力を合わせる大切さ【令和5年度卒業式校長式辞】
令和6年（2024年）3月1日、卒業証書授与式を挙行しました。
保護者の皆様、在校生諸君、地域でお世話になっているご来賓の皆様に見守っていただき、卒業生たちは慣れ親しんだ学舎（まなびや）を巣立っていきました。
日本の未来を担う卒業生の前途をお祝いし、エールの気持ちを込めて「力を合わせる大切さ」というテーマで式辞を述べました。
１）グランドスラム
寒さの下で山川草木が少しずつ温もりを帯び始め、ここ大庭宮山も麗かな陽光の季節へと向かう今日の佳き日、学校法人淞南学園 立正大学淞南高等学校 令和5年度卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、ご来賓の皆様には、ご公務ご多端の中ご臨席を賜わり、まことにありがとうございました。高いところからではございますが、厚く御禮を申し上げます。
また保護者の皆様、本日はお子様のご卒業まことにおめでとうございます。心よりお慶び申し上げますと共に、この3年間本校の教育活動に格別のご理解とご支援を賜わりましたことを厚く御禮申し上げます。
さて、卒業生の皆さん。本日はまことにおめでとうございます。
皆さんとこの3年間、汗と涙と喜びを分かち合えたことを私たち教職員はとても嬉しく感じています。こうして皆さんにお話しするのも今日で最後となります。
餞に『力を合わせる大切さ』ということについて少しお話しをしたいと思います。
令和5年度を振り返ると、皆さんを中心に数々の栄光を手にしてきました。野球部の11年ぶり3度目となる甲子園出場、射撃部初の日本代表選手となった鎌田くんの世界大会出場、マーチングバンド部のマーチングステージ全国大会出場、ｅスポーツ部の創部以来3年連続全国ベスト16。そして2年連続20回目となる選手権大会に出場したサッカー部の活躍。
まさに立正大淞南は「グランドスラムを成し遂げた」と言っても過言ではありません。思い返すと熱い感動を甦ってきます。
私は皆さんと共有したあの歓喜を生涯忘れることはないでしょう。
２）一致団結の力
この結果は淞南の真骨頂である「一致団結の力」がもたらしたと思っています。
一致団結にはどのような意味があるでしょうか？
「一致団結」という言葉は「手」に由来すると言われています。
「五指のこもごも弾くは捲手（けんしゅ）の一挃（いっちつ）に若かず」
“5本の指がバラバラに弾く力は握り拳の一撃に到底及ばない”ということ…
異なる役割を担う個々が、一丸となって同じベクトルに力を発揮したとき、その威力は数倍にもなって驚くべき成果を生み出すという意味です。
３）淞南の団結力
ここに一枚の写真があります。夏の浜山…
甲子園出場を果たした野球部とインターハイのため北海道に向かう直前、球場に応援にきてくれたサッカー部との淞南らしい一枚…
この写真から友達や仲間という表現の域を超えた、深い絆を感じるのは私だけではないでしょう。
寝食を共にする。寮や学校で一緒に過ごす時間も多く、まるで兄弟や家族のような信頼関係を育み、苦楽を共にしてきた強固な結びつきが、私たちの力を何倍にも押し上げたに違いありません。
そしてもう一つ。皆さんが高い目標に向かって自分を律して努力を続ける者同士だからこそ、さらに大きな共鳴が生まれたのだと私は思います。
支え合う。補い合う。助け合う。
皆さんの互いに思いやる心、端的に言えば「仲良くする」という意識が強い淞南の団結力を作り上げたのです。
４）調和を生み出せるリーダー
さて、これからの社会は、異なる価値観をもつ人々と協働しながら、地球規模の課題を乗り越えていく人材が求められます。様々な課題を克服するには、もはやグローバルな連帯でしか持続可能な社会を実現することはできないと言われています。
それには「力を合わせる」という共同体意識が必要不可欠なのです。
「自分さえ良ければいい」という偏った個人主義の横行は、対立を生み社会はバラバラとなって課題を突破する力は失われてしまいます。もちろん個性は大切にすべきです。その上で、寄り添う心、認め合う心を持つこと…
厳しい時代だからこそ、自分の可能性を信じ、他者の優れた良さを尊重する「多様な人々と調和を生み出せるリーダー」が必要です。
皆さんがその頼れるリーダーになるんです！
これからそれぞれ目標に向かって、この淞南で身につけたチームワークスキルを存分に発揮して、集団の「核」となる人物になってもらいたい。
そうすれば皆さんに共感する人が必ず現れます。その人たちと手を組みスクラムを組んで、世のため人のために一致団結の力を発揮してもらいたいと思っています。
それが私たちの願いでもあります。
さいごに
誰とでも仲良くなれる優しい皆さん…
人の長所をたくさん引き出せる皆さん…
大きな輪の中心に立ってみんなを引っ張っていくことのできる皆さん…
皆さんのことを、私たちはこれからもこの母校からずっと応援しています。
身体に気をつけて頑張ってください。
未来を担う前途有望な卒業生の皆さんの、これからの人生に幸多きことを、今日お集まりの皆様と共に心より祈念して、私の式辞といたします。
卒業おめでとう！
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