2024-11-18 【The US presidential election】
アメリカ大統領選は、共和党トランプ氏の圧勝に終わりました。メディアの事前の予想とは全く異なる結果となりましたが、みなさんの予想はいかがでしたでしょうか。先週、米国を代表する東アジア専門家で政府の要職を経験してきたCSISのクリス・ジョンストン氏とAsia Groupのカート・トン氏らが参加し、大統領選後のビジネス展望を話し合う会合に参加してきました。会場は満席で経営者たちの関心の高さをうかがわせましたが、わたしのような製薬産業の方はお見かけせず、主に素材・エネルギー分野、自動車産業の方が多くみられました。これは日本への最たる影響がこの2分野だからでしょう。つまりシェールガス・オイルを促進(frack, frack, frack)するエネルギー政策の転換により世界のエネルギー供給バランスが崩れ、またアメリカの雇用を促進するため、自動車などの製造業においてはアメリカ国内での生産を強制してくるからです。またアメリカの最大関心事は中国であり、日本はその防波堤の役割を期待されています。一方で2030年代にはアメリカと中国のGDPは逆転すると言われており、日本にとって両大国との緩衝役としてうまく立ち回る必要があります。
バイデン政権は、NATO加盟国や日本、韓国などの同盟国と結束を強めて最大のライバルである中国と対峙する方針が明確でした。対してトランプ政権では、皆が口をそろえて「政策が矛盾含みであり、不確実性が増す」と言います。価値観よりも経済的合理性を優先するため、政府として一貫した包括的な方針を示すのではなく、逆に対象ごとに個別に交渉し、その結果を優先する。アメリカ第一主義であり、同盟国も特別扱いはしない。すべてアメリカのメリットになるように導くための交渉の対象になります。民主党が美しい倫理的な価値観を標榜しながら、拡大する貧富の差になにもできず、また少数派の権利を大事にするあまり、多数派の「常識」をないがしろにしてきたことへの失望が、トランプ氏を大統領に押し上げたのでしょう。セレブたちによって歌い上げられる美しい理念ではなく、実際にわたしたちに得なことをしてくれるというアメリカ国民の期待がトランプ氏に寄せられています。一見トリックスターのように見える彼の背後に、どのような力が働いているのか、それをわたしたちは理解して対処していくべきでしょう。
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