがあったとされるその場に居合わせてないから、パワハラそのものについてどうこう言える立場ではないと思ってる。
だけど、私が接してきたチョウさんは、本当に人生の中で大切なことを教えてくださったり、この先を生きる上での気づきを与えてくださるような人。その思いは今でも変わらない。
ロッカールームで「やったぞーーー!!」と言いながら、サッカー少年かのようにガッツポーズするチョウさん、胴上げをチームみんなでしようとしたけど、ちょっと重かったのか「胴上がらず」になって笑ってるチョウさんは、ベルマーレで見てきたのと同じ、無邪気なチョウさんだった。
本当にパワハラするような人だったら、京都さんの選手たちはあんなに笑顔でノリノリでその人を囲んで喜び合うかな?
その人を好きだからといって、全てを自動的に肯定はしないけど、私にはチョウさんはとても人と向き合う気持ちがある指導者であり人間に見える。
ベルマーレの時は、もしかしたらその思いが強すぎて言葉の伝わり方がズレてしまったこともあったのかもしれないけど。
「12年は長かった」としみじみ言ってる京都サポーターさんがいた。
生まれた子が12歳。12歳の子が24歳。その間にはたくさんの汗があり涙があり、時には目標を見失いかけたり、葛藤がありすぎて前に進めない日もあっただろう。
一年で戻るのがもちろん理想。でもJ2はそこまで甘くない。ベルマーレも1回目の降格から、次にJ1に戻るまでに10年かかった。
その10年の間には、ベルサポとしての道のりだけでなく、人として大きな壁にもぶつかったし、「もうスタジアムに応援には行けないんじゃないか」と思うくらい追い詰められたことも正直あった。
その長さがどれだけ深いかをよく知ってるからこそ、京都さんには心から「J1復帰おめでとう」と伝えたい。
名塚さんが監督をされてる山口さんは、初めてみらスタに言った人にでも優しく声をかけてくださるボランティアさんがたくさんいらっしゃるとても温かいチーム。
名塚さんは監督になる前はコーチをされてたけど、その頃も「名塚さんには山口の風土がなんとなく似合うなあ」と思ってた。
サイドバックが全力で上がってたとえ戻ってこなくても、淡々と守備を遂行してるセンターバックのイメージは、私にとって山口県のイメージと重なる。
ベルマーレ平塚時代のセンターバックは、本当に守備に追われてた記憶があるから(^^ゞ
名塚さんは、オリベイラ選手の急逝の時にもコメントを出してくださってて、それもとてもありがたかった。
栃木さんは、ベルマーレももともと(藤和不動産の頃に)栃木を本拠地にしてたことや、当事のユニフォームが黄色だったこともあって気になるチームではあったけど(もちろんあとで知ったことで、リアルタイムでは生まれてないです!笑)、田坂さんが監督をされてることも含め、私にとってここ数年で更に身近になったチーム。
円陣ダッシュや、走力を重視する戦術、ポジション関係なく得点を取るところなど、ベルマーレと共通する部分もあって、見てて嬉しくなる。
あと、栃木さんはとても礼儀正しいチームで、対戦相手のサポーターさんが「あんなに四方に丁寧にお辞儀するチームは珍しい」とよく言ってたりもする。私より上の世代の人たちが持ってるであろうイメージの「どうもー!俺たちサッカー選手っす!イェーイ!とりあえずノリでいくっす!」みたいな雰囲気がないところが、個人的にも好感を持てる。
ちなみに親などは特にそう感じるらしく、かなり真剣に栃木さんの試合を見て、「選手もみんな一生懸命なんだから、こっちも一生懸命応援しないと!」と言ってる(もちろんベルマーレも応援してくれます)。
山口さんも栃木さんも、一時は降格圏内にいたこともあったし、そのプレッシャーの中で残留を決めたのは本当に嬉しくてホッとしただろう。
ベルマーレOBの監督のチームの活躍は、とても嬉しいし、ベルマーレを長く見てるからこそ味わえる感慨でもあるので、とても誇らしく嬉しい。
京都さん、山口さん、栃木さん、本当におめでとう!!
2022年のJリーグは、全試合ビジター席が設置されると聞いた。
私はホームよりアウェイが近いことも多々あるので、交通関係とかも全部チケットを取ってから、さああとは試合のチケットだけ!という段になって「ビジター席は設置なし」と言われてしまって、どうしよう…と思いながらも一つ一つその他のチケットをキャンセルしたり払い戻ししたことも今年何度かあった。
県越えが考えられなかった去年に比べたらそれでも進歩だったけど、それでも今年もやっぱり思うようになかなかサッカーを現地で楽しむことはできなかったなと感じてるので、来年は(声出し応援などは無理でも)チケットを買うのに「ビジターも席あるのかな?」と心配しなくていいようなくらいまでは、世の中が前に戻ってくれたらいいなあ。
隠れて黙ってホーム側に紛れるようなことは私にはできないから。
大好きなチーム、大好きな選手の名前を傷つけたり泥を塗るようなことは、絶対にできない。
12月4日、ベルマーレが笑顔でJ1残留を決めることができると信じて、私もまたこの1週間を笑顔で前を向いて歩いていきたい。
前を向いて、上を向いてないと、青空にも夕焼けにも、きれいなものに気づくことはできないから。